J’sドライバー|ニューヨークタイムスに取り上げられた魔法のドライバー
商品開発はドラマ!!!|今だから言える驚きのストーリー[第2回]
ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回は1990年のマスターズで大きな話題となったブリヂストンスポーツの『J‘sドライバー』が主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.585/70ページより
1990年4月8日マスターズ最終日の日曜日の朝「The New York Times(ニューヨークタイムス)」に日本のゴルフクラブの記事が掲載され、大きな話題となった。「The Mysterious Magical Jumbo(不思議な魔法のジャンボドライバー)」という見出しで4段の大きな記事で取り上げられた。1990年4月のマスターズにジャンボ尾崎(尾崎将司)が出場し、使用しているJ'sドライバーをジャック・ニクラス、レイモンド・フロイドも使い飛躍的に飛んでいるとの内容である。
ニクラスが1989年の春にジャンボとプレーした時、ドライバーの飛距離はほとんど変わらなかった。しかし、J'sを使うようになったジャンボとその年末に日本でのテレビマッチをしたとき90ヤード以上置いていかれた。ニクラスは前週に行われたPGAシニアツアーでJ'sドライバーを使い平均300ヤード以上ドライブし、最大は350ヤード飛ばしたとのことである。
フロイドもマスターズの2番ホール550ヤードで、下り坂とはいえ400ヤード近く飛ばしたと伝えている。まさに魔法のドライバーとして取り上げられた。この年のマスターズの最終成績は、J'sドライバーを使った47歳のフロイドは2位、50歳のニクラスも6位と健闘し、ジャンボは23位であった。
この魔法のドライバーJ'sが発売されたのがこの年の2月である。1本5万8000円で高価格であったが、この記事がでたことで、J'sドライバーの高性能の証明となり、国内外のトッププロの間でさらに評判となった。一般ゴルファーにとっても憧れのクラブとなり、発売年で15万本の大ヒット商品となった。