アイアンショットの高さを把握しよう。打ち出し角はロフトの2/3になるのか?【清永教授からの挑戦状】
ゴルフトゥデイ人気連載!
ゴルフの原理原則を疑い、分析した清永教授の常識を覆し、上達スピードが速まる理論を紹介!
ゴルフトゥデイ本誌 638号/112~113ページより
〈問題〉
アイアンショットにも応用できた「清永理論」をトラックマンを使って検証しなさい
「打ち出し角はロフト角の3分の2」理論をプロで検証してみた
清永 前回、理論ゴルフ学に基づき、「アイアンショットでの打ち出し角はロフト角の3分の2となること」をお話ししました。
GT はい。パッティングの「技術」として教えていただいた「 初期ベクトル1:3の法則」と「ピン目標方向の角度方向性の1:2の法則」を3次元と言いますか、アイアンショットの打ち出しにも応用できることが理解できました。
清永 今回はその情報の事実関係を検証するためにプロゴルファーのトラックマンデータを活用してみましょう。下の表1と表2はトラックマンの生データ、表3は初期ベクトル1:3の法則を当てはめてみました。
※前回の記事は以下のリンクから。
アイアンで打つとボールは何番の高さに飛びますか?【清永教授からの挑戦状 】
ゴルフの原理原則を疑い、分析した清永教授の常識を覆し、上達スピードが速まる理論を紹介! ゴルフトゥデイ本誌 637号/1...
表1・女子プロゴルファーのトラックマンデータ
表2・女子プロゴルファーのトラックマンデータ
表3・データに清永理論をあてはめてみると‥‥
清永 アイアンの「ロフト角」に対して、トラックマンデータから「打ち出し角」と「動的ロフト角」を活用してみます。表に示すように、トラックマンデータで得られたアイアン番手の打ち出し角をロフト角で割って得られた百分率(%)が62(58~67)%であることは、ほぼ3分の2(=0.67)が67%であることに近似していることがわかります。
GT しかし(表3)の肉眼では決して判別できないインパクト時のロフト角を表す動的ロフト角を採用して算出した「打ち出し角/動的ロフト角」では78%となり、少し乖離が大きいとなると……(表4)。
表4・アイアンの打ち出しはロフトの2/3になっていた!?
清永 では、両方をもう一度グラフ(下グラフ参照)にして比較してみましょう。
GT お願いします!
清永 図に示すように、アイアンの番手のロフト角を独立変数としてX軸に、トラックマンで得られた打ち出し角を従属変数としてY軸にプロットすると、これらの二者相関からは傾きが0.603の有意な一次回帰式が認められます。参考までに理論値は傾きが0.667の一次回帰式を赤い線で示してみましょう。
両者の傾きである0.603と0.667とは類似している点に注目してください。実際値と理論値が近似するのです。
清永理論とトラックマンデータの比較
人間はロボットではないのでピッタリとはいかない
GT 習ったことがあります! 確かデータの値の傾きが同じだったら実験の内容から求められる答えが近いと! でもなんで「理論値」と「実際値」に数値の乖離が生じたのでしょう?
清永 結論から言いますと、「理論値」は正確な無比な科学的検証によって見出された「真実」を表しています。それに対して、「実際値」はプロゴルファーといえども必ず「ヒトとしての限界とミス」が生じていることを現しています。
GT 確かにロボットでなくて人間がやることですから、大なり小なりミスをしていますよね!
清永 そうなのです! つまりインパクト時にフェース面の『快芯帯』でヒットできていないことから生じる誤差によるグラフ乖離だと推察できます。
GT 確かに先ほどの「トラックマンデータで得られたアイアン番手の打ち出し角をロフト角で割って得られた百分率(%)」が58~67%の範囲内にバラついています。いつも62%で打てたのではなく、結果としてそれらの平均値が62%だったということですもんね!
清永 なかなか鋭いですね。さらにわかりやすいように、理論値の回帰式を赤い実線でしかも強調するために太くしました。いっぽう実際の値は青の破線で示しています。
この二本の線の乖離の程度は一目瞭然で、5番アイアンが理論値に近いのに対して、9番やPWでは離れているのが確認できると思います。
GT この実験の被検者となったプロゴルファーへの評価はいかがなものでしょう。
清永 はい、ご覧の通り、5番アイアンでのショットが最も理論値に近いのがわかります。ということは結局「快芯帯」で打っている確率も高いことになります。その結果5番アイアンは被験者にとって、当然得意なクラブになっていることでしょう。内心ではかなりの自信を持ってショットしていると考えます。
解説/清永 明
福岡大学名誉教授。大学時代は九州学生選手権を3連覇。医師でありながらゴルフにまつわる現象を物理の目で分析。1メートルのパットが90%の確率で入るヨネックスの「トライプリンシプルパター」の設計者としても有名。
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