PGAツアーの名物「池ポチャ」ホール。恐るべしTPCの137ヤード!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.71
ジャスティン・トーマスが逆転優勝を飾ったプレーヤーズ選手権。この大会でいつも話題になるのが、グリーンが池に囲まれた17番パー3だ。毎年、多くの選手が池に泣くこのホール。今年はどれだけのボールが池に沈んだのか。
PGAツアーの名物「池ポチャ」ホール。恐るべしTPCの137ヤード!
プレーヤーズ選手権が開催されているTPCソーグラス・スタジアムコースの17番は細い通路以外は池にぐるりと囲まれている。グリーンの奥行は26ヤードと小ぶり。基準となる距離は137ヤードと短いが、米ツアーの猛者たちがとってもナーバスになる魔のホールとして知られている。
今年も初日に悲劇が起こった。アン・ビョンフンのティショットはグリーンに届かずに水没。ドロップゾーンからの3打目はグリーンで弾んで奥の池に入ってしまう。5打目も同様に奥の池。そして辛うじて池を越えてグリーンに落下した7打目は傾斜とスピンで戻ってまたも池に消えた。9打目がようやくグリーンに乗って2パットで11。この日は83と崩れ去った。
この30分ほど前にはケビン・ナが池に3回入れて8を叩いている。ナのこの日のスコアは81。ホールアウト後に棄権してしまった。
初日は実に35個のボールが池に入った。1日あたりの個数では、PGAツアーに詳細なデータが残る2003年以降では2007年初日の50個に次ぐ歴代2位の数字。大会史上でもめったにないくらい多くの選手が肩を落とした日となったわけだ。
2日目は13個、3日目は8個、そして最終日は10個のボールが池の餌食となった。世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンも3日目に池につかまった。それも、素晴らしいショットがピンを直撃し、左に弾かれての池ポチャ。あまりにも不運なシーンだった。
4日間の合計は66個。2003年以降では4番目の多さである。ちなみに1位は2007年の93個だ。
2003年以降の総計はいかほどかというと868個にもなる。1年あたりの平均は約48個だ。TPCソーグラス・スタジアムコースでは1982年から開催されているから単純計算すると合わせて2000個近いボールが池につかまったことになる。すごい数だ。
かくも恐ろしい137ヤード。これからも数々のドラマや悲劇の舞台となることだろう。
プレーヤーズ選手権17番の年度別池ポチャボール個数トップ5(2003年以降)
順位 | 年度 | 個数 |
---|---|---|
1 | 2007年 | 93個 |
2 | 2017年 | 69個 |
3 | 2005年 | 68個 |
4 | 2021年 | 66個 |
5 | 2008年 | 64個 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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