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パターとウェッジの値段、最近高くないですか?(後編)

2025/06/03 ゴルフサプリ編集部

ゴルフギアライターが、パターとウェッジの価格上昇について考えてみた話。パターの続きとウェッジについてもあれこれと話しています。

パターはワンオフの手法で量産したから価格が上昇?

パターの価格上昇の背景には、物価上昇だけではなく、ゴルファーのマインドの変化、それに加えて製造方法の変化もありそうだという話の続きです。

4万円超えパターの多くは“削り出し”で作られている。加工精度が高いということがメリットのひとつだが、少量生産に適していることもメリット。パターの好みは十人十色で、ピン型、マレット、大型マレット、L字と言った基本のシェイプだけではなく、多種多様なデザインやネック形状、ネックの位置、オフセットなど順列組合せで揃えたらとんでもないバリエーションが生まれてしまう。これにマッチするのが“削り出し”ということだ。

同じものを大量に作る場合は鋳造が有利で、初期投資として型代が必要だが、同時に大量に作りやすく、沢山作るほど製造原価は安くなる。一方で削り出しは、工作機自体は非常に高額でヘッドひとつあたりの製造時間も長くなり、材料のロスも多くなるので、製造原価が高くなるものの、多品種少量生産が得意な製造方法。

削り出しは多品種少量生産に適した製造方法。

バブル崩壊からリーマンショックでゴルファーが半減して需要が減少すると、鋳造で多種多様なバリエーションを製造販売することが難しくなった、しかし、プロに供給するパターのモデルバリエーションを維持するには“削り出し”が有効だったので、結果として削り出しパターのプロ使用率が上がったのではないか、もちろん、鋳造品も製造を続けるけれど、バブル時の販売数量は見込めないからモデル数は減らして販売単価も上げる必要があったということだろう。パターの価格高騰は、バブル崩壊→需要の縮小→生産方法の変更が大きな理由だったということだ。

ウェッジはアイアン1本と同価格なら高くない

パターの価格の次に、ウェッジの価格も見てみよう。パターと同様にウェッジ1本は1万円台で買えるという感覚を持っていたけれど、最近は2万円台があたりまえになっている。

一番人気のウェッジ タイトリスト ボーケイデザインSM10(左)は2万7500円、スピン性能が自慢のキャロウェイ オーパス(右)は2万9700円。

主要メーカーのウェッジ(現役モデル)の価格を見ると
キャロウェイ オーパス 2万9700円
クリーブランド RTZ 2万4200円
ピン S159 2万7500円
フォーティーン FR-5 2万7720円
ブリヂストン BITING SPIN 2万4200円
ミズノ T1 2万5300円
となっていていずれも2万円台だ。

今ではウェッジを単品で購入するのが普通だけれど、昔はSWまでがアイアンセットに含まれて販売されていた。単品ウェッジが注目されるようになったのは、タイガー・ウッズがマスターズを初優勝した時に使用していたクリーブランド588ツアーアクションからだろう。それ以前にも、サンドウェッジだけは名器と言われるものがあり、ピンアイ2のSWやリンクス マスターモデルのSWも単品で売られていたがいずれも、本来はセットに組み込まれていたものだった。


単品ウェッジの先駆けとなった クリーブランド588ツアーアクション(写真提供:ANSERFREAK)

タイガーのマスターズ初優勝と時を同じくして、アイアンセットの本数が10本から8本と減り始めて、2005年ごろには5番からPWまでの6本セットとなり、ウェッジは単品で購入するのが当たり前となった。

このころのアイアンの価格を調べてみると、タイトリスト690.MBが1本1万7850円、ブリヂストン ViQフォージドが1本1万8900円で、同時期の単品ウェッジもほぼ同じか少し安い価格で販売されていた。元々アイアンセットで販売されていたウェッジがセットから独立して販売されるようになったのだから、当然と言えば当然だ。

現在のアイアン価格を見ると(カッコ内は前出の同社ウェッジの価格)
キャロウェイ X FORGED 2万9700円(2万9700円)
スリクソン ZXi5 2万5300円(2万4200円)
ピン i230 3万800円 (2万7500円)
フォーティーン TB-5 2万7720円 (2万7720円)
ブリヂストン 242CB+ 2万4200円 (2万4200円)
ミズノ ミズノプロ S-3 2万5300円 (2万5300円)
となっていて、ウェッジ1本の価格は、ほぼアイアン1本と同じになっている。

ウェッジは、アイアンの価格に連動していて、特別価格が高騰していたわけではなかったということだ。とはいうものの、パターで4万円台、ウェッジが2万円台という価格は買って試してを繰り返すにはちょっとハードルが高いように感じる。でも、コースで試して自分に合うものを選びたい! と思ったら、GDOのトライショットはウェッジやパターも利用可能だった。賢く使えは無駄な出費を抑えてスコアアップもでるはずだ。

文/
大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。

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