31歳のハリス・イングリッシュ16番のイージーミスを18番で修正して復活V!
一流キャディから人気レポーターへ! 世界の杉ちゃんが診る今月の一打
プロキャディー・ゴルフ解説者の“世界の杉ちゃん”こと、杉澤伸章氏が新年の初戦『セントリー・トーナメントオブチャンピオンズ』について解説します。
GOLF TODAY本誌 No.585/89ページより
ベテランの底力を見せたハリス・イングリッシュ
新年の初戦としておなじみの「セントリー・トーナメントオブチャンピオンズ」。ハワイのプランテーションコースで開催されるこの試合は、毎年ビッグスコアが出ることでも知られています。私も丸山茂樹選手のキャディをしていた時代に、このコースで試合に挑みましたが好スコアが出る要因はコースの横幅が広くて、OBや障害物を気にせずにドライバーを打てること。さらに地面が硬いので、飛ばせる選手であればランを含めて400ヤード近いビッグドライブが可能です。
今年も20アンダーを超える優勝争いとなり、最終日に「64」をマークしたホアキン・ニーマンと、2日目からトップを堅守していたハリス・イングリッシュのプレーオフとなり、1ホール目でバーディを奪ったイングリッシュが8年振りの優勝を飾りました。
好調の要因はパットにあり!
『部門別のデータを見ると今シーズンはトータルパット数が4位、ストロークゲインドパッティングが19位とパッティングが好調。
一昨年のシード圏外から、賞金2位に躍進
2019年シーズンは賞金ランキング149位と賞金シード圏外だったが、今シーズンは賞金ランキングでも2位と躍進。
優勝争いは9バーディ、ノーボギーでフィニッシュしたニーマンが優勢でした。一方、イングリッシュはチャンスホールの16番パー4でミスをして、ボギーを叩きます。このホールは377ヤードというワンオンを狙えるパー4なのですが、イングリッシュは残り88ヤードの2打目を10ヤード以上も左奥に外すミスでスコアを落としました。
試合展開としては、このボギーで、一気にニーマン優勝の雰囲気になりました。それが18番では一転、残り270ヤードからの2打目をカップ3メートルにつけるスーパーショットを見せます。この1打で勢いを取り戻したイングリッシュ。プレーオフも18番で行われましたが、スーパーショットの余韻が残っていたイングリッシュは2メートルのバーディパットを落ち着いて決めて優勝。ミスを短い時間で修正するベテランの底力を感じる復活優勝でした。
過去5大会中4回が20アンダー超え
20年以上も同じコースで開催されているこの大会は、過去5大会中4回も優勝スコアが20アンダーを超えている。
コロナ感染を乗り越えて絶好調!
昨年6月に新型コロナウィルスに感染して約8週間の自粛生活を送っていたが、ツアー復帰後は「全米オープン」での4位など好調をキープしていた。
杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)
1975年7月5日生まれ。02年から丸山茂樹の専属キャディとして米国ツアーを転戦。13年には宮里優作のキャディを務め、「日本シリーズ」での初優勝にも貢献。現在はゴルフ中継番組のレポーターとしても活躍。