「出すだけでいい」と安易に打つとミスしやすい

私のプロキャデイの経験として忘れられないシーンは沢山あります。1998年に大洗GCで開催された日本オープンもその一つです。この試合、私は優勝した田中秀道プロのキャディをつとめました。最終日の18番ホールを迎えて6アンダーで単独首位の田中プロ、ティショットが右に飛んで林の中へ。2打目を木に当ててしまい、3打目も林の中でしたが、幸いにもスイングできる場所で、上を見たらボールを通せる空間がありました。田中プロは熟考した結果、グリーンを攻める作戦をチョイス。ボールはスライス回転を描き、グリーンの端に落ちるスーパーショットを打ってのけたのです。

ボギーで上がり、1打差で逃げ切り優勝を果たしたこのシーン、私から見ればイチかバチかのショットに思えましたし、これが18番ではなくて前半でしたら田中プロも無理しなかったはず。勝負を賭けたい場面だからこそトライを選択したのです。

林の中からのリカバリーは安全確実に打つのが基本

基本的には確率優先で、林の中からグリーン方向を狙えるのか、どの方向からなら安全に脱出できるのかなどの状況観察をし、成功率が7割以上あると確信が持てた作戦をチョイスします。成功率が五分五分ならプロたちも絶対に無理しません。

一方で多くのアマチュアゴルファーはティショットを林に打ち込んでも、そこから挽回しようと考えます。いったんフェアウェイに戻して3打目勝負の作戦がベストなのに一打を損したような気分になるのでしょう。チャレンジを楽しみたいならそれも良しですが、スコア優先で90を切りたいなら確率重視で安全策をとるべきです。

もう一つ注意したいのは「どうせフェアウェイに出すだけ」と安易に考えないこと。フェアウェイのどの辺に出せば3打目につなげやすいか。そのエリアまで距離はどのくらいか。どのクラブでどれくらいの高さで打ち出せばいいか。こうしたショットプランを立てて集中力を高めて打ちましょう。リカバリーショットも丁寧に打つことでつまらないミスを防げます。


清水重憲(しみず・しげのり)
1974年生まれ、大阪府出身。97年にプロキャディとなり、谷口徹、上田桃子、イ・ボミらの賞金王、賞金女王獲得に貢献するなど第一人者として活躍。プロキャディ最多の通算40勝を誇る。


スコア80台でラウンドするためのゴルフ学


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