「ツアー360」はアディダスゴルフのアイコン、22年モデルは快適性を追求
ゴルフサプリ ぼく、毎年発売されるほとんどのゴルフシューズを試しているんですが、最近はどのシューズもグリップ力は優秀ですよね。でも、フィーリングに関してはアディダスがずば抜けていると感じています。今日はぜひともその秘密を知りたいし、合わせて「ツアー360」「コードカオス」「ZG」のコンセプトの違いや特色についても聞かせてください。
クリーゲル 2005年に登場して間もなく20年を迎える「ツアー360」は、アディダスゴルフを象徴するツアーシューズです。普遍的なデザインを継承しつつ、最高のパフォーマンスとイノベーションを追求してきたシリーズであり、ビッグ3の中でもピナクル(頂点)に位置づけられています。
ゴルフサプリ うむ。歴代「ツアー360」の中でも22年モデルは飛躍的に進化しましたよね?
クリーゲル はい、「ツアー360」はトラディショナルでしっかりした作りのシリーズですが、22年モデルではとくに快適性を向上させることに力を注ぎました。それは、初代「コードカオス」の成功により市場がより快適なシューズを求めていることがはっきりしたからです。
ゴルフサプリ 「スパイクモア」というアウトソールが特徴的ですよね。ツアープロが求める安定性やグリップ力をキープしながら、快適に歩けるシューズを作れたのはどうしてでしょう?
クリーゲル 快適性で重要なのはシューズの屈曲性です。しかし、アウトソールの柔軟性を高めようとするときに、スパイクのクリート(台座)の硬さが邪魔になってしまう。そこで、スパイクレスコンセプトを採用しました。
さらにクッション性と反発力の高いミッドソールBOOSTをかかとから足の先までフルレングスで配置することで、快適な歩行を実現しています。
その中で、スイングで圧のかかる部分にはクッションが硬めのEVAを採用し、フルスイングのパワーもしっかり受け止められるようにしました。新しいBOAシステムとアッパーのパネルが足をしっかりホールドしますよ。
ゴルフサプリ スパイクの代わりのスパイクモアは、歩いているときは突き上げ感がまったく無くソフトですよね。それなのに、スイングで加重したときに芝をしっかりと噛んでくれます。他のシューズにはないこの履き心地はすでに完成の域かと。これを超えるシューズはないと思っていますが、今後の「ツアー360」どのように進化していきますか?
クリーゲル ゴルフシューズは機能だけでなくデザイン性も求められるアイテムです。「コードカオス」はゴルフシューズを従来のデザインから脱却させましたが、オーセンティックなデザインからはかけ離れています。
一方で、クラシックでシンプルなシューズへのニーズも増えています。「ツアー360」はそれに応えるためよりクリーンで洗練されたものになっていくでしょう。
ただし、中身はその時点でアディダスが持てる最大限のテクノロジーを搭載したものとなりますよ。
「コードカオス」は「ツアー360」と真逆の方向を目指した
ゴルフサプリ なるほど。「コードカオス」の登場によって「ツアー360」の立ち位置もより明確になったわけですね。さてその「コードカオス」ですがここまで尖ったデザインのゴルフシューズが大ヒットすることは予想していましたか?
キクタ 想像すらしませんでした(笑)。2020年は私もかなりのリスクを背負っていました。それまでは競合他社も同じようなものを出していて、アディダスゴルフのシェアは日本でも2位でした。トップになるためには何か大きな変化が必要だったんです。
ゴルフサプリ その答えが「コードカオス」だったわけですね。最初に見たときはこれがゴルフシューズかと驚きました。
キクタ ありがとうございます。「コードカオス」は「ツアー360」とはまったく逆のシューズを作ろうというコンセプトでスタートしましたから。
というのもマーケットのニーズの変化を感じていたからです。歩いてプレーする人も年々増える中で「コードカオス」では快適性を追求しました。
といってもただ単にランニングシューズにスパイクをつけたようなものではなく、ゴルフシューズとして十分なパフォーマンスを発揮できるシューズとして一からデザインしました。私たちには、スパイク主流だったマーケットでスパイクレスのパフォーマンスを限界まで高めて市場を洗脳するという野心もあったんです。
ゴルフサプリ ぼくは「コードカオス 22」のジッパーを気に入っています。このアイデアはどこから?
キクタ 紐では不可能なパフォーマンスを実現できるBOAは多くのシューズに採用されています。でもメカニズムが露出しているとガチャガチャした印象に。そこで「コードカオス 22」はBOAをあえて中に閉じ込め、シンプルでクリーンな見た目にしたかったのです。あえて隠すことでBOAのテクノロジーに着目させる狙いもありますし、ジッパーを開け閉めすることでモードチェンジも可能です。
「ZG」の機能と快適性はトッププロのスイング解析から生まれた
ゴルフサプリ さて、革底シューズの時代からスパイクはグリップ力が高いけれど重いイメージがありました。でも初めて「ZG23」を履いたとき、ぼくは思わずコースで駆け出してしまいました。ティーイングエリアに戻って打ち直すためではありません。クロスカントリーシューズのように軽くて足が勝手にどんどん前に出てしまう。まさにゼログラビティですね。
ケイト 「ZG23」ではアウトソールの重量を削りつつ前作を上回るグリップ力を目指しました。そのため最初にスパイクを好むトップアスリートのスイングデータを集め、スイング中どこにどんな圧がかかっているのかを調べたんです。それを元に、スパイクの数は必要最小限の6箇所しています。
合わせてミッドソールにランニング競技用の軽量素材を採用することで足裏の重量をかなりセーブできました。
ゴルフサプリ おかげで、歩きやすく18ホール回っても疲れを感じませんね。それなのにスイングするときは足元がまったく動かないのが不思議です。
ケイト 足裏を経由して両側面に回り込ませたスタビリティフィンは、外向きの圧を内側に分散させるので足がふらつかないんです。このフィンは歩くときにはまったく干渉せず、スイングするときだけがっちりホールドしてくれます。
ゴルフサプリ ソールのデザインもかなり特殊ですよね。突起の高さも向きもまちまち。まるで、ここ(アディダスジャパンオフィス)から見下ろす東京の街並みのよう。
ケイト 「ZG」のソールはスパイクとスパイクレスの機能を融合させています。ピクセル状のラグ(突起)は元々バスケットシューズのテクノロジーで、歩くときには地面に刺さらず、スイングで圧がかかったときにはグリップする設計です。
スイング中は2段階、3段階に噛むように一つ一つの高さと形状が計算されていて、アグレッシブに振ってもバランスのとれたフィニッシュがとれます。
アディダスのライバルはアディダスか?ビッグ3は互いを高め合う関係
ゴルフサプリ ぼくは「ツアー360」も「コードカオス」も「ZG」も持っていて。どれも履き心地がよくグリップ力も申し分ないので、いつもどのシューズを履こうか迷ってしまいます。それぞれを担当した皆さんは他のシリーズをどう見ていますか?ライバルなのかそれとも…
クリーゲル 「ツアー360」は私のベイビーなので思い入れが強いけれど、他のシリーズにも関わっているので、すべてのシューズに誇りを持っています。
キクタ 見た目はいちばん尖っていますが決して「コードカオス」だけが限界に挑戦してきたわけではありません。それぞれのコンセプトの中で既成概念を壊すものを目指しているのは「ツアー360」も「ZG」も同じです。
ケイト 従来のゴルフシューズは機能を足せば足すほど重量が増えてしまい、安定性と快適性は相反するものでしたが、「コードカオス」がその常識を打ち破りました。正統派の「ツアー360」と破壊的な「コードカオス」という対照的な存在が「ZG」への道筋になりました。
ゴルフサプリ それぞれが機能や個性を追求しつつ、お互いを高め合う存在でもあるわけですね。次回作がますます楽しみになりました。







