7バーディ、ノーボギーという完璧な内容で単独2位まで順位をあげた3日目。約4メートルの難しいパーパットが残った14番で松山英樹と早藤将太キャディの間にはこんな会話があったそうだ。

「傾斜は右かな?」(松山)
「少し左だと思います」(早藤)

早藤キャディの読みもふまえて打ったパッティングはジャストタッチでカップイン。ここをパーで凌いだことで15番、18番のバーディにもつながり、3日目をノーボギーで終えることができた。
現地で取材していたゴルフレポーターの杉澤伸章の話によると、早藤キャディは独特だと言われるハワイのグリーンを読めていたと語る。長年、松山は「ソニーオープン」を苦手にしていた印象が強いが、早藤キャディと正式にコンビを組んでから挑んだ2020年は12位タイ、2021年が19位タイと2年連続でトップ20に入っている。ちなみに優勝した今年は、4日間のストロークゲインドパッティングが全体の1位だった。

そして、もう1つの勝因がドローボール。「ソニーオープン」の舞台であるワイアラエCCは左ドックレッグが多いコース。前半だと2番、8番、そして後半は14番、15番、16番、18番が左ドッグになっている。
元々、フェードヒッターだった松山だが、昨年から目澤秀憲コーチとタッグを組むようになり、試合でもドローボールを選択する場面が増えた。今年の「ソニーオープン」では最終日の18番で、ティマークに当たりそうな右サイドギリギリから330ヤードを超えるマン振りのティショットでドローボールを打っていた。
優勝を争う極限の場面であのショットが打てるのは、それほどドローボールに自信があったのだ。

優勝が決まった瞬間、松山英樹がクールに微笑んだ一方で、早藤キャディは目澤コーチに飛び込むようにハグして喜びを表現。
今回の優勝は松山英樹本人だけではなく、キャディやコーチにとっても大きな1勝。それはチーム松山が手にした新しい武器とも言えるだろう。

撮影/Getty Images


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