フィッティングには“答え”がないからこそ“引き出し”を増やす
今回はクラブフィッターの私が考える「フィッティングとは?」についてお話ししましょう。
先に言わせていただきますが、フィッティングに“答え”は何もありません。「これをやったら大正解だよ」っていう“答え”は何一つない。未だにボクが、海外も含めていろいろなところに足を運んで情報を集めているのは、その“答え”が見つからないから、できるだけ“引き出し”を多くしたい、という思いがあります。
振りやすさを求める? 結果を最優先する?
現在のフィッティングの主流は、大きく分けて2つあります。
(1)自分の振りやすさを重視してクラブを選ぶ。
例えば、スイングタイプやパワーによって振りやすいクラブを探して、それによってセットを構築していく考え方です。つまり“自分主体”のクラブ選び。
自分の打ち方をあまり変えないで、自分の感覚に沿ったクラブを見つけていくことが良い、とするパターンです。これって、どっちかというと“日本的”と言えます。
(2)結果を最優先してクラブを選ぶ。
北米(アメリカ)では、結果が変わらなければ道具を替える意味がない、という考え方です。
例えば「10ヤード飛ぶようになった」とか「球が上がるようになった」とか結果が変わるのであれば、自分のフィーリングは無視して合わせていくということ。これは“北米的”な感覚ですね。
ドラスティックにチェンジする海外のプレーヤー
フィル・ミケルソン。現在は、X FORGED アイアンにシャフトはKBS ツアー V125を組み合わせている。
このことから日本のプロは、自分の好きなフィーリングの中で結果が変わるクラブを見つけるので、どちらかというと“コンサバ(保守的)”な感覚の人が多いです。
逆に、海外のプレーヤーたちは、結果が変わればフィーリングの違いは慣れるから良い、ということに。なので、スゴく軽いシャフト、スゴく軟らかいシャフト、スゴく硬いシャフトというように、今まで自分が使ってなかったようなスペックでも、平気でトライしてきます。
それが証拠に、軽いシャフトを使うのって、海外の選手のほうが早いじゃないですか。例えば、フィル・ミケルソンが100グラムのアイアンシャフトを使ったり、アダム・スコットが“オートフレックス”の軟らかいモノを使ったり。そういう“特殊なモノ”を使うことが多いんです。
もっと言えば、アイアンの番手ごとに球の高さとスピン量を自分の好みに合わせたいから、番手ごとに全く違うシャフトが入って、ステップがバラバラな選手たちもいます。例えば、9Iに8Iのシャフトが入っていたり。
要は「結果がそろえば、中身はなんでもいい」という考え方です。スペックなどの“数値”をキレイにそろえることが目的ではなくて、打った“結果”が求めるものになることを目的としています。
2つの考え方は、どちらも正解
フィッティングにおいて、前述した(1)も(2)も正解なんです。かなりざっくりとシンプルに言ってもこの2つの考え方があって、それに付随してヘッドの特性が入ったり、打感・打音とかが入ってくるので、今も“答え”が見つかりません。ボクが考えてるところでは「プレーヤーが何を求めるのか」によって、その方法だったり合うクラブが変わっていくので、どっちも正解だと思うんです。
具体的に言うと、自分は元調子のシャフトのほうが振りやすいけど、先調子のシャフトのほうが結果は良かったとする。だとしたら、先調子を上手く打てるように練習することが良いパフォーマンスにつながる、と思ったらそれでも良いでしょう。
逆に、先調子のシャフトにチャレンジしたけど「やっぱり違和感のほうが強いな」となったら、自分にとってフィーリングが良い元調子のシャフトで、できるだけ求める結果につながるヘッドを探していけば良いと思います。
次回はフィッティング論について、より掘り下げていきましょう。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。


