まず知っておきたい人気シャフトの重量差としなりの個性
現在、アイアンセットの純正・標準という形で入っているスチールシャフトの中でもとりわけ多いのが「N.S.プロ 950GHneo」、「N.S.PRO MODUS³ TOUR 120」(以下モーダス120)、「ダイナミックゴールドS200」(以下DG)の3つです。私はアイアンの純正3大シャフトと呼んでいますが、当然のごとく特性はそれぞれ違います。それを知り、自分にとってどれがいいのかを適正に判断して選んでいただく、というのが今回の目的です。
スチールシャフトのバリエーション自体が少なかった時代、純正はもっぱら「ダイナミックゴールドS200」(以下DG)一辺倒でしたが、「N.S.プロ 950GH」(以下950)が出てからはこの2機種になり、さらに「N.S.プロ 950GHneo」とモーダスの登場で3機種になりました。モーダスが2010年に発売されて約16年になりますが、それ以来10年以上にわたって、この3機種がアイアンの純正スチールとして定着しています。
ただ、アイアンは買い替えサイクルの長いクラブです。前述した中で、まだ「N.S.プロ 950GH」(以下950)が入ったアイアンを使っているというゴルファーのために、950、モーダス120、DGにはどのような違いがあるかを解説します。
それでは3つの比較に入りましょう。まずは重量からで、以下のようになっています。
N.S.プロ 950GH 98g(S)
モーダス120 114g(S)
ダイナミックゴールド 129g(S200)
ご覧のように重量差がはっきりしていて、950は軽量級、モーダスは中量級、DGは重量級です。モーダスがなかった頃は、それこそ軽いか重いかの二者択一。その真ん中を埋める形でモーダスが出てきたことを考えると、渡りに船だったことが窺えます。
キックポイントは以下の通り。
N.S.プロ 950GH 先調子※
N.S.PRO MODUS³ TOUR 120 中元調子
ダイナミックゴールド 元調子
メーカー表示では中調子※の950ですが、実際には先がしなって元が硬めの先調子というのが私の位置付けです。ヘッドがたくさん動く、あるいはヘッドが走るイメージでメリハリがある。反面、ヘッドが暴れると感じる人もいます。
その950とは対極にあるのがDG。手元側が軟らかく先が硬い。950とは正反対ながら、こちらもメリハリが効いています。950と比べると先側の動きが少なくシャフトのしなりを感じにくいことから“粘り系”と呼ばれます。
両者の中間に位置するのがモーダス。中元調子ですが、中が硬くて先と元が軟らかいわけではなくシャフト全体がしなります。動き方にクセがないように感じるため、多くの人に受け入れられやすいと言えるでしょう。ダウンスイングで全体がしなり、インパクトにかけて全体がしなり戻るので、ボールを包み込むイメージになってつかまり、ぶ厚いインパクトになりやすい。打感も軟らかく感じる人が多いという特徴があります。
950はやさしさ、モーダスは万能型、DGはハードヒッター向き
続いて硬さ(振動数)ですが、硬さの順ではDGがダントツで、モーダスのXフレックスよりも硬い。元調子でしなりが少ない粘り系、しかも重いということで、3つの中では最もハードな仕様といえます。
2番目に硬いのはモーダスかと思いきや、950の方がモーダスより少し硬くなっています。モーダスは全体がしなって軟らかい印象なのですが、振動数の実測値でも軟らかいのです。ですから純正にモーダスが刺さっているアイアンではフレックスに注意しなければいけません。一般的な表示と比べた場合、半フレックスからワンフレックス軟らかいので、普段使っているものがSならX、RならSにした方がベター。半フレックス埋めるのは困難なので購入を決める前に必ず打ってください。
以上の点を踏まえて、どんな人にどれがおすすめかを記すと、950は初級者~中級者向き。重量的に楽に振れて、球がつかまりやすく、かつ上がりやすい。これらは先側が動くメリットです。シャフトが仕事をしてくれるオートマチック感があるので、スイングが不安定な人、もちろん軽いクラブが好きな人にもフィットします。
モーダスは初級者~上級者とターゲットが幅広い。重さがある割にはしなりが大きいので多くの人が受け入れやすい。フレックスのバリエーションも多いので、しなりを感じたい人には必ず合うスペックがあります。950では物足りず、DGではハードすぎる、という人にもいいでしょう。
DGはハードなので初級者にはおすすめできません。ある程度スイングが安定している人や、球がつかまりすぎる人に適正があります。左へ飛ぶミスが怖い、打球が上がりすぎたり、フケる人にもいい。重いクラブが好きな人、クラブの重さを使って打ちたい人、フェースローテーションなど自分でクラブを操作したい人に向いています。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。








