PGAツアーの勝者として初めて100歳まで生きたグランドマスター、ジャック・バークJr.って知ってる?
佐渡充高のプレミアム・ファイル
ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。
GOLF TODAY本誌 No.623/99ページより
2024年1月19日ジャック・バークJr.が、101歳の誕生日を迎える10日前に天国へと旅立った。メジャー、PGAツアーの勝者として初めて100歳を生き、世界のファンはレジェンドを超えたグランドマスターと追悼した。
初対面は03年11月テキサス州チャンピオンズGC。同コース5回目のツアー選手権で最後の開催地になった時だ。大会前の練習場で選手たちから「ジャッキー!」と呼ばれていて、すぐに彼だとわかった。バークはサラゼン、スニード、ホーガン、ネルソンらと名勝負を繰り広げ、年配女性は「とても素敵でセックスシンボルだったのよ」と回想するほど人気選手だった。
挨拶するとなぜか「久しぶり!」とガッチリ握手! 驚いたが、とことん愉快な人柄でキレ味鋭いトークにどんどん引き込まれた。最後に「ヒューストンを楽しんでいるかい? 楽しくなかったら僕に連絡して!」と満面の笑顔。(社交辞令ではなかった)わずか数十分で、気づけば僕もファンになり幅広い世代から愛される理由が理解できる気がした。
再婚したロビン夫人とのエピソードもユニーク。24歳時に64歳のバークにパットのレッスンを願い会うことに。バークは楽しく学んでほしいとパットの勝負を提案。それもバークはパターではなく足で打つ奇抜なアイデア! 会う度にゴルフの真髄を鋭く朗らかに説くバークに魅かれ40歳差婚に至った。夫人も97年全米女子アマ2位、アマ女子の団体戦最高峰カーティス杯米国代表、16年には同大会米国主将など活躍し、唯一夫妻揃ってテキサスゴルフの殿堂入りを果たしている。