ジャンボに「夢は?」と聞かれた金子柱憲 シード権獲得という目前の目標を隠してとっさに出た言葉とは
ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.15
今回は、夢の話をしよう。日本一のゴルフ場数(33コース)を誇る千葉県市原市や、同2位の兵庫県三木市(25コース)など、地方自治体がジュニアゴルファーの育成に力を入れ始めている。ジュニアにとっては試合で腕試しをする機会も増えているわけだが、そこで陥りやすいのが結果至上主義。もっと先にある、大きな目標を達成するために、今やるべきことを見極める。その重要性を、「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の著者でもあるジャンボの愛弟子・金子柱憲が説く。
GOLF TODAY本誌 No.615/122〜123ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己
金子がまだプロゴルファーとして駆け出しだった24、25歳の頃、ジャンボからかけられた言葉がある。
「(金子の夢は)マスターズか。遠いな。でも夢というのは、あきらめずに追い続けていると、その思いが宇宙まで行って跳ね返って戻ってくるんだ。間に合えば叶うかもしれないぞ。間に合わなければ、お前の子どもか、孫が叶えるかもな」。
それから10年余り。金子は自身でその夢を実現した。1996年に日本の賞金ランク2位となり、この年の賞金王だった師匠のジャンボ尾崎とともに招待を受け、翌1997年のマスターズに出場した。
実はジャンボに「夢はあるのか?」と聞かれた時、金子の本音は、目前の目標であるシード権の獲得だったという。二人きりの酒席でのことだけに、あまり小さい夢ではジャンボに叱られるのではないかという気持ちが芽生え「なんかでかいことを言わないと」と精一杯背伸びしたつもりで口からこぼれ出たのが「マスターズ出場宣言」だった。