事前情報をシャットアウトして「スリクソン ZXi アイアン」を純粋に評価

「前作の『スリクソン ZX5 Mk II』や『ZX7 Mk II』がよく売れたのは当然の結果だと思います。ぼくが思うに、ダンロップはゴルファーのニーズに対する“正答”をずっと前からつかんでいて、実戦でブラッシュアップを重ね、完成の域に到達したのが前作でした。
もしぼくが今回のアイアンの担当者だったら、いったいどっちに向かって進めばよいのか困ってしまったでしょう。それほど完成度の高い前作を、ダンロップはどう進化させたのか。いちゴルファーとして今年一番注目していたアイアンを純粋に評価するために、今回は予備知識を一切入れないようにして初試打に臨みました」

「スリクソン ZXi7」の打感は未体験のやわらかさで球持ちもいい!

「『スリクソンZXi7』も見た目で極端に変わったところはありませんが、ヒールが低くてトゥの高い三角形の角がちょっと丸くなってボールを包み込むイメージが強くなりました。球がつかまる雰囲気がありフェードヒッターにはとくに安心です。見た目は変わらずとも大きく変わったのは打感です。素材がS20CからS15Cに代わったことを知らずに打ったのですが、1球目を打った瞬間、当たったときの感触が明らかにやわらかくて驚きました。しかも、芯の場所がボケることなくSSの位置を明確に感じることができます。球持ちもよくMk IIよりもさらに球を押せるようになりました。

ツアーV.T.ソールはヒールが少し丸くなり、ヒールから入れても突っかかることなくきれいに抜けてくれます。打感、操作性、高さ、スピン、どれも不満はなくツアーモデルとして完成されたアイアンです。また、ロフトが寝ているので飛距離を出すにはパワーが必要ですが、中級レベルでも十分扱える寛容性もあり、練習して上を目指したい人にも使って欲しいアイアンです」

「スリクソンZXi7」の打感のやわらかさの秘密は「コンデンス鍛造」

軟鉄素材の中でもとくに軟らかいS15Cは、使用しているうちにライ・ロフト角が狂いやすくアイアンには不向きとされていた。しかし、ダンロップは独自の鍛造方法「コンデンス鍛造」を開発。「ZXi7」ではネックだけを部分的に強化することで、S15Cの採用が可能となり、これまでのアイアンを超える極上の打感を実現している。ちなみにコンデンスは「凝縮」という意味。「ZXi5」ではフレーム上部にコンデンス鍛造を採用。フェースの薄肉化によりソフトな打感と弾きの強さを両立させている。

「スリクソン ZXi 5」は抜けがよく、きれいな球が打てる

「『スリクソン ZXi5』の形状は基本的に前作から変わっていませんが、若干丸くなってやわらかい顔つきになりました。サイズも少し大きいのでプレッシャーが軽減されます。打ってみると、ボールを弾く感じがあるのに手に伝わる感触はソフトです。いままでにない不思議な体験ですが、飛んでいくボールと自分のフィーリングが一致しているので気持ちよく打てました。特筆すべきは弾道が揃ってきれいな飛び方になったこと。高さがあってスピンも効いた止まる球が打てます。
『Z545』から採用されているV字ソールが進化して抜けがさらによくなった結果でしょう。V字ソールの効果は対象ユーザーの射程範囲の広さにもつながっています。入射角を受け止めるソールの許容範囲が広いので、70台や80台で回れる中上級者も満足できるし、90や100がなかなか切れない人はこういうアイアンを使うことで上達できます」

「スリクソンZXi5」の抜けのよさの秘密は「ツアーV.T.ソール」

石井が感じた抜けのよさの秘密は、前方(リーディングエッジ側)と後方(トレーリングエッジ側)でバンス角を変化させたダンロップ独自の「ツアーV.T.ソール」にある。ソール前方は十分なバンス効果を発揮、後方は接地面積が最小限に抑えることで切れるアイアンショットを実現。さらにトゥとヒールの段差によってどんなライでも振り抜きがいい。前後それぞれのバンス角やV字の頂点の位置はモデル別に設計され、「ZXi7」はダウンブローに打ちやすく、「ZXi4」はレベルブロー、「ZXi5」はオールマイティーに対応できる形状となっている。

「スリクソンZXi4」は格好いいのにやさしく飛ばせる!

「『スリクソンZXi4』は3機種の中でもっとも見た目が変わったモデルです。前作はソールがぼてっと膨らんで見えましたが、今回のモデルはちょっと細身になり、スリクソンらしいルックスになりました。『ZXi5』とコンボセットで並べてもまったく違和感がありません。
弾きが強く、中空らしい硬質な打球音ですが音量自体は抑えめ。手に伝わってくる感触は前作よりもやわらかくなって、ある程度ボールコントロールもできます。打点のミスにも強く、感覚的には『スリクソンZXi5』と『ゼクシオ』の中間くらいの寛容性があります。多少芯を外したときでも初速が出てよく飛びますが、ロフトが立ち過ぎていないので打ち出しが高く、グリーンで止まる球が打てます」

「スリクソンZXi4」がやさしく飛ばせる秘密は「メインフレーム」

ヒール(肉薄)からトゥ(肉厚)にかけてフェースの肉厚を変化させ、上部とトゥにはフェースのたわみを増大させるスピードグルーブを搭載。また、ネック下部とトゥのフリーウエイトをソールの低い位置に移動。ミスヒットしたときにも反発性能が落ちにくく、高弾道の大きなキャリーで飛ばすことができる。

「スリクソンZXi」は全方向に進化し、前作をさらに上回る完成度を実現した

「『スリクソン ZXi アイアン』に対して前作とあまり変わっていない印象を持つ人がいるかもしれません。しかし、実はそれは正しい感覚です。アイアン、とくにツアーモデルには変えてはいけない部分があるからです。『スリクソン ZXi アイアン』はどこか一つを大きくいじるのではなく、打感、操作性、スピン性能、飛び、許容性など、すべての方向に正常進化させたアイアンです。
いままでスリクソンを使っていた人は、ぱっと見はあまり変わらないけれど、打ってみるとやっぱりよくなったねと感じるでしょう。一方、他社のアイアンを使ってきた人が打てばすごくいいねと感じる。『スリクソン ZXi アイアン』はそんなアイアンです。これから長く売れ続けるだろうし、アイアンを買い替えるときには、必ず候補に加えるべきアイアンといえます」

試打:石井良介
いしい・りょうすけ
1981年生まれ、神奈川県出身。2007年日本プロゴルフ協会入会。A級ティーチングプロ。アマチュアを指導する傍ら、令和の試打職人としてYOUTUBEチャンネルや様々なゴルフメディアで活躍中。フリー。