オトナになった？優勝したセキ・ユウティンの素顔
ゴルフ5レディスで吉田優利とのプレーオフを制しツアー初優勝！
日本ツアー6年目で初優勝したセキ・ユウティン。中国からやってきた“スイートハート”が、大きく成長した姿と、その先にあるものとは…。
（写真／相田克己 ※2022年NEC軽井沢72ゴルフトーナメント）
吉田優利とのプレーオフに勝った裏にあったあきらめない気持ち
“天狗”から、謙虚な気持ちを覚えて飛躍した。ゴルフ5レディスで初優勝したセキ・ユウティンは、そのことを隠さなかった。
大接戦の末、吉田優利とのプレーオフを2ホール目で勝利したユウティン。日本ツアーに参戦した2017年からは、大きな成長を遂げている。中国ナショナルチームでの活躍を経て、プロに転向。18歳で中国ツアー賞金女王になり、自信満々で乗り込んだ日本。QTで出場権を得た2017年の取材では、こう話していた。
「気持ちとしては世界一を目指したい。中国のゴルフの発展に役立ちたい」。
中国では”スイートハート“のニックネームで呼ばれたアマ36勝の実力者。自信に満ち溢れ、その一方で不安ものぞかせていた。
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日本ツアーでは、厳しさを味わった。この年、32試合に出場して16試合で予選落ち。以来、シード権も取れず、下部のステップアップツアーを主戦場にした時期もある。6年目での初優勝には「遅かったと思いますけど、（やっぱり）早い（笑）。最初の半年をもっと謙虚な気持ちでちゃんとしていたら、と思います。私、天才、と思っていたから（結果が出ないことも）自分のせいじゃないと思っていた」と、反省の念を込めて振り返る。
日本ツアーであっさりへし折られた“天狗の鼻”と、やがて向き合うようになったことが、優勝へとつながった。勝利のポイントは「メンタル」。13番のイーグルで単独首位に立った後、ボギー、ダブルボギーで陥ったピンチも、気持ちで乗り越えた。
「（日本に来るまでは）ずっと順調だったから、自分で何でもできると思ってて、感謝の気持ちがなかった。5年かかってチームワークが大事だと思った。謙虚な気持ちと感謝の深い心。JLPGAの（新人）セミナーに参加して言われた『試合のあり方』（どうやって試合が成り立っているか）もわかりました」。
24歳になっておとなになり、周りが見えてきたことが、ゴルフにも生きた。
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日本生まれだが、中国に戻ってからゴルフで頭角を現したため、家族が再び来日した時も中国に残った。そのため、両親と妹の家族の中で、もっとも日本で過ごした時間は少ない。だが、もはやインタビューにも通訳はほとんどいらず、日本のファンの気持ちを引き付けている。
「ゴルフのためには色々あきらめなくてはいけないです。年齢的に、彼氏とか恋人とか同性の友達とかと色々あそびたいけど」と、見え隠れする本音。当たり前の24歳として過ごしたい気持ちを抑えて、練習に励んで、勝利をつかんだ。
SNSでの発信にも積極的で、フォロワー数も多い。カラオケも得意で、公開されている歌唱シーンは、絶大な人気を誇っている。
「歌って踊れるプロゴルファー」の一面も持つユウティン。将来は米ツアーで戦い、その後は後進の指導という夢を持つ“アイドル”は、この先、どんなふうに成長していくのか。大切だと気付いた“謙虚な心”が生み出す大きなエネルギーを味方につけて、ユウティンは戦い続ける。
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