必要最小限のクラブで回った方が100を切れる可能性が高い
編集部から「100を切ったことのない人が、河川敷のようなフラットなコースでピッチングウェッジ(以下PW)とパターだけでラウンドしたら100は切れますか?」との質問がきました。答えはズバリ「切れません」です。
なぜなら、仮にPWの飛距離が100ヤードだとしたら、400ヤード以上のパー4だと4オンワンパットで上がるのは難しく、全てダボ計算になってしまうから。パー4が全て300ヤードなら3オン2パットでボギーの計算が立ちますが、残り100ヤードの4打目をワンピンにつけるのは無理。それができればとうに100は切れているでしょう。
ただ、必要最小限のクラブで回った方が100を切れる可能性が高いのは事実です。例えばPWに8番アイアンが加わればイケるかもしれません。要は130~140ヤード打てるクラブが欲しい。それがあるとボギーオン2パットのパターンが作りやすくなります。ティショットから8番を2回打てば270~280ヤードは進めます。230~240ヤードでもいいでしょう。するとボギーオンが見えてきます。3打目で130~140ヤード残ったら、もう1回8番でいいし、それ以下ならPWを使えばいい。そうやってグリーン周りまで辿り着いてダボ、というパターンがいくつかあっても許容範囲です。
そこにユーティリティ(以下UT)とサンドウェッジ(以下SW)が加わると、さらに100切りの現実味が増します。UTの飛距離は150~160ヤード、中距離砲程度で大丈夫です。これだと2打で300ヤード進めます。一般的なゴルフ場の白ティだと、300~360ヤード台くらいのパー4が多く並んでいて、ハーフに1ホールくらい400ヤード越えがあります。そこをどうダボ以内で収めるかがポイントになりますが、ひとまずそれ以外のパー4でボギーを取っていく作戦を立てる。パー3は大体150ヤード以下が多いと思うので、8番とPWでグリーンまで運べば100切りが見えてくると思います。
僕が実際にお客さんの前でやったのは、6番アイアンとアプローチウェッジ(以下AW)2本のラウンド。6番でティショットを打ち、2打目は微調整してグリーン周りまで運び、AWでパーを拾うパターンで70台で回れました。ここまで触れてきませんでしたが、どのセッティングで回る場合も2パットで上がることが大前提となります。大袈裟でなく、UT、8番、PW、SW、パターなら90台前半もイケると思います。OBが出にくいですからハマればハーフで40台前半も出せるでしょう。
クラブの本数を制限してラウンドするとゴルフの本質がわかる
なぜクラブセットが14本あるかといえば、パープレーで回りたいから。コース環境が過酷になり、ドライバーで飛ばさないと谷を越えないとか、セカンドが届かないケースが出てきた時に、飛ぶクラブが8番だけではキツい。UT、8番、PW、SW、パターではさすがにパープレーは困難。よほどグリーン周りで寄せワンラッシュでもない限り不可能です。そういう意味では、飛ぶクラブがあって、打てる距離の幅が大きくなるほど有利な局面が増えると言えます。
僕がゴルフをはじめた時、最初に言われたのは「7番、PW、SW、パターで100を切りなさい」でした。最初は57、47。次に50、54とかで100が切れそうで切れませんでした。悔し紛れに「ドライバーがあったら100は切れた」と言ったら「自分がこのホールはドライバーを使った方が有利だと思ったら使いなさい」と言われました。自分が不利になるようなことをわざわざするな、というわけです。ゴルフに限らずゲームは有利に運んでナンボですから当然と言えば当然です。
それでドライバーも使うようになりましたが、実際に100を切ったのは、7番、PW、SW、パターのセッティングでした。これだとティショットで死ぬことはありません。セカンドショットも迷わない。3打目でグリーンを狙う段階になった時にはじめて、どう打つか、どのクラブで打つかを考え、グリーンに乗せて2パットでボギーを取る。全部ボギーなら90回ですから9回失敗できます。9回ダボ、9回ボギーでいいわけですからね。
こうすると、自分が当該ホールをいくつで回らなければならないか考えるのですごくいい。守り切らねばならないホールで状況判断ができるようになります。例えば「手持ちのクラブだと、そこに打ったら寄せられない」というように、次打を考えてボールを運ぶようになる。少ない本数で回るのは、やれることが少ないからやらなくていい、ということを生かす作戦ですが、実際にはやれることが増えた方が、より良いスコアで回れる可能性が高い。そういった技術を身につけるためにも本数を制限し、1本のクラブでできることを増やすのはいいことなのです。
僕は初心者の方には、アイアンを単品で買うことをおすすめしています。例えばPWと8番を買って、PWが打てるようになったら8番を打って距離を稼ぐ。パターがあれば、この3本でもラウンドできます。さすがに1本だと100切りは難しい。飛ばしたあとに寄せられませんから、距離を稼ぐクラブと、グリーンの近くで処理するクラブとはあった方がいい。90切りが課題なら、そこにUTを加えれば何とかなります。でも、バックティやフルバックになったら無理なので、フェアウェイウッドやドライバーが必要になる。こうして段階的にスコアをクリアしていくと、ゴルフというゲームの本質がわかります。
例えば8番しかなければ無理にグリーンを狙わないし、8番がどれくらい飛ぶか目安もつきます。芝の上で打つ回数が増えるので芝にも慣れます。無理にチャレンジするよりコンスタントに7~8割の力でスイングする重要性もわかるでしょう。それがわかってから長い番手を手にする方が順調にうまくなれると思います。グリーン周りで使えるクラブがPWしかなければバンカーを避けるし、ニアサイドよりファーサイドからのアプローチがしすいこともわかるんです。
少しでもいいスコアで回ろうと思ったら、緊張せずに打てる番手を多用するべきです。うまく打てないクラブをコースで打つのはすごく抵抗がありますよね。球を失くすかもしれないし。嫌な思いをしないためにも、ある程度当たる確率の高いクラブを使う。これも立派なマネジメントです。全部のクラブを使いたい気持ちはわかりますが、みんな100を切ったことがないうちから理想の100切りを目指しています。そうではなく、まずはなりふり構わず100を切った方が精神的に楽ですし、理想を追うのはそれからで十分。その方がゴルフを嫌いになることなくスクスクと上達できます。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




