タイガー・ウッズが選んだブリヂストンのボール。当時の開発の背景にあったものとは
【第25回】商品開発はドラマ!糸巻からウレタンへ。タイガー使用球の開発がもたらした、ボール界の歴史が動いた大変革
ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はウレタンソリッドボール(ブリヂストンスポーツ)が主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.608/70〜71ページより
写真/ゴルフトゥデイ編集部 取材・文/嶋崎平人
開発担当者は、「これからのボールは糸巻でなく、特殊合成ゴムのコアとウレタンカバーを使ったソリッドボールである」と確信していた。
世界のトーナメントが糸巻き主流の時代にブリヂストンはプロが求める“飛んで止まる、飛びのバラツキを極限まで排除した”ソリッドボール開発に挑戦し、1993年ソフトサーリンカバーのソリッドツーピース「レイグランデWF」を発売したのだ。
このボールを使用してニック・プライスが1993年、1994年USツアーで賞金王獲得、1994年全英オープン、全米プロ選手権に優勝していた。
流れを受け、日本ツアーではこのボールが主力となっていたが、米国ではよりスピン性能が求められ糸巻ボールの強い時代。タイトリストが圧倒的なシェアを誇っていたが、その牙城を崩すべく、ナイキとブリヂストンスポーツがタイガーを軸にタッグを組んだ。
目指すは、「糸巻ボールのスピン性能を超えるウレタンカバーソリッドボール」の開発。
タイガーはプロ入り後、マスターズ最年少優勝など一気にスターダムにのし上がり、ボールテストは限られた時間の中で濃密に行われた。