桃子、メジャー自己最高6位は記録づくめの逆転劇!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.43
全英女子オープンで上田桃子が6位と健闘した。予選終了時52位から決勝ラウンド2日間で7アンダーをマークしての大逆襲。歴史的な大幅ランクアップとなった。
桃子、メジャー自己最高6位は記録づくめの逆転劇!
リンクスを吹きわたる強風に多くの選手が翻弄された予選ラウンドの2日間。全英女子オープンで過去2度のトップ10があり、出場した日本勢で最もリンクスの経験がある上田も75、75の通算8オーバーと苦戦し、52位で何とか予選をクリアした。風が比較的穏やかになってきた決勝ラウンドでは本領発揮。3日目12番でダブルボギーを叩いたが、スコアを落としたのはそのホールだけ。計9個のバーディを奪い、2日間トータル7アンダー、135をマークして6位でフィニッシュ。見事な逆襲で自身3度目のトップ10入り、そして海外メジャーでの自己最高位をマークした。
海外メジャーにおける日本勢のトップ10入りは今回の上田で73例目となる。その中で予選終了時52位からのトップ10入りは最も低い順位からの巻き返しである。これまでは1983年ピーター・ジャクソンクラシック(後のデュ・モーリエクラシック)での岡本綾子の50位(最終順位は10位)が最低順位だった。順位のランクアップの数でいうと52位から6位だから46ランクアップとなる。こちらも2010年全米女子プロでの宮里藍の45ランクアップ(48位から3位)を抜いてトップ10入り選手中歴代1位の記録となった。まさに記録づくめの逆襲劇だったのである。
上田のプレーを分析してみたい。決勝ラウンド2日間の7アンダー、135は優勝したソフィア・ポポフと並んでトップのスコア。それくらい素晴らしいプレーだったわけだ。風が弱くなったとはいえ、そう簡単に好スコアを出させてくれないのがリンクス。決勝ラウンド2日間の平均は2.5オーバー、144.5と、しっかりオーバーパーである。上田はフィールド平均より10ストローク近くよかったわけだ。上田はスコアだけでなくパーオン率も素晴らしかった。決勝ラウンド2日間のそれは実に91.7%。グリーンを外したのは3ホールだけだった。この数字もポポフと並んでトップタイ。この2人に続く3位は83.3%と離されている。上田のショット力はメジャーの舞台で中でも光り輝いたわけだ。黄金世代を中心にした若手に注目が集まる中、34歳のベテランが経験と技を駆使してその存在感を見事に見せつけた。
海外メジャーで予選通過時低順位からトップ10入りした日本女子選手
選手名 | 大会 | 予選通過時順位 | 最終順位 |
---|---|---|---|
上田桃子 | 2020年全英女子オープン | 52位 | 6位 |
岡本綾子 | 1983年ピーター・ジャクソンクラシック | 50位 | 10位 |
宮里藍 | 2010年全米女子プロ | 48位 | 3位 |
福嶋晃子 | 2002年クラフト・ナビスコ選手権 | 45位 | 5位 |
宮里美香 | 2011年全米女子プロ | 38位 | 8位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/
2019ダイキンオーキッドレディス
2019資生堂アネッサレディスオープン
2019サマンサタバサレディース
撮影/相田克己 本誌編集部