本人が気づかずに打ってしまったのなら、リプレースしなくても1罰打に

「打つ前に球が動いたけど、そのまま打ってしまった」問題は、しばしば物議を醸してきました。特に、トーナメントでは、各選手のボールがしっかり映し出されるため、球が動いていたにも関わらず、プレーヤーがそのまま打ってしまったりすると、視聴者からは「ルール違反じゃないのか!」という問い合わせが殺到することもありました。

しかし、非難の矢面に立たされたプレーヤーの中には、「本当に気づかなかったんだ」と訴える人も。とはいえ、どんなにプレーヤーが「信じてくれ!」と言っても、最終的にはプレーヤー側が騒ぎを静めるために渋々矛先を納めるケースが多かったようです。

そんな「プレーヤーが球を動かした球」問題に関して、ついにというか、ようやく「ローカルルールのひな形」が追加されました。

まずは、球が動いてしまった場合に関しての、これまでのルールをおさらいしておきましょう。

ルール上は、「プレーヤーの行動(あるいはそのプレーヤーのキャディーの行動)が、そのプレーヤーの球を動かす原因となった場合、そのプレーヤーはプレーする前にその球をリプレースしなければならない」となっています。

ルール通り、リプレースしてプレーを続けた場合は1罰打。しかし、リプレースせずに打つと、“誤所からのプレー”となって、2罰打が科せられます。

そしてこのルールは、プレーヤーが、自分がその球を動かす原因となったかどうか確信がない場合や、球が動いたかもしれないことに気づいていない場合でも適用されます。つまり、「自分が動かしたのではなくて球が勝手に動いた!」といっても、また、「球が動いたことに気が付かなかった」と主張しても、球が動いたという事実が認められれば、そのまま打つと2罰打を科せられるのです。

考えてみれば、おかしなルールですよね。もし本人がウソをついていないとするならば、誰かがその球をじっと見ているか、映像として残っていない限り、誤所からのプレーを確定することはできないのですから。

そこで、というわけではないのでしょうが、2026年1月から「ローカルルールのひな形E-14」として、次の文言が付け加えられました。

「プレーヤーが止まっている自分の球を動かす原因となり、球が動いたことにも、動いたかもしれないことにも気づいていなかったために、次のストロークを行う前に球をリプレースしなかった場合、そのプレーヤーは規則9.4bに基づく1罰打を受ける(この規則の例外のいずれかが適用される場合を除く)。しかし、後になってそのプレーヤーが球を動かす原因となったことが判明しても、誤所からプレーしたことにはならない。(後略)」

要は、もし球を動かす原因を自分が作っていたとしても、球が動いたことに気づいていないのであれば、1罰打で許して上げましょうということ。また、ボールを打った後に、球が動く原因をプレーヤーが作っていたことが発覚しても誤所からのプレーにはならない、つまり1罰打でいいですよということです。

PGAツアーではこのローカルルールを2026年シーズンから採用しており、国内ツアーでも採用の予定。ただし、正式なルールではなく、あくまでもローカルルールだということは頭に入れておいてくださいね。

真鍋雅彦
1957年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。1986年に退社し、フリーライターとしてナンバー、週刊ベースボール、ラグビーマガジン、近代柔道などで執筆。
ゴルフは、1986年からALBAのライターとして制作に関わり、その後、週刊パーゴルフ、週刊ゴルフダイジェストなどでも執筆。現在はゴルフ雑誌、新聞などで記事を執筆するほか、ゴルフ書籍の制作にも携わっている。