HONMA「TW777」シリーズを徹底比較! 3モデルの個性と最新テクノロジーを読み解く
「やさしいドライバー=高慣性モーメント」。常識化した感のあるこの考えにHONMA(本間ゴルフ)が一石を投じる。“やさしさはひとつじゃない”をスローガンに、自分に適したやさしさを欲するゴルファーが、それを使うことで最大限のパフォーマンスを発揮できるドライバーを開発したのだ。
T//WORLDシリーズ「TW777」がそれだ。刷新されたロゴデザインとソールに復活したモグラマークがアピール度抜群のニュードライバーを令和の試打職人・石井良介が試打。その性能を体感した。
撮影協力/千葉セントラルゴルフクラブ
モグラマークとともに蘇った名器のフォルムと最新素材&テクノロジーが融合!
「TW777」、「TW777 MAX」、「TW777 360 Ti」の3機種からなる今回のラインナップ。そのコンセプトは「血統・昇華」(BACK TO HONMA, MAKE NEW HONMA)。
HONMAの魂を宿すモグラマークを甦らせて伝統と最新技術の融合を表現。大胆なアイコン使いにも新たなゴルフの歴史を刻もうとの意気込みが窺える。誉高いHONMAの名器を現代仕様に塗り替えつつ、新たな船出を祝うべく“HONMA”のロゴデザインまでをも刷新した。
「ここ数代のモデルに比べて格段にカッコいいデザインになっているところにTW777へのHONMAの力の入れようを感じます。刷新されたロゴデザインとソールにモグラマークを大胆にプリントしたあたりも、ブランドの再構築に向けた気合いのようなものが感じられます。
詳細は後ほど述べますが、ヘッドの顔つきも3モデルともにいい。金属とカーボンの継ぎ目はありますが今では見慣れた景色。それも含めて全体のフォルムがとてもきれいで、個人的には前作のTW767よりもTW777の方がグッドルッキングで構えやすいと思います」
と石井が一見で感じたように、クラブデザインはクラシックなシェイプを継承。パーシモン時代に数々の名器を生み出したデザインを、モダンなスタイルと上手に融合させている。
やさしく操作できる「TW777」とオートマチックな「TW777 MAX」
機能面のコンセプトは“やさしさは、ひとつじゃない”。スイングは人それぞれで、得意とする球筋も違えば、求める弾道も違う。そこで必要となるのは万人向けのやさしさではなく、個々のゴルファーに寄り添ったやさしさ。
「TW777」の3モデルはそれを実現すべく設計されているという。自分だけの最適解が得られるというわけだが、試打をした石井は、そのあたりはどう感じたのだろうか?
【TW777 MAX】可変ウェイトはトゥ4g、ヒール15g
「確かに今作は3つのモデルそれぞれが、どんなゴルファーを対象にしているかが明確に分かれています。TW777 MAXは明らかに球がつかまりやすく、かつ上がりやすくもあります。打った瞬間に高弾道のドローボールが約束される感じで、オートマチック的にいつでもその球が出るやさしさがあります。
可変ウェイトはトゥ側に4g、ヒール側に15gが標準ポジションです。このウェイトの配置を逆にすると、つかまりを抑えることができます」
TW777 MAX/SPEC
●ヘッド体積/460cc ●ロフト角/9度、10.5度、12度●ライ角/59度●長さ/45.5インチ●シャフト/VIZARD for TW777●フレックス(総重量)/R(約302g)、SR(約304g)、S(約306g)●価格/10万7800円〜
【TW777】可変ウェイトはフロント3.5g、バック20.5g
「それに比べるとスタンダードモデルとも言えるTW777は叩けるヘッド。中弾道で飛ぶフェードボールが打ちやすいです。もちろんドローも打てて、同じやさしさでも操作性という点でのやさしさでTW777 MAXとは趣を異にします。
スピン量はTW777 MAXがちょっと多めで高弾道になる傾向があり、TW777はスピンが少なめです。後者についてはウェイトの位置をフロント側20.5g、バック側3.5gの浅重心バージョンと深重心バージョンで打ち比べましたが、浅重心にするとスピン量がすごく減りました」
TW777/SPEC
●ヘッド体積/460cc ●ロフト角/9度、10.5度●ライ角/58度●長さ/45.5インチ●シャフト/VIZARD BLUE●フレックス(総重量)/50S(約311g)、60S(約318g)●価格/10万7800円〜
「これだけ違いがあるとアマチュアの方でも結果が顕著に変わるはずなので、今使っているクラブよりもいい数字を作れる可能性があると思います。
ヘッドの顔つきもそうで、TW777 MAXはちょっと大きく見えてテール側にボリュームがありますが、TW777はヒール側をやや絞ってトゥ側にボリュームがあり顔つきがかなり違います。
このように性格づけがハッキリなされていますから、遠回りすることなく求めるドライバーショットが手に入るでしょう」
明確な性格づけを演出する要素の一つが今回初めて採用された素材のチタンカーボン。そもそもパーシモン時代にHONMAがドライバーシャフトに導入した素材で、単一素材が常識だった時代に軽さと剛性を両立させてシャフト界に新風を吹き込んだが、TW777とTW777 MAXのソールセンター部分はこの革新的素材でできている。チタンの剛性とカーボンの軽量性を併せ持つ新素材によりたわみ剛性がアップ。前作に比べてカーボンボディの変位量が約12%縮小されエネルギー伝達効率が最大化された。
ヘッドの構造は新機軸のカーボンリング成型。これもカーボンボディのたわみ剛性の強化に貢献する構造で、インパクト時の余分な変形を抑えてエネルギー効率と打点の安定性を向上させる。さらにウェイトポート部までをカーボンで精密設計し、カーボンの体積を前作比約35%拡大したリアカーボン設計により余剰重量の最適配分をも実現。低重心化が促進され、高弾道・低スピンで最大飛距離を得られる作りになっている。素材や構造の違いをショットで実感するのは試打職人といえども簡単ではないが、どうやらその好影響は初速や飛距離だけでなく、打感や打音にも及んでいるようだ。
「打音はカン高くなく小気味よい音ですが、TW777 MAXに比べてTW777は少し低めの打音です。打感はTW777の方は、軟らかさの中にソリッド感があるというか、カチッと当たっている感じが手に伝わります。それに比べるとTW777 MAXはちょっと軟らかさが勝った打感です。
打っていて気持ちがいいし、一瞬フェースがたわむ感じもして球持ち感も適度です。打感や打音の良化をもたらしているのはフェース面だけでなく、ヘッドの素材や構造も影響していると思います」
HONMAの”ミニドラ”は飛びへの期待高まるフルチタン構造
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