8番からWがピンの「ブループリントT」

女子では異例のスペックにする意図は

佐久間は今シーズンから8、9番アイアンとその下の番手であるWの3本がマッスルバック(ピン「ブループリントT」)になっています。

ピンと契約する日本の女子選手でマッスルバックのアイアンを使っている選手は他にはいません。

というよりも、男子プロでも最近は減る傾向にあり、というよりも、男子プロでも最近は減る傾向にあり、アメリカ男子のPGAツアーでも半分ほどの割合に。

世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーやタイガー・ウッズ。ローリー・マキロイなどがマッスルバックにこだわる一方で、ピンの男子契約プロを見ると先週の「アーノルド・パーマー招待」は惜しくもプレーオフで敗れたダニエル・バーガーや、ビクトル・ホブランといった“看板”選手はキャビティバックのモデルを使っています。

意図的に芯を外して飛距離を落とす

佐久間がマッスルバックを使うようになった理由はやはり操作性です。

昨シーズンの年間女王からさらに上を目指すことを公言している今シーズンのテーマは「1ヤード単位で打ち分けたい」です。

微妙な距離の打ち分け、というと一般的には振り幅、スイングの大きさで調整するもの、と思いがちですが、佐久間が求めているのは意図的に芯を外したり打点を変えることで距離を落としたり、スピンの入り方を調整するのだというから、もはや一般ゴルファーには理解できない異次元のプレーです。

キャビティは寛容性が仇にもなる?

芯が広くて外しても飛距離が落ちないのがキャビティや最新モデルのアイアンの特徴であり、一般ゴルファーも求める機能です。

ですが、前述のような使い方もする佐久間にとっては、その機能が“仇”になってしまうようです。

PGAツアーではマキロイが今シーズン途中にキャビティのアイアンを使ったものの、操作性を求めてマッスルバックに戻しましたが、この感覚には佐久間と共通するものがあるのかもしれません。

キャビティの6,7番もすでに“マッスルバック”仕様に!?

「ダイキンオーキッド」でバッグに入っていたマッスルバックは8、9番とWの3本でした。

6番と7番はキャビティの「ブループリントS」でしたが、これらの番手の「T」もすでに製作されて本人に渡されており、使う可能性もあるかもしれないというのです。

6番と7番の「S」を見ると、ソールの後ろ側を削ってありますが、これは「T」に合わせているのが理由だそうです。

つまり、いつスイッチしてもバウンスの跳ね方などで違和感を抱くことのないようにしている、ということですね。

5番アイアンは「i240」が入っていますが、複合ヘッドのモデルはアイアンというよりもハイブリッドに近い位置付け、と考えると事実上全ての番手のアイアンがマッスルバックになるかもしれない、ということです。

8番、9番、Wはすでにマッスルバック。

どこまで進化していくのか

女王となった翌シーズンの開幕戦で優勝するのは2001&2003年の不動裕理以来、ツアー史上2人目の快挙です。

「ダイキンオーキッド」4日間(72ホール)のパーオンホール数を比べると、15位だった昨年は43だったのが今年は54と大幅に増えました。

もちろん本人の技術が向上したことが最大の理由とはいえ、グリーンを狙うショットで使う機会の多いマッスルバック投入もこれに貢献しているのかもしれません。

そのプレーの内容は、もはや他のゴルファーとは異次元のレベルに上がっていっている感すらある佐久間が、この後どのような進化をしていくのか。

使用クラブのスペックも含めて、今後も注目です。

(取材・文・写真/森伊知郎)