最大飛距離は280ヤード超えも決してやさしいクラブではない
ドライバーヘッドの大型化が定着して、かれこれ20数年。2008年に上限460ccの規制がかかって以降は「ドライバー=460cc」という頭になっている人も多いと思います。オートマチック感のある大慣性モーメントのヘッドは楽と言えば楽ですが、一方で球の打ち分けができないなど、操作性に不満をもつゴルファーも常に存在しています。
そんな人にとって、ちょっと気になるクラブがミニドライバー。一時代前を彷彿させるヘッド体積が300cc台のドライバーです。正直、僕はこのクラブをミニドライバーと言わない方がいいと思っています。なぜなら使い手を選ぶと思うから。決してやさしくはなく、もっぱら中上級者向け。ドライバーが苦手な人が持ち替えたからといって即問題が解決する、といった類のクラブではありません。
どちらかと言えば、大型ドライバーのちょっと手前あたりのエリアを狙うクラブ。例えばドライバーがこれだけ大型化している状況で、いきなり3Wを持つと急にサイズが小さくなって、ティショットでちょっとデリケートになりますが、そこにミニドライバーがくるとカチッとハマる。昔のブラッシー(2W)とカテゴリーは同じだと思いますが、僕らからしたらそれよりはやさしくて楽ちんです。
僕はテーラーメイドのバーナーミニを使いましたが、レギュラーティで回るとちょうどいい感じ。現行のドライバーだと突き抜けたり、タイトで左右が怖いホールなどで非常に使い勝手がいいんです。距離も意外と出て、普段使っているドライバーの20ヤード減くらい。当たった時はかなり飛びます。ガーミンで測ったところ、平均飛距離は通常のドライバーで270ナンボ、バーナーミニが250ナンボですが、最大は280ナンボにもなっていました。
抑えて狙って打った場合の飛距離は250ヤード前後で、僕的には3Wと同じくらいですが、明らかにバーナーミニの方が棒球で前に行きます。僕にとっては3Wのティショットより当たらない心配がないので、この距離は打ちやすい。長さが短いので振り抜けるし、慣性モーメントが小さい方が扱いやすくてクラブスピードが増すところがあるからだと思います。ロフトが13.5度なのでフェアウェイから打てないこともないですが、あまりメリットはないので基本的にはティショット用。パー5の広いところの2打目で直ドラをやるくらいですね。
昔の同サイズのドライバーと比べるとポテンシャルは圧倒的に高い
とはいえ、ドライバーが苦手な人が打ちやすいクラブであることに変わりはありません。ヘッドが小さいからといってボールがつかまるわけじゃない。キャロウェイさんのAi-SMOKEトリプルダイヤSとマックスを打ったらヘッドが大きいマックスの方がつかまる。これが今のドライバーです。ドライバーが苦手な人の多くはスライサーですが、つかまると思ってミニを使ったら絶対右に飛びます。重心が浅いのでなおさらです。
そもそもボールがつかまるのは、ヘッドサイズや重心距離ではなく重心アングルの影響であることを周知するべきです。そうでないとピンさんのG430MAXがつかまることを説明できません。簡単に言うとクラブによって人工的にツマ先上がりを作っているわけで、ライ角がフラットだとつかまらなくなります。10年前はコンペの朝イチで8割が右かチョロだったのが、今は結構チーピンを打つ人が増えています。
話がそれましたが、3Wをビシバシ使える人はミニドライバーが使えます。おそらく今20歳前後のプロを含む若いゴルファーは使わないでしょう。みんな大きいヘッドで育っていますからね。基本的にはある程度年齢が上で、大型ヘッドに対して安心感をもちきれていない人にフィットする。セカンドショットの距離を自分でマネジメントしたい人にはいいクラブだと思います。
ただ、それにしても昔のドライバーと比べたら圧倒的にポテンシャルは高くなっていますから、同じ大きさで何年か前のクラブを使うのとはわけが違います。ヘッドが小さくても現代版で、フェースの反発性能や重心位置など随所にテクノロジーが取り入れられている。ですから価格もそれなりに高い。ヘッドサイズの選択肢が増えたという解釈でいいと思います。使い道は圧倒的にティショットで、その意味でもミニドライバーというカテゴライズは適切じゃないと思いますね。
アメリカで情報がリークされていることからも、今後はキャロウェイさんからも出てくると思いますが、いずれにしてもメーカーさんとしては宣伝がすごく難しいクラブじゃないでしょうか。例えば日本限定でスライサー向けの小さいヘッドを作ったら一定の需要はあると思いますが、基本的には大きなヘッドでそこをカバーできているわけなので、あえてその層に向けて出す必要はありません。そうなると、やはりスライサー向けのクラブにはなり得ないでしょう。それにしても、みんながみんな飛ぶドライバーを欲しがっていたのに、飛ばなくてもいいから曲がらないドライバーが欲しいとなってきたのは面白い話。まあ、正しい方向に向かっているとは言えるのですが……。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




