三ヶ島かなと古江彩佳の優勝争いは、3ホールにおよぶピンチとチャンスの攻防だった
プロキャディー・ゴルフ解説者の“世界の杉ちゃん”こと、杉澤伸章氏が現地からレポート! 今回は女子ツアーの最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」をレポート。
GOLF TODAY本誌 No.596/71ページより
勝負を分けたのは、アプローチとパッティング
2年間におよぶ女子ツアーの最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」。最終日は初優勝を狙う三ヶ島選手と、「優勝と賞金女王」を目指した古江選手の一騎打ちとなりました。
三ヶ島選手の2打リードで迎えた14番でチャンスを迎えたのは古江選手。約5メートルのバーディチャンスにつけた古江選手に対して、約3メートルのパーパットを残していた三ヶ島選手。もし古江選手がバーディ、三ヶ島選手がボギーになればトップタイに並びます。
しかし、三ヶ島選手が長いパーパットを決めると、古江選手はバーディパットを外した後の50センチのパーパットを外して、まさかのボギー。この時点で三ヶ島選手のリードは3打に広がります。
このまま三ヶ島選手が逃げ切るかと思いましたが、15番では2打目をバンカーのアゴ下に落としてしまい、この日一番のピンチを迎えました。目玉のライで、一発脱出できない可能性もありましたが、何とかラフまで出してボギーでおさめました。
ドローからフェードに!
青木翔コーチの指導を受けてから球筋をドローからフェードに変えるスイング改造に成功。アイアンでスピン量が増えたことでパーオン率が上がった。
3年シードにより海外挑戦も!?
最終戦の優勝で3年シードを獲得した三ヶ島は「シードが3年あるのはありがたいですし、海外挑戦のきっかけになるかもしれません」と語った。
そして16番パー3では先に打った古江選手が右のバンカーに入れてしまいます。三ヶ島選手も左のラフに外しましたが、そこから劇的なチップインバーディを決めて優勝を決定づけました。
この3ホールはお互いにピンチとチャンスがあり、紙一重の攻防でしたが、勝負を分けたのはアプローチとパッティングでした。宮崎CCはグリーンが狭くて硬いのでパーオンするのが難しい。
さらに高麗グリーンなので、ラインも読みにくい。三ヶ島選手はピンチをカバーするアプローチの技術が光っていました。古江選手は2年間で6勝を挙げて、何度も優勝争いしてきたが、賞金女王がかかった優勝争いは初体験。そのプレッシャーがショートパットのミスにつながったのかもしれません。
2年前から青木翔コーチが指導
19年の最終戦を終えてから、当時、渋野日向子を教えていた青木翔コーチの指導を受け始めて才能を開花させた。
最終戦の初優勝は史上2人目!
プロ6年目の三ヶ島かなは『リコーカップ』がツアー初優勝。最終戦でツアー初優勝を飾ったのは史上2人目の快挙。
4日間を通した平均パット数が25.5で1位だった三ヶ島。難しい高麗グリーンを攻略したことが優勝につながった。
杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)
1975年7月5日生まれ。02年から丸山茂樹の専属キャディとして米国ツアーを転戦。13年には宮里優作のキャディを務め、「日本シリーズ」での初優勝にも貢献。現在はゴルフ中継番組のレポーターとしても活躍。