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ジャンボに「夢は?」と聞かれた金子柱憲 シード権獲得という目前の目標を隠してとっさに出た言葉とは

ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.15

2023/09/10 ゴルフサプリ編集部

ジャンボ尾崎,ジュニアゴルファー

今回は、夢の話をしよう。日本一のゴルフ場数(33コース)を誇る千葉県市原市や、同2位の兵庫県三木市(25コース)など、地方自治体がジュニアゴルファーの育成に力を入れ始めている。ジュニアにとっては試合で腕試しをする機会も増えているわけだが、そこで陥りやすいのが結果至上主義。もっと先にある、大きな目標を達成するために、今やるべきことを見極める。その重要性を、「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の著者でもあるジャンボの愛弟子・金子柱憲が説く。

GOLF TODAY本誌 No.615/122〜123ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己

大きな目標にたどりつくために、今やるべきことを見極める

ジャンボ尾崎,ジュニアゴルファー
弟子たちの夢についても、正面から受け取ってアドバイスをおくる尾崎将司。

金子がまだプロゴルファーとして駆け出しだった24、25歳の頃、ジャンボからかけられた言葉がある。

「(金子の夢は)マスターズか。遠いな。でも夢というのは、あきらめずに追い続けていると、その思いが宇宙まで行って跳ね返って戻ってくるんだ。間に合えば叶うかもしれないぞ。間に合わなければ、お前の子どもか、孫が叶えるかもな」。

それから10年余り。金子は自身でその夢を実現した。1996年に日本の賞金ランク2位となり、この年の賞金王だった師匠のジャンボ尾崎とともに招待を受け、翌1997年のマスターズに出場した。

実はジャンボに「夢はあるのか?」と聞かれた時、金子の本音は、目前の目標であるシード権の獲得だったという。二人きりの酒席でのことだけに、あまり小さい夢ではジャンボに叱られるのではないかという気持ちが芽生え「なんかでかいことを言わないと」と精一杯背伸びしたつもりで口からこぼれ出たのが「マスターズ出場宣言」だった。

「結果至上主義」に警鐘を鳴らす

マスターズ,ジャンボ尾崎,金子柱憲

1997年のマスターズに師匠のジャンボ尾崎とともに出場を果たした金子柱憲。

それを聞いたジャンボは、真顔で「そう思うことはすごく重要だ」と返してくれたという。

「『夢はマスターズ出場です』とジャンボに言ってから10年余りの間は、マスターズを目指すどころか目の前のことを乗り越えることに必死でした」。

つまり、大きな夢を達成するまでの間、金子は常に目の前の課題と取り組み、それを積み重ねた。その結果、マスターズ出場という大きな夢を叶えたわけだ。

金子は「その時その時にうまくなるためにやるべきことを見つけて、やっていましたね」とマスターズ出場までの10余年を振り返った。だからこそ、金子は今、ジュニアゴルファーが陥りやすい「結果至上主義」に警鐘を打ち鳴らす。

金子の独白 「ある程度ゴルフの練習をしていれば、飛距離も出てきて、たまにいい成績で上がれることもあるでしょう。だけど、もう一歩先に常に行かなければいけない時に、果たしてそれでいいのか。そこは目的ではない。スコアに一喜一憂してばかりいると、目の前のことはなかなかクリアできなくて、同じことの繰り返しになる。

人によって、今クリアすべきことは違うのです。今の成績だけにとらわれると、成長がそこで止まる可能性がある。これはジャンボも言っていることですが、球筋や球の捉え方などの技術だったり、メンタルだったり、目の前の課題をクリアしないとその先に行かれない。その課題が何なのか、冷静に見極めなくてはいけない」。

ちょっとずつ一歩先に進むことが大切

マスターズ,金子柱憲

目の前の課題をひとつひとつクリアしながら、努力を続けることで夢とした語ったマスターズにも行けることができた金子。

結果が出れば喜び、さらなる成績を要求する親は少なくない。だがそれが最優先順位に来てしまうことの危うさを、金子は指摘する。

金子の独白 「ゴルフって逆転できるスポーツ。運動能力があるに越したことはないのだけれど、ない選手でもゴルフは上に行く可能性がある。高校の時にはダメだったけれどその後頑張ったり、逆に高校の時にすごく良くても、その後伸び悩んだりっていうことがある。

もちろん運動能力はとても必要だけれど、ゴルフは考える力だったり、練習する能力の方が結構大きな部分を占める。だから短いスパンで考えずに例えば3か月かけるとか、半年かけるとか、1年かけるとか、そういう中で、試合で自分がやってきたことと結果が結びつくと、ちょっと一歩先に進むわけ」。

最後に金子は、ジュニアの成長を本人や親が急ぎすぎることに、こう警鐘を鳴らした。

金子の独白 「もっと高いレベルが存在していて、壁はいくつもあるわけだから、あまり飛び越して考えない方がいい。飛び越して考えると年齢が行くとともにギャップがどんどん大きくなって、取り戻せなくなってしまうことも起こる」。

ジュニアにとって、先は長い。それだけに性急に結果を求めることはせず、じっくり取り組むことが大切ということだ。

金子プロからジュニアへのワンポイントアドバイス

今回はプレショットルーティン。プレッシャーがかった時に、同じルーティンをすることによって、精神が安定します。練習ではいいけれど、試合で緊張する人や、ラウンド中に精神状態が上下する人には、有効だと思います。

私の場合は、ティショットの時にボールの後ろに回って、クラブヘッドを左手で“拭き拭き”しながら、方向をチェック。それからアドレスに入っていました。いいプレーをしている時にはこのクセが出ているのに自分で気づいて、普段からこのルーティンを守るようにしました。


金子柱憲

金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。


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