ゴルフボールのカバーが凸凹している理由、知ってますか?
ゴルフそもそも調査部 vol.3【今回の調査テーマ|どうしてゴルフボールにはディンプルが付いている?】
現代のゴルフギアは、先人の創意工夫が積み重ねられてきたもの。時に感じる疑問や「なぜ」「どうして」を、それらを形作ったきっかけやエピソードで振り返ってみよう。今回の調査テーマは「ゴルフボールのディンプル」だ。
GOLF TODAY本誌 No.602/138〜139ページより
1846年に史上初のゴム製ボール「ガッタパーチャ」が英国のペーターソン兄弟により発売された。最初は表面がすべすべで、塗装もしない褐色のまま売り出されたが、新しいうちはあまり飛ばず、急角度でドロップすることが多かったという。ところがアイアンで打ち損じて、表面に傷が増えるとよく飛ぶようになった。
ガッタパーチャは熱湯に浸すと軟らかくなり、平らな板の上で練りまわすと簡単に傷を修復することができたが、それを行うとまた飛ばなくなったらしい。それに気づいたセントアンドリュース在住の馬の鞍を作る職人が、先が細い刃となった鉄槌で叩き、ボールの表面全体に網の目を刻み付けることを始めたところ、評判を呼んで依頼が殺到したという。
これが、現代の「ディンプル(えくぼ)」につながる「メッシュ(網の目)」の「ニックス(刻み目)」のスタート地点だ。ガッタパーチャ以前の羽毛球「フェザリー」や木製の球には〝表面加工〟という発想はなかった。