渋野選手の7番アイアンのスイングですが、スタンス幅は肩幅より若干広めのワイドスタンスです。胸の上に乗せた両腕はリラックスし、綺麗な三角形が形成されています。ボールは左目の下にセットされ、左腕とシャフトが一直線になるハンドファーストでアドレスをしています。
左のお腹、左肩が回り、右足にしっかり体重が乗って、両腕の三角形の形が変わらずにテークバックしていきます。アマチュアの方に真似して欲しいポイントは左手のグリップをしっかり握り、低く押し込むように引き始めるところです。
P2ポジションで 胸が右斜め下を向き、手元が低いままバックスイングしていきます。このポイントでスタンス向きとシャフトが平行になるようにアマチュアの方も常にチェックしましょう。
構えた時の手首の角度が変わらないまま、右股関節に体重が乗っています。左腕が低く動くことで、肩が深く入り、クラブヘッドは勝手に上に上がっていきます。アマチュアの方の多くは、バックスイングで手元を上に上げようとするので、コックが入らずに肩関節が持ち上がり、肩の入りが浅くなりがちなので注意しましょう。
コンパクトなトップ位置に見えますが、お腹まわりがしっかりターンしているので、右の背中が見えるぐらい深く肩が入っています。そして切り返す瞬間、特徴的なのが左手首を掌屈しシャローアウトさせる動きです。
切り返しで右股関節から左股関節に体重を移動させ下半身リードしています。まだ胸は右を向き、胸と手の距離が変わらない深いタメが作れています。アマチュアの方が参考にすべき点は、ここで左腰と左肩の高さが変わらずにダウンスイングしており、重心が低くキープされている部分です。
両足でしっかり地面をつかみ、ボールを強く叩ける格好になっています。グリップエンドがボールの少し先を指したあたりで、右腕のリリースが始まります。アマチュアの多くは、胸の開きが早く、手元が浮くためコックが解けアーリーリリースになりやすいので、 渋野選手のようにギリギリまで胸の開きを抑えることが大事です。
左股関節に体重が乗り、前傾姿勢が変わらないので手元が低く下ろせています。注目してほしい点は、ボールの真上に手元が来た時にクラブヘッドはまだ右側にあります。しっかりとハンドファースト、ダウンブローでインパクトしているのが分かります。
腰の開きが45度前後、胸の開きは少し。頭がしっかり残った理想的な形でインパクトしています。そして、ハンドファーストでインパクトしたので、左足前で左腕とシャフトが一直線になります。
P8ポジションでも頭が残り、前傾角度が崩れずに振り抜いています。アドレスからフォローまで下半身主導の回転で打っているので、両腕の三角形がキープされています。そしてクラブフェースを見ていただくと分かるようにフェイスローテーションも抑えられています。
左股関節に体重が乗りながらも腰が切れ 、詰まることなく左へ振り抜けています。インパクト後に腰の回転が止まると、腕を振り抜くスペースがなくなり、ヒジが引けたり、左ではなく上方向に振ってしまい、飛距離ロスや曲がる原因になるので注意しましょう。
左足上に体重がしっかり乗り腰が回りきっています。右腕はまだ伸びて、大きなスイングアークを描きながらフィニッシュへと向かいます。
左足上まで右腰が回り切り、右足は綺麗に伸びてツマ先立ちして、背中が全部見えるほど上半身も回りきっています。両腕が体に巻き付き、非常にバランスの良いフィニッシュになっています。
渋野日向子(サントリー)。しぶの・ひなこ。1998年11月15日生まれ。167㎝。2019年、ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでツアー初優勝。その後出場したAIG全英女子オープンでも優勝して大ブレイク。天真爛漫な笑顔で大人気に。2020年に出場した全米女子オープンでは最終日を単独首位で迎えたが、最終的には4位でフィニッシュ。
解説:長岡良実。ながおか・よしみ。1972年生まれ。茨城県出身。習志野CCの研修生となり林由郎に師事し1999年にプロテスト合格。動画で受講できる「長岡プロのゴルフの知識」では高い技術と理論をもとにわかりやすいレッスンを展開中。また、Youtubeチャンネル「長岡プロのゴルフレッスン」も好評。