アース・モンダミンカップ2日目を終えて感じるギャラリーの力

新型コロナウイルス感染防止対策が講じられ、これまでの試合とはまったく違った雰囲気で行われているJLPGAツアー、アース・モンダミンカップ。

出場選手・キャディ・スタッフなど会場に入る者を対象にしたPCR検査の結果、再検査判定が4件出たが、再検査の結果、そのうち3件は陰性、残り1件は判定不能と判明。判定不能者は大会への関与を控えることになっている。

初日こそ降雨によってスタート時間の遅れがあったものの、試合の進行は滞りなく進んでおり、ここまでは大会関係者の努力が実を結んでいると言えるだろう。

しかし、やはりギャラリーの不在は選手たちに少なからぬ影響を与えているようだ。

PCR検査。再検査の結果、「陽性0件」でひと安心

出場選手・キャディ・スタッフ等、会場に入場する821名を対象に実施したPCR検査で23日再検査が4名出たが、判定者の結果が25日夜に判明し、3名が陰性、判定不能が1名の結果になった。判定不能はPCR検査で検査のためにRNAを増やす工程が出来なかったとのことで、大会への関与を控えることとなった。

スタッフかプロかは明らかにされなかったが、25日の第1ラウンド、プロ144名全員がスタートしたことで、プロの中で陽性者、判定不能者はおらず、大会はスムーズに進行している。26日の第2ラウンドも、欠場者はいなかった。

静寂に包まれた試合会場。やっぱり少し寂しい

テレビ中継がない。無観客試合の今大会で、大会の模様はインターネットでライブ中継されている。インターネット中継はトーナメント全体中継、注目ホール中継、9番パー3中継、選手インタビューの計4つのチャンネルが用意されている。

チャンネル登録数は3.76万人に達しており、初日1組目のスタート時は17,340人が視聴していた。実際、通常のトーナメントで、それだけ多くのギャラリーが初日に詰めかけることはなく、3カ月半ぶりの女子トーナメントへの注目度の高さが伺われた。

しかし、インターネット中継から聞こえてくるのは解説者の声を除けば打球音、グリーンオンの音、カップインの音、それに時折響くカラスの声である。プロたちの素晴らしいショット、バーディを取ったときの歓声はもちろん聞こえてこない。

笑う門には福来たる。笑顔がたえない鈴木愛はみんなの声を力に変えて

無観客試合をプロはどう感じているのだろうか。昨年賞金女王の鈴木愛は練習日のリモート記者会見で「やっぱり観客がいないと自分自身ちょっと寂しいところがあるんですけど、その辺はキャディさんに盛り上げてもらって、自分の気持ちを高めてしっかりゴルフに集中して回りたい。」と無観客であるこそキャディの盛り上げに期待していた。鈴木の今週のキャディはベテランの清水重憲さん。

初日を4アンダーで終えて鈴木は「リモート会見で『清水さんに盛り上げてもらいたい』って言ったら、記事を見てくれていたみたいで、今日朝イチからめっちゃ盛り上げてくれたんで、すごく楽しく回れました」と、キャディの存在が力になってスコアを伸ばしたことを明らかにした。

また、「同伴の藤田さいきさんも、川満陽香理さんもキャディさんたちも、すごく盛り上げてくれたので、無観客とは思えないぐらい本当に楽しく回れました」と良き同伴競技者たちのおかげもあって、予選2日間を終え6アンダーの2位タイで決勝に進んだ。

鈴木とは対照的なので渋野日向子である。予選2日間トータル2オーバーで終えて、1打足りず71位タイで予選落ちした。

渋野はリモート会見で「ギャラリーがいたときに、バーディを取ったときの歓声が、自分のエネルギーになることを改めて感じた。ギャラリーが力になり、アドレナリンが出ていることを改めて知った」と、昨年は常に大勢のギャラリーを引き連れてプレーしていた渋野は、ギャラリーの大切さを再認識していた。

そして予選は1オーバー・56位タイまでの70名が決勝に進んだ。トップは9アンダーの田中瑞希。田中は去年3度目のプロテストで合格し、少し遅れてきた黄金世代の一人であり、この試合がプロデビュー戦である。

3打差の2位タイには鈴木愛、李知姫、渡邉彩香といった実力者・優勝経験者が控えており、明日から始まる決勝ラウンドが楽しみである。

写真／Getty Images/JLPGA提供
取材／嶋崎平人
編集／ゴルフサプリ編集部