ゴルフのキャンセル事情は変化している

プレー当日に雨だったのでキャンセルしたゴルフコースから、翌週に請求書が届いたという30代男性が嘆いていました。

ゴルフコースのビジネスは、ホテルとか、旅館と同じで「スタート枠という部屋を使う権利」を売ることで成り立っています。キャンセル料が発生するのは、当たり前なのです。
でも、旅行の予約では、キャンセル条件を気にするのに、ゴルフでキャンセルについての条項を気にするゴルファーは少ないのが、2024年時点の現実のようです。

確かに、少し前までは、キャンセル料の設定があるコースは、ほとんどありませんでした。ゴルフコースは良くも悪くも、キャンセルし放題だったともいえます。

バブル期のピーク時には、プレー代金100%というキャンセル料が普通でしたし、コースによっては予約金を振り込んで予約が成立して、キャンセルしても予約金は返却されない、というケースもありました。

たくさんの時間が経過して、令和になってからこの国にも何度目かのゴルフブームが来ています。
直前のキャンセルでも無条件で受け入れるのもサービスの内だと考えていたコース経営者も、満員御礼が連発するようになってくると、考え方が変わるものなのです。
無断キャンセルや、ダブルブッキングのキャンセルし忘れなどの悪質な事例は、排除しようという機運が高まり、予防策としてキャンセル料を復活させるコースが多くなってきました。

キャンセル料を支払い拒否するとどうなるの?

ゴルフコースを取材していて、時代は変わった、と思うことの一つが、比較的安価なプレー代のゴルフコースでも、複数の訴訟を抱えていることが珍しくなくなったことです。
弁護士と年間契約をしているようなコースも増えています。

訴訟の多くが、未払いの料金の回収です。
信じられませんが、料金に納得できないと未払いで帰ってしまう人や、コースの備品やカートを壊したことの損害請求や、キャンセル料の未払い、等々。訴訟の費用を考えると赤字になっても、抑止力として機能するというのです。

相手に告知をした上で、その債権を専門の業者に売ってしまうこともあるそうです。
多いのは、メンバーコースの年間費を長い期間未払いにしているパターンで、債権回収業者は、その道のプロで、次々に手を打ってきます。請求をされた人にとっては最悪の状況で、払うしかないと諦めることが多いと聞きます。

また、未払い金に金利が発生することを告知されたが、年に一度の請求だけの我慢比べだと無視し続けたところ、金利で金額が大きくなった数年後に、突如、「差し押さえをしますよ」と乗り込まれて、最初の未払い金の倍以上の支払をすることになったという怖い話もあります。

ゴルフコースは企業です。契約として成り立っているものであれば、違反者はペナルティを負うことを覚悟するしかありません。

正論を書くと元も子もないのですが、キャンセルせずに予約した日時と人数でゴルフコースに行って、楽しくゴルフをすれば全く問題ありません。
悪質なキャンセルをする一部の迷惑な人たちを排除するために、決まりが厳しくなっているという背景も理解した上で、キャンセル料について考えるようにするのが正解です。

それでもキャンセル料には納得できないというアナタには

元々のゴルフは、雨天決行のゲームで、日本でも長らくその慣習が引き継がれてきました。
キャンセル料が発生する根拠の一つが、ゴルフの約束は、何よりも優先されるべきという原理で、キャンセルする人はゴルファーにはなれず、ゴルフをする資格がない、というわけです。

しかし、令和になったこの国では、雨天でもゴルフをするという文化は廃れつつあり、仕事を理由にキャンセルすることに疑問を持たない人のほうが多くなっています。
ゴルフコースも時代に合わせて変化をしていくのです。

キャンセル料を支払いたくない人は、キャンセル代のシステムがないゴルフコースを選べば良いのです。現在は、キャンセル代がないゴルフコースのほうが過半数です。

自分の不注意や、勝手な思い込みで、ゴルフコースに文句を言うのは、今流行りのカスハラ(カスタマー・ハラスメント)そのものです。
ゴルフで、最も愚かしい行為は、無い物ねだりで駄々をこねることです。
キャンセル料を設定しているコースで、「キャンセルしたいけれど、キャンセル料は払いたくない」
という主張はワガママを通り越して、迷惑なクレーマーになるだけです。

偉そうに書いていますが、僕も雨天などでゴルフをキャンセルすることがあります。
ただ、自分の決まりとして、キャンセルするだけではなく、延期ということで、別の日に予約を取り直すようにしています。自分の罪悪感も軽減できますし、先方も嫌な気分が少しだけ和らぐと思うからです。

旅行の予約のように、ゴルフの予約の時も、キャンセル料の有無を確認して、不愉快な思いをしないように注意しましょう。
ゴルフコースがキャンセル代の設定をしたことで、集客が減るようなら、その広がりには限界がある証拠です。ゴルファーは、選択をすることで、その変化に影響を与え続けていることを自覚をしましょう。未来のゴルフコースの常識は、今のゴルファーの選択にかかっているのです。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。