私はかつてゴルフクラブメーカーの開発部で、数字をもとにクラブを分析し、「やさしいクラブとは何か」を考える仕事です。ところが、そんな私自身がゴルフに悩むようになりました。

そしてある出来事をきっかけに、「クラブに対する考え方」が大きく変わることになります。

アマチュアにとって、本当に扱いやすいクラブとは何なのか。
その答えを探し続けた結果、たどり着いたのがオリジナルブランド〈UPPAR〉のクラブでした。

このコラムでは、その考えに至るまでの経験と、クラブに対する新しい視点についてお話ししていきます。

オリジナルブランド〈UPPAR〉のクラブを創った理由

第1章 本当に扱いやすいゴルフクラブを求めて

今からおよそ25年前、私はあるゴルフクラブメーカーの開発部に所属していました。

担当していたのは「評価グループ」という部署。発売されるクラブを測定し、その性能を比較・検証する仕事です。

自社製品はもちろん、他社製品も数多く測定する。重量、バランス、シャフトの硬さ、ヘッド性能(重心位置・慣性モーメントなどなど)――。

あらゆるデータを集め、それをもとに次のモデル開発の方向性を提案する。
それが私の役割でした。

当時の私は、完全に「数字の人間」でした。

クラブは数字で評価するもの。性能はデータで説明できるもの。そう信じて疑わなかったのです。一方で、プライベートのゴルフもかなりやっていました。20代の頃はとにかくゴルフが好きで、ラウンドも練習も相当な量をこなしていました。

開発のヒントにもなるので、自分のクラブにもいろいろな工夫をしていました。
シャフトを替える。
バランスを調整する。
気になるクラブがあれば、とにかく試す。

いわば、自分のゴルフでクラブの実験をしているような状態でした。ところが、30代に入った頃から少し変化が出てきます。20代の頃のように、思い切りクラブを振れなくなってきたのです。

そこで私は、開発の仕事で得た知識をもとにクラブを調整しました。

シャフトを少し軽くする。少し柔らかくする。スイングウエイトはきちんと揃える。ライ角やロフト角もきれいに並べる。

いわゆる「理想的なセッティング」です。

当時の私は、それが正しいと信じて疑いませんでした。

ところが――。

ラウンドの後半になると、突然ミスショットが出るようになったのです。しかも、その日の調子とは関係ありません。順調にプレーしていても、大事な場面でボールが大きく左へ曲がる。

当時はかなりの頻度でゴルフをしていましたし、練習量も十分でした。
スイングに対しても、ある程度の自信はありました。それなのに、なぜかミスが出る。

当然、最初は自分の技術を疑いました。練習量を増やし、スイングも見直しました。しかし、状況はほとんど変わりません。

半ばあきらめかけていた頃、ふとこんなことを思ったのです。もしかしたら、原因はクラブなのではないか?

試しにクラブを以前のスペックに戻してみると、明らかに調子が戻る。これは、私にとってかなり衝撃的な出来事でした。

それまで私は、クラブは「数字で説明できるもの」だと思っていました。
しかし、その経験は、その考え方を大きく揺るがすものでした。

そしてちょうどその頃、私のゴルフ人生に大きな影響を与える人物と出会うことになります。

後藤修さんです。

その出会いをきっかけに、私はある疑問を持つようになります。それまで当然のように信じてきた考え方です。

「クラブは仕事をしてくれるほど、やさしい」

本当にそうなのでしょうか?

もしかすると、力のないアマチュアにとって本当にやさしいクラブとは、まったく違うものなのではないか?そんな疑問が、私の中に生まれ始めていました。

その答えを探す旅が、ここから始まることになります。

(続く)

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。