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飛距離の利点がないコースを制したのは、飛ばし屋のチャン・キムだった

一流キャディから人気レポーターへ! 世界の杉ちゃんが診る今月の一打

2021/01/18 ゴルフサプリ編集部

プロキャディー・ゴルフ解説者の“世界の杉ちゃん”こと、杉澤伸章氏が伝統の最終戦『ゴルフ日本シリーズ JTカップ』について解説します。

GOLF TODAY本誌 No.584/71ページより

2021年の伝統の最終戦を制したのは飛ばし屋だった

飛距離の利点がないコース。分岐点となったのは17番ホール

最終戦の『ゴルフ日本シリーズ JTカップ(以下、日本シリーズ)』は、佐藤太平選手のバッグを担いでプロキャディとして試合に挑みました。今年は『フジサンケイクラシック』や『ダンロップフェニックス』でも佐藤選手のキャディをやりましたが、やはり外から見る感覚とは全然違うものです。

おそらく、テレビで見ていた皆さんも優勝を争っていた岩田寛選手、谷原秀人選手、大槻智春選手が3人とも最終日の18番ホールでボギーを打つとは予想できなかったと思います。結果的には18番ホールでパーセーブしたチャン・キム選手が優勝したのですが、プレーヤー目線では17番ホールが分岐点だったと思います。

18番ホールはすごく難しいパー3なのですが、17番ホールは最も簡単なパー5。最終日だけを見ても17番ホールは出場選手30人中16人がバーディ以上で、18番ホールのバーディはわずか1人で12人がボギー以下。感覚的には2ホール合わせてパー8という感じです。

平均パット数、FWキープ率が上位
『日本シリーズ』では4日間通してのフェアウェイキープ率が5位、平均パット数が6位と、飛距離ではなく正確性やショートゲームが安定していた。

ツアー5勝のうち、メジャーで2勝!
19年の『日本オープン』に続いて、20年の『日本シリーズ』で2度目の国内メジャータイトルを獲得。通算5勝のうち2勝がメジャーで大舞台に強い。

だから17番ホールでは絶対バーディが欲しいのですが、岩田選手、谷原選手、大槻選手は3人ともパー。だから18番ホールの展開が苦しくなった。ちなみに優勝したチャン・キムはしっかり17番でバーディを奪い、18番をパーでおさめるフィニッシュでした。

チャン・キム選手は飛距離を武器にパー5を攻略するイメージですが、東京よみうりCCでは、飛距離の利点はほとんどありません。それは2つあるパー5が、どちらも長くないからです。6番のパー5が541ヤードで、17番が535ヤードなので、ほとんどの選手がツーオンを狙えます。

この試合でもチャン・キム選手も飛ばしていたというよりは4日間を通して慎重に攻めていましたし、最終日のフェアウェイキープ率は全体1位。飛距離よりも、丁寧なマネジメントが優勝につながったと思います。

20年は異例の5試合で30人選出
11月の『VISA太平洋マスターズ』から日本ツアーに復帰したチャン・キムは、その試合から3試合連続でトップ10に入り、好調をキープしている。

来日以降は3試合連続でトップ10
11月の『VISA太平洋マスターズ』から日本ツアーに復帰したチャン・キムは、その試合から3試合連続でトップ10に入り、好調をキープしている。

杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)
1975年7月5日生まれ。02年から丸山茂樹の専属キャディとして米国ツアーを転戦。13年には宮里優作のキャディを務め、「日本シリーズ」での初優勝にも貢献。現在はゴルフ中継番組のレポーターとしても活躍。


世界の杉ちゃんが診る 今月の一打

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