ストロンググリップの握り方|左手・右手はどう握る?【画像解説】
ゴルフクラブの握り方にはいくつかのスタイルがありますが、ストロンググリップはハイハンデのアマチュアに特におすすめといわれます。
以前に比べてストロンググリップで握るプロも増えたため、この記事ではストロンググリップにフォーカスして、いろいろとお話をしていきたいと思います。グリップの仕方に悩んでいるなら、一読して、ぜひ参考にしてください。
ストロンググリップとは?
ストロンググリップとは左手の甲が上を向く握り方のことです。
グリップの標準はスクエアグリップですが、ストロンググリップのほうがボールを左方向へ飛ばしやすい傾向があるため、初心者や初級者にこのグリップをすすめるティーチングプロやインストラクターも少なくありません。
また前述したように左方向へ飛ばしやすいせいか、スライスに悩むアマチュアにこのグリップをすすめるティーチングプロもいます。
ストロンググリップの握り方【図解】
ここではストロンググリップの握り方を説明しましょう。
現在、スクエアグリップなど、他の握り方をしていて、ストロンググリップを試してみたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
- ストロンググリップの左手の握り方
- ストロンググリップの右手の握り方
- ストロンググリップの握り方【その他のポイント】
ストロンググリップの左手の握り方
ボールを左方向へ飛ばしやすい傾向があるストロンググリップですが、握り方は他のグリップとあまり変わりません。
1.左手人差し指の第一関節と小指の付け根の関節にかけて斜めにグリップをあてがいます。
2.中指、薬指、小指を曲げて、グリップを軽く握ります。
3.親指が自分から見て右側に位置するように置きます(時計の針で例えると2時~3時の位置に親指を置く)。
4.左手の甲が上を向き、ナックル(拳)が3つ見えるようになっていればOKです。
握るうえでの注意点は主に指先で握ることです。指先なら手首を柔らかく使うことが容易になります。
高齢者や女性など、指先だとクラブを安定させることが難しいと感じるなら、手のひらで握っても構いません。
ストロンググリップの右手の握り方
ストロンググリップの右手の握り方について説明します。右手も他のグリップ同様に特に変わった点はありません。
1.左手をストロンググリップで握り、クラブを垂直に立てます。
2.右手の中指と薬指の第一関節をグリップにあてます。
3.傘を閉じる要領で右手を下にスライドさせます。
4.左手の親指を右手の親指の下の膨らんだ部分で包み込むようにします。
右手を握るうえでの注意点は主に指先で握ることです。左手同様、指先なら手首を柔らかく使うことが容易になります。
さらに左手と右手はできるだけ密着させて、一体感をだすようにします。
右手の小指ですが、左手の人差し指の上に置くオーバーラッピング、左手の人差し指と絡めるインターロッキング、野球のバットのようにするテンフィンガー、どれでもOKです。
ストロンググリップの握り方【その他のポイント】
ストロンググリップに限らず、グリップのプレッシャーはできるだけソフトにします。
その理由ですが、ソフトなほどスイング中に手首を柔らかく動かすことが容易になり、その結果ヘッドをスピーディに動かしやすくなるからです。
グリップしてクラブを垂直に立て、目一杯の力でクラブをギューっと握ります。このときの強さを10、力を抜いてクラブが下に落ちる強さを0としたら、4~5の強さで握るのが基本です。
力を入れる指は左手の中指、薬指、小指、右手の中指、薬指が標準です。
ストロンググリップのメリット・デメリット
ストロンググリップで握ってみたいけれど、試す前にメリットやデメリットがあれば知りたい…。
そんな人のために、ここではストロンググリップの特徴をお話ししましょう。これを踏まえて、自分にとってマッチするか否かを試してみましょう。
- ストロンググリップのメリット
- ストロンググリップのデメリット
ストロンググリップのメリット
ストロンググリップの長所(メリット)は、ボールを左方向へ飛ばしやすい点です。
飛ばしやすい理由ですが、ストロンググリップは左手の甲と右手のひらが上を向くため、小さなアームローテーションでもフェースが閉じやすい=左を向きやすいからです。
ボールの打ちだされる方向が右ばかり、という人はインパクトでフェースが右を向いています。右を向いてしまう理由はいくつかありますが、打ちだしが右ばかりというアマチュアゴルファーのほとんどがアームローテーションとそれに伴うフェースターンがうまくできないために、そうなっています。
このような人がストロンググリップで握ると、前述した理由からボールを左方向へ打ちだしやすくなります。右へ飛ぶミスに悩んでいるなら、一度、この握り方を試してみましょう。
ストロンググリップのデメリット
ストロンググリップの短所(デメリット)は、特にありません。
ウィークグリップやスクエアグリップで握り、アームローテーションとそれに伴うフェースターンがうまくできていて、ボールをつかまえる技術がある人がストロンググリップで握ると、ボールが左にばかり飛んでしまうことがあるかもしれません。
しかしこれは短所(デメリット)ではなく、その人の技術や体の使い方、スイングの仕方とグリップの握り方がマッチしていないだけです。
スイング中の手首の動きや腕の回旋が大きい人は、ストロンググリップで握らないほうがよいという考えもあります。
しかしストロンググリップで握る、このタイプのトッププロもたくさんいるため、やはりマッチするか、しないかも問題。ストロンググリップの短所(デメリット)ではありません。
ストロンググリップがおすすめのゴルファー
スライスに悩む人やもっと飛ばしたいと思っている人は、ストロンググリップがオススメとよくいわれますが、それって本当なのか、ここでお話ししましょう。
ストロンググリップにすることを考えている人は、ぜひとも一読ください!
- スライスに悩むゴルファー
- 飛距離に悩むゴルファー
スライスに悩むゴルファー
スライスはインパクト時のフェースの向きに対して、インパクト前後のクラブ軌道がアウトサイド・インの場合に起こります。
そのためストロンググリップで握っても、前述した条件にあえばスライスになります。したがってスライスに悩んでいるからといって、単にストロンググリップにしてもスライスがなおるわけではありません。
ボールが打ちだされる方向と曲がる方向は、いわゆる「新飛球法則(Dプレーン)」によって解析されているため、これを理解していないと、グリップのみならず、どうスイングしていいのかわからなくなります。
可能性としていえるのは、右へ打ちだして、そこからさらに右へ曲がるスライサーがストロンググリップにすると、真っすぐ、もしくは左へ打ち出して、そこから右へ曲がる弾道に変わることが考えられます。
飛距離に悩むゴルファー
飛距離不足に悩んでいる人や今以上に飛距離を伸ばしたいと考えている人が、ストロンググリップにしたからといって、それを実現できるかは不明です。
飛距離はいわゆる「飛びの3要素(飛ばしの3要素)」が大きく関わっているため、この3要素の数値等をできるだけよいものにすることが求められます。つまりストロンググリップにすることで3要素の数値等がよくなれば、飛距離を伸ばす可能性が大きく広がると考えられます。
ストロンググリップにしたからといって、こられの数値等に変化がなければ飛距離を伸ばすことは難しいかもしれません。
ここまでで何度かお話ししましたが、ストロンググリップはボールを左方向へ飛ばしやすい傾向・長所があります。
そのため右へ打ちだして、そこからさらに右へ曲がる、弱々しいスライスしか打てないために飛距離を伸ばせない人がストロンググリップにすると、打ち出しが真っすぐ、または左になる可能性が広がるため、そのぶん、飛距離を伸ばすことができるかもしれません。
ストロンググリップは手首を返さない?返す?どっちが正解?
ストロンググリップでアームローテーションを能動的・意識的に行ってスイングしてもいいですし、能動的・意識的に行わずスイングしてもOKです。
アームローテーションを“手首を返す動作”と仮定した場合、返しても、返さなくても、どちらでもかまいません。正解はありません。アームローテーションを能動的・意識的に行ってボールが思うように飛ぶなら、それがその人にとってある意味正解です。
アームローテーションを能動的・意識的に行わずボールが思うように飛ぶなら、それもまたその人にとって正解です。
ゴルフスイングに正解はありません。プレーヤーが「いいショットが打てた」と思うなら行っても、行わなくても、どちらでもいいのです。
右へ打ちだして、さらに右へ曲がるプッシュアウトスライスばかりという人は、ストロンググリップで握って、アームローテーションを能動的・意識的に行って、ボールを左へ飛ばす感覚を養うことがオススメです。
ストロンググリップの振り方(スイング)のポイント
ストロンググリップだからといって、こう振らなければいけない、というようなものはありません。ゴルフスイングに正解はないため、プレーヤーが「いいショットが打てた」と思うなら、そのスイングでなにも問題ありません。
とはいえ、標準的・普遍的なスイングの基本動作は存在しますので、まずはその振り方を身につけるのが上達の近道でしょう。
ストロンググリップで標準的・普遍的なスイングの基本動作をしてみて、いいショットが打てるのであれば、その振り方に磨きをかけて、よりよいものにしていけばいいでしょう。いいショットが打てない、または問題が発生したときはレッスンプロ、ティーチングプロなどからアドバイスをもらいましょう。
絶対ではありませんが、プロゴルファーの場合、ストロンググリップで握るプレーヤーは腕を積極的に振るよりも、体の動きを主体にして振りたいと考える人が多いように思います。
【Q&A】ストロンググリップに関する多い質問
以下では、ストロンググリップに関して多い質問・疑問に回答します。
- ドライバーだけストロンググリップで握るのはOK?
- ストロンググリップとウィークグリップの違いは?
- ストロンググリップとスクエアグリップの違いは?
Q. ドライバーだけストロンググリップで握るのはOK?
OKです。すべてのクラブ、すべてのショットを同じ握り方で打つ必要はありません。あなたが「いいショットが打てた」「このほうがいいショットが打てる」と思う方法でなにも問題ありません。
ふだんスクエアグリップで握っている人が、「今日はボールが右にばかり飛ぶから、ストロンググリップでプレーしてみよう」というのもアリ。握り方に制約を設ける必要はまったくありません。
Q. ストロンググリップとウィークグリップの違いは?
ウィークグリップ
見た目の違いとしては、ストロンググリップは自分から見て、左手の拳が3つほど見えて、左手の甲が斜め上を向きます。
ウィークグリップは自分から見て、左手の拳がほとんど見えず、左手の甲が前方(目標側)を向きます。
動きの違いとしては、ストロンググリップは左腕を回内させて握るため、回外が比較的ラクに行え、フェースを左へ向けやすいといえます。
Q. ストロンググリップとスクエアグリップの違いは?
スクエアグリップ
見た目の違いとしては、スクエアグリップは自分から見て、左手の拳が2つほど見えて、左手の甲がストロンググリップとウィークグリップの中間あたりを向きます。
動きの違いとしては、スクエアグリップはウィークグリップよりも少し左腕を回内させて握るためそのぶん回外しやすく、フェースを左へ向けやすいといえます。
またスクエアグリップは標準といわれているため、まずはこの握り方を覚えることをオススメします。
ストロンググリップの握り方についておさらい
スクエアグリップは初心者、初級者、女性、高齢者に適しているとよくいわれますが、トッププロでストロンググリップの人もいることから、握り方で迷っているなら、一度試してみてもいいでしょう。
グリップの握り方にしろ、スイングの仕方にしろ、ゴルフに正解はありません。いろいろと試してみて、自分に合ったものを見つけることが上達へとつながります。
【関連】ゴルフグリップの正しい握り方|左手・右手はどう握る?【図解】
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経て、フリーランスのゴルフライターへ。USGTFティーチングプロ資格を有し、現在は埼玉県の練習場でレッスン活動も行っている。