球持ちがよくて初速が出る、歴代ミニのいいところ取り
「PARADYM Ai SMOKE Ti 340 MINIドライバー」、「ELYTE MINIドライバー」に続く三代目となる”ミニドラ”「QUANTUM MINIドライバー」。ヘッド体積は歴代モデルと同じ340㎤。アドレス目線で見た時のヘッドのシルエットもほぼ同じだ。では何が違うのか? さっそく石井に聞いてみよう。

「ミニサイズと言いますが、僕はキャロウェイの歴代ミニドライバーを構えた時にヘッドが小さいと感じたことがありません。『QUANTUM MINIドライバー』もそうで、ヘッドの投影面積が大きくて、見た目は歴代モデルとほとんど一緒。でも違いはちゃんとあります。まずはインパクト感で、ボールがフェースに軟らかく吸いつくのが『Aiスモーク』。強く弾いて飛ばす感じなのが『ELYTE』。それらに比べて『QUANTUM MINIドライバー』はボールがフェースに乗っている時間が増えて球持ちがよくなり、コントロール性がアップしています。いわば初代と二代目のいいところ取り。ヘッドが小さいぶん音が散らないせいか、ちょっとこもった打音で、それも打感を柔らかく感じさせる一因かもしれません」

ミニドライバーとはいえドライバー。飛ばないよりは飛んだ方がいいに決まっているが飛距離はどうなのか?
「普通は球持ちがいいとボール初速があまり出ませんが、『QUANTUM MINIドライバー』はちゃんと出ていて歴代の中では一番飛びます。これは『TRI-FORCEフェース』の影響かもしれません。そう考えると『QUANTUM MAXドライバー』と打感が似ているのも説明がつきます。もちろんノーマルサイズのドライバーより飛距離は劣りますが、そもそもミニドライバーの目的はドライバーが打ちにくいと判断した状況でコントロールしてポイントに運ぶこと。その点、コントロール性能がアップし、大型ヘッドのドライバーが苦手な人向けに飛ぶ機能も備わっている。一周回ってミニドライバーのレベルが上がりましたね」
「QUANTUM MINIドライバー」にはQUANTUMシリーズのドライバーと同様、チタンとカーボンでポリメッシュをサンドした新開発の3層フェース「TRI-FORCEフェース」が採用されている。打球面には圧力に強いチタン。それを支える裏側にポリマー素材のポリメッシュとカーボンファイバーの薄い層を重ねることで、強大な反発力と耐久性の両立に成功。ボール初速が飛躍的にアップした。
一方、コントロール性能を支えるのは、キャロウェイが長年培ってきたAI設計による弾道補正。今作はフェースのチタン部分が薄くなり、インパクトでフェースがよりたわみやすくなっているが、それに合わせてAIがコントロールポイントを一層強化。前作に比べてスピン量の増減幅が小さくなり最適なスピンを維持しやすくなったという。
遠くに飛ばす技術革新が小さいヘッドに存分に盛り込まれている

「これは僕の考えですが、昨今のミニドライバーブームはアマチュアの方がロフトの多いドライバーを試すいい機会だと思います。いまやクラブフィッティングは常識になりつつありますが、“あなたにはロフト13度が最適です”と言われたら誰もが『えっ』と戸惑うでしょう?
でもミニドライバーなら迷わず13度を手にできます。そんな人の中にはノーマルドライバーより飛ぶ人も少なからず出てきますが、そうなる理由はロフトが適正だから。本来はもっとロフトが必要な人が適正ロフトを知るチャンスという意味でミニドライバーは有効だと思います」
ヘッドのクラウン部はトライアクシャル・カーボン、ボディはチタンで、ロフトは11.5度と13.5度の2種類を用意している。石井が言うように多めのロフトだ。ミニドライバー初搭載の「オプティフィット4」にも注目。従来はフェアウェイウッドやユーティリティ用のアジャスタブルホーゼルを転用したことでロフト角とライ角のバリエーションが増やせるようになった。

「長さについても同じことが言えます。本人は自覚していないかもしれませんが、実はドライバーの長さを持て余しているアマチュアの方がすごく多い。振り遅れて当たらなかったり、プッシュスライスが出る人にはこの傾向があります。考えてみれば7番アイアンの長さはこの20~30年で1インチ長くなっていないと思います。でもドライバーは1.5~2インチ近くも長くなっています。進化の過程でドライバーだけ異様に長くなっているとしたらミ二ドライバーの長さは妥当。適正な長さの範囲に収まっていて打ちやすいです」
ちなみにクラブ長さは43.75インチ。前作「ELYTE MINIドライバー」よりも0.25インチ長くなってはいるが、操作しやすい長さであることに変わりはない。
「そういう意味でも遠くに飛ばす技術革新は小さいヘッドにも盛り込まれています。今はミ二ドラと呼ばれますが、近い将来そう言われなくなり、シンプルにドライバーの選択肢の一つになると僕は思います。そのきっかけになりそなのが『QUANTUM MINIドライバー』です」
付け加えておくと、「QUANTUM MINIドライバー」は芝の上からも打ちやすい設計。リーディングエッジをシャープに仕上げ、ソールにはQUANTUMのフェアウェイウッドやユーティリティと同様のステップ・ソールデザインを採用。ボールを拾いやすくするとともに跳ね返りを抑える設計がなされている。
「QUANTUM MINI BUFFY」打った瞬間にボールが上がる!何発打っても同じ球が出る!
続いて打ったのは「QUANTUM MINI BUFFY」。ロングゲームにおいてフェアウェイウッド(以下FW)は必須アイテムだが、仮に3番と5番を入れたとしても、アマチュアにとって3番はハードルが高く、5番は比較的打ちやすいものの飛距離的にモノ足りない。そこでキャロウェイが提案したのが「QUANTUM MINI BUFFY」。4番ウッドの復活だ。

打つやいなや「これは面白いクラブですよ!」と石井。「何が面白いって、バフィとは思えないほど打った瞬間にボールがポーンと上がる。これだけ打ち出しが高いと普通はボールがめくれがちですが、それもなくいきなり高弾道。ヘッドスピードを落として打っても楽にボールが浮きました。しかも、ただ上がるのではなく適度につかまるので曲がらない。何発打っても見事に同じ球しか出ません」と続けた。そこで、トラックマンを用意してヘッドスピード43m/s台、40m/s台、そしてダフった時の飛距離等の差を比べてみた。
ヘッドスピード43m/s台の結果
| クラブスピード | 43.4 m/s |
|---|---|
| ボールスピード | 60.1 m/s |
| ミート率 | 1.38 |
| 打出角 | 15.0度 |
| スピン量 | 3261 rpm |
| キャリー | 213.0 yd |
| トータル | 226.1 yd |
| 最高到達点 | 32.1 yd |
| 着地角 | 42.3度 |

ヘッドスピード40m/s台の結果
| クラブスピード | 37.2 m/s |
|---|---|
| ボールスピード | 52.1 m/s |
| ミート率 | 1.40 |
| 打出角 | 13.9度 |
| スピン量 | 2836 rpm |
| キャリー | 173.5 yd |
| トータル | 202.8 yd |
| 最高到達点 | 19.0 yd |
| 着地角 | 32.1度 |
確かに打ち出した瞬間から球が高く上がってなかなか落ちてこない。しかも弾道は空中に線を引いたかのように一様だ。その要因について石井は次のように分析する。
「平たいヘッドは投影面積が大きくお尻が長い。重心が深い位置にあるからこれだけ球が上がるんでしょうね。ソールもすごく機能しています。フェアウェイはもちろんラフからも打てる。ディボットからも打ってみましたがフェアウェイと同様に球が浮きました。ソールがヘッドを導いてくれるような感覚がありますね。打音も打感もともによし。カチッというソリッドな音がしますが硬い打感ではありません。小気味よい打音で程よく軟らかい打感です」
ダフった時の結果
| クラブスピード | 37.6 m/s |
|---|---|
| ボールスピード | 47.4 m/s |
| ミート率 | 1.26 |
| 打出角 | 15.2度 |
| スピン量 | 1743 rpm |
| キャリー | 143.9 yd |
| トータル | 188.2 yd |
| 最高到達点 | 13.4 yd |
| 着地角 | 25.0度 |
「QUANTUM MINI BUFFY」には、QUANTUMフェアウェイウッドシリーズと同様「スピードウェーブ2.0」が搭載されている。これは独自のタングステン・スピードウェーブの進化バージョンで、トゥ・ヒール方向の幅を狭く、前後の距離を長くしたもの。前端をフェースの裏面ギリギリまで前進させてソール内面からの浮き上がりを抑えている。
また、これによりフェースカップ下部のヒンジ部分(L字の折れ曲がり部分)の長さを伸ばすことができた。その効果でフェースの下部で打った場合でもたわみ量が増大。ボールスピードのロスを抑え、高い打ち出しと安定した飛距離を実現した。

「ボールが適度につかまる」と石井が言うように、ドローバイアスは「QUANTUM MAX D」フェアウェイウッドと「QUANTUM MAX」フェアウェイウッドの中間程度に設定されている。ソールはすでにお馴染みのステップ・ソールデザインだが、前作「ELYTE」の進化版。台形だった中央部を三角形に近づけ、アドレス時の安定感を担保しつつショット時の抜けのよさを向上させている。
ボールを浮かせるためだけに生まれてきたようなフェアウェイウッド
「フェアウェイウッドは距離を稼ぐクラブですが3ウッドは長さもあり、ヘッドが小さく見えてとっつきにくい。その点、このバフィーは短くてヘッドが大きく見えますからフェアウェイウッドが苦手な人にもってこいです。例えばロングショットを全てユーティリティ(以下UT)に頼っている人はぜひ打ってみてほしい。UTでもロフト17度となると難しいと言われますが、確かにUTの17度では同ロフトのバフィーほど打球が上がりません。僕が使っている『APEX UW』も、『QUANTUM MINI BUFFY』ほどの高さは出ません。まさにボールを浮かせるためだけに生まれてきたようなFWです」
ヘッドは「QUANTUM MAX D」フェアウェイウッドの3番と同サイズ、同フォルムで大きめ。ロフト角は17度でスタンダードな5番ウッドより1度少なめだが、クラブ長は5番ウッドより短い42.25インチ。大ぶりなヘッドと短めのクラブ長は想像以上の安心感と打ちやすさをもたらす。
「打ち方としては、やや上からボールにぶつけにいく感じでもイケますが、投影面積が大きくシャローなのでそのイメージは湧きづらい。どちらかと言えば横から払うイメージの方がいいでしょう。ただ、払うと言ってもダウンブローはダウンブローで、あくまでヘッドが下向きのタイミングでヒットする。ちょっとくらいダフってもソールが機能してヘッドが前に行くのでレベルのイメージでもいいかもしれません」

「ミニドライバーに続く番手をどうするか、となった時に3ウッドだとドライバーとロフトが近くクラブとしての難しさもあります。かといって5ウッドでは距離的に足りない。その点、この『QUANTUM MINI BUFFY』を入れれば流れがよくなる。痒いところに手を届かせるクラブです。もちろんヘッドの機能や構造にはクアンタムの新しいテクノロジーが盛り盛りに入っていてFWとして着実な進化を遂げています。何か問題が発生したら、それを解決するべくメーカーが考えて形にしてくれる。その典型のようなクラブ。こういう変化を感じるクラブってやっぱり面白いですよね」
ホーゼルはミニドライバーの試打でも触れた、QUANTUMフェアウェイウッドシリーズと同様のアジャスタブルホーゼル「オプティフィット4」。フェースはもちろん、モデル・番手別AI設計。こちらもミニドライバーと同様、コントロールポイントの強化と弾道補正効果が向上し、打点ごとに打ち出し角やスピン量を最適化するだけなくボールスピードの安定化も図っている。石井が打ったボールの着弾点が左右5ヤードの狭い範囲に収まっていたのも頷ける。
さて、いかがだっただろうか。大きなしなりと先端の走りでヘッドスピードを引き出しながら、インパクトの安定感も高い「QUANTUM MINIドライバー」。そして、打った瞬間に高弾道でボールを運び、安定した弾道を再現する「QUANTUM MINI BUFFY」。いずれも“やさしく打てて、しっかり飛ばせる”というコンセプトを高いレベルで実現している。ドライバーやフェアウェイウッドに苦手意識を持つゴルファーにとって、ロングゲームをシンプルに変えてくれる新しい選択肢といえるだろう。

















