試打動画はスイングタイプが近い人でないと参考にならない
みなさんが試打の動画や記事を見る時には、テスターの年齢や体型が自分と似ているかどうか気にすると思います。
確かにそれも大事ですが、一番重要なのはテスターのスイングタイプ。自分に似たスイングをしている人の試打インプレッションなら、ある程度参考にしてもいいですが、スイングタイプが違う人のものは役に立ちません。
スイングタイプは大きく分けると2つ。1つはバックスイングの反動で切り返すタイプ。もう1つはバックスイングしたのち、トップで“間”を作ってから切り返すタイプです。切り返しのタイミングですぐにクラブが加速するか、一間置いてゆっくり加速するか、という見方でもいいでしょう。切り返しからの速さはトップの間で変わるというわけで、プロゴルファーで言えば、前者は石川遼プロやリッキー・ファウラー。後者の代表は松山英樹プロです。
切り返しのタイミングは、クラブを一番感じられる瞬間です。主にシャフトの機能に左右されますが、トップで間を作る人とそうでない人では、同じシャフトでもキックポイントが変わったりします。ですから、なるべくスイングタイプの近い人を参考しないといけないのです。スイングタイプをさらに細分化したとしても、両者の中間か、どちらかに寄ったタイプになるので、試打をしている人のスイングと自分のスイングを比べて、同じタイプかどうか判断しましょう。
また、ユーチューバーやクラブフィッターの方など、クラブを評価する人の多くは「弾き系」と「粘り系」という言い方をしますが、これもシャフトをザックリ分ける目安にはなります。弾き系はヘッド側がしなりやすい先調子、粘り系はグリップ側がしなりやすい元調子のシャフトになります。
シャフトのデータで気にするべきはシャフトの性格を表す剛性分布
試打リポートには様々なデータや感想が溢れていて、情報過多の傾向ですが、そんな時は何を参考にするかではなく、何を捨てるかがポイントになります。
例えばユーチューバーの中には感覚だけでクラブを評価する人もいますが、そういった要素は捨てた方がいい。テスターの主観を過信するのは禁物です。なので、ある程度データに基づいたコメント、例えば振動数とかシャフトの剛性分布のグラフなどを引き合いに出しながら語っている人の方が、有益な情報を提供してくれると思います。
シャフトのデータで一番気にするべきは剛性分布です。これはいわばシャフトの性格を表していて、メーカーさんのホームページなどでも紹介されています。
何と言ってもクラブはシャフトが命。私はよく異性に例えますが、ヘッドは顔でシャフトは性格。顔はシャロー、ディープ、洋梨型、丸型、四角などお好みで直感的に選んでもいいですが、シャフトは付き合ってみないとわからない。性格が悪いと長く付き合えず、遅かれ早かれ別れが訪れます。剛性分布を見ると、先・中・元のどこが強いか弱いかがわかるので、大体の性格がわかるのです。
中調子から打ち、そのデータやフィーリングをベースに選ぶ
あとは「滑り台」と言って、例えば手元から中、中から先といった部分のどこかで、剛性を落としたり上げたりした場合に、それが緩やかなのか、急激なのか、あるいは、いわゆるダブルキックポイントのように振り分けているシャフトもあるので、その部分も気にした方がいい。剛性分布のマップで言えば、急な滑り台があるシャフトにはクセがあります。
ただ、選ぶ際に選択肢が広がりすぎているとよくないので、ある程度絞るべきです。例えば先調子と元調子は全く違う性格ですから、どちらでも合う人はほぼいません。なので、まずは両極端の2つのうち自分にはどちらが合うのかを絞るといった具合です。結局のところキックポイントは、先調子、中調子、元調子の3つしかありませんから、それほど難しいことではないはずです。
アマチュアの方の場合、基本的には中調子のシャフトが合う人が多い。グラファイトデザインのツアーADなどは、だいたい中調子系と謳っています。これは多くのゴルファーに合うように作っているからです。ですから自分で選ぶ場合には、中調子のシャフトから打ってみて、そこをベースに考えるといい。仮に先調子や元調子がピッタリな人でも、それほど外れることはないと思います。
調子は重量と硬さによっても変わりますが、仮に重量と硬さが同じだとしましょう。その前提で中調子を打ったら、ヘッドが動きすぎ、もしくは弾道が上がりすぎる、曲がりすぎる、といった感じがあれば手元調子寄りにした方がいい。逆に、鉄の棒を振っているようにしなりを感じない、球が上がらずお辞儀するような打球しか出ないなら先調子寄りにした方がいいでしょう。
一口に中調子と言っても、細かく見るとそうでないものがあります。でも、そこはメーカー独自の仕分けでもあるので知りようがありません。中調子のシャフトを試打した際に、実際には先がしなったり、元がしなることがあるので、動画や記事でそういった部分に言及していたら気に留めておいた方がいいでしょう。
前述したスイングタイプによるシャフトの適性も提示されていることがありますが、参考にする程度にとどめてください。なぜなら、これはプロやロボットのスイングデータをもとに分類しているから。逆に言えば、自分には合わないと思っているシャフトでも、使ってみるとよかったりすることがありますからね。
吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。







