「操作しやすいヘッド」は寛容性が低い=『難しい?』
「飛距離の階段」ナゼ作れない?―「バランス理論」の盲点|第6回
写真/シンガポールオープン2022(オフィシャル)
“飛距離の階段”は番手ごとに、一定の間隔を作りたい。
とは言っても、実際のコースでは常に条件が変わる。無風の平地から試打マシンで打つようにはいかない。アイアンには中途半端に曲がりにくい寛容性よりも、コントロールの意図が反映する操作性が必要なのでは。
アイアンでも、スイートエリアが広い、寛容性が高いとやさしいクラブというイメージだが、なぜプロは使いたがらないのだろうか。多少の打点のズレを吸収し、飛距離が安定するのなら“飛距離の階段”も作りやすいはず。それでも選ばないのは、操作性が低いというデメリットがあるからだろう。
グリーンを狙うショットで、そこから4打以上を避けて3打以内に収めるには、目標から半径20ヤード以内に確実に運べる“やさしい”アイアンはメリットがある。
だが、3打以内、2打で収めるには目標をシビアに狙い打ちできる必要がある。たとえば下り斜面、セミラフから右からの追い風に流されず目標をとらえるには、弾道コントロール=操作性の高さが必須となる。
寛容性が高い=ヘッドMOI(慣性モーメント)が高いと、ヘッドの入れ方、フェース向きの操作による打ち出しやスピン量の加減が、逆に難しくなる。ボックスキャビティのように、重心深度を深めるのも同様だ。