今何故、軟鉄鍛造アイアンなのか?

ミズノは、直営店限定(公式オンラインショップ含む)で『MX-1 FORGED アイアン』と『MX FORGED PRO アイアン』を2024年2月20日に発売。

『MX-1 FORGED アイアン』のコピーは、“軟鉄鍛造の打感を求めるゴルファーへ。セミラージサイズでやさしさを追求。”
『MX FORGED PRO アイアン』のコピーは、“軟鉄鍛造の打感を求めるゴルファーへ。コンパクトサイズで操作性を追求。”

どちらも、軟鉄鍛造のアイアンであることを前面に打ち出している。

2024年のアイアンの主流は、複合素材を合わせた中空構造だ。
ごく一部のツアーモデルのアイアンだけに、辛うじて、軟鉄鍛造のアイアンはあるが、消えゆく分野だと予言する人もいるほど減っている。

しかし、打音や打感にこだわってゴルフをしてきたゴルファーにとっては、反発力を上げる素材の中空構造アイアンの打音や打感に不満を持っているケースも少なくないのも事実なのである。
「軟鉄アイアンの打感とかは、上手い人だけでしょう?」という声も聞こえるが、実は、そうとも言えないのである。ツアーモデルのアイアンを打てるだけの自信はないけれど、それなりにアイアンを打てるゴルファーの何割かは、できれば、気持ちの良い打音と打感を楽しめるアイアンでプレーしたいと考えているのだ。

今回の『MX-1 FORGED アイアン』『MX FORGED PRO アイアン』は、ポッカリと空いたアイアン市場の穴を埋めるべくして生まれたものだ。
ツアープロモデルではないが、いわゆる上級者用のアイアンであること。軟鉄鍛造のテクノロジーを凝縮させて、最先端も取り込んだアイアンであること。それをが融合させたのが、『MX-1 FORGED アイアン』『MX FORGED PRO アイアン』なのである。

『MX FORGED PRO アイアン』は、セミキャビティで、7番アイアンが32度。クラシカルなアイアンのロフトより2度立っていて、半番手の飛びを狙っている。
シャフトも、昔ながらの重めのシャフト設定で、パワーがあるゴルファーも打てるように考えられている。

『MX-1 FORGED アイアン』は、少し深くなったキャビティで、7番アイアンのロフトは30度。クラシカルなアイアンより1番手は飛ぶ、いわゆる飛び系アイアンになっている。シャフトは、100グラムを切った軽量スチールの中から選ぶようになっている。なかなか興味深い。

どちらのアイアンも、軟鉄鍛造のアイアンとして、どのくらい使えるようになっているか? 意識して試打ラウンドに突入した。

試打した『MX-1 FORGED アイアン』は、5番〜9番、PW、50、56。N.S.PRO 950GH neo のSフレックス。『MX FORGED PRO アイアン』は、4番〜9番、PW。N.S.PRO MODUS3 TOUR115 のSフレックス。
ボールは、使い慣れていて、クラブだけに集中できる『TOUR B X』を使用した。

軟鉄鍛造でも新素材に負けないと教えてくれる「MX-1 FORGED」「MX FORGED PRO」

『MX-1 FORGED アイアン』を打ってラウンドして、わかったことを挙げる。

打音打感  音量はちょうど良い大きさ、高音の濡れた鞭系で美しい音質。
      打感は軽め、手応えは敏感。クリアな芯感はミズノらしく良い。
弾道球筋  高弾道。伸びすぎない理想的なボール。曲がりにはやや鈍感。
      スピンは強烈で、少し戻ろうとするレベル。
飛距離   クラシックなロフトのアイアンと比較すると1番手飛ぶ。

『MX FORGED PRO アイアン』を打ってラウンドして、わかったことを挙げる。

打音打感  音量はちょうど良い大きさ、濡れた鞭系で究極の残響を感じさせる音質。
      打感は軽め、手応えは敏感。澄んだ水のような芯感。
弾道球筋  低めの高弾道。曲がりに敏感で、高低の打ち分けも楽。
      スピンは強烈で、少し戻ろうとするレベル。
飛距離   クラシックなロフトのアイアンと比較すると1番手弱飛ぶ。

試打ラウンドで感じた共通の感想は、打って良かった、だった。打たずに知らないのは損だと思った。2024年のアイアン市場は、新素材に溢れているけれど、軟鉄でも十分にそれらの性能と戦えることを『MX-1 FORGED アイアン』と『MX FORGED PRO アイアン』に教えられたからだ。

『MX-1 FORGED アイアン』は、ヘッドの大きさが大きすぎず、小さすぎず、ちょうど良いところが印象的だった。その結果、構えやすかったことと、打ち込んでも抵抗が最小限で抜けが良かった。
また、オプションのウェッジが、フルフェース仕様になっていて、ウェッジとして単品でも十分に通用するものだったのも面白かった。オプションのウェッジだけを買っても、価値があると思った。

アイアンが好きなゴルファーに、『MX-1 FORGED アイアン』をオススメする。基本的なアイアンとして、見事な完成度で、スコアを作るための武器になってくれる。試打ラウンドの早い段階で、何年か使い続けたアイアンのように、使い熟している快感を味わえたのだ。

『MX FORGED PRO アイアン』は、プロモデルとしての完成度が高いのに、飛距離も出てしまうところが、上手く出来ていると感心した。
打音と打感という意味では、『MX-1 FORGED アイアン』より更に高いレベルにあるが、自らのテクニックを駆使して使うアイアンなので、使い手を選ぶアイアンでもあるところは注意である。
芯を外せば、狙いとはかなり違うボールが出てしまうが、『MX FORGED PRO アイアン』が色々なボールを打てる証明でもあり、マイナス要素ではないのである。

『MX FORGED PRO アイアン』は、使い熟す快感を得られるアイアンとして素晴らしい出来だった。
試打ラウンドをしながら、ギリギリ自分でも使えると思って、色々と想像をした。点を狙ってコースを攻略するゴルフが出来るゴルファーに『MX FORGED PRO アイアン』はオススメしたい。

『MX-1 FORGED アイアン』も、『MX FORGED PRO アイアン』も、軟鉄鍛造であることで打音と打感が気持ち良いというプラスが前面に出ている。しかし、打ってみてびっくりしたのは、新素材ではない軟鉄でも現在のテクノロジーを使用できるということと、ハイレベルにスコアを出しやすくしてくれるアイアンになるということだった。
直営店限定発売ということで、流通量が少ないという特別感もある。

やはり、元カノや元カレが忘れられない、という例を出すまでもなく。自分にとってのホンモノを確認したいゴルファーは、『MX-1 FORGED アイアン』『MX FORGED PRO アイアン』を迷わず打ってみるべきなのである。

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。