ともにナイスショットした場合なら飛距離はほとんど変わらない

前回はロフトが同じ25度だったらユーティリティ(以下UT)と5番アイアンはどちらが飛ぶのかをお伝えしました。今回は番手を上げて、もう少しロフトの立ったクラブで飛距離の差を比べてみたいと思います。俎上に上げるのはロフト21度のフェアウェイウッド(以下FW)と19度のUT。前者は7Wと考えていただけばOK。ともにカーボンシャフトが装着された前提で比較します。

結論から先に言うと、ともにナイスショットした場合には飛距離はほぼ変わりません。UTの方がロフトが2度立っていますが、FWはシャフトが長いため、相殺されて大体同じ飛距離になるのです。何が変わるかというと弾道の高さで、FWの方が高弾道のショットになります。

これはひとえにヘッドの構造による違い。ヘッドが大きいFWは重心深度が深いため、インパクトでヘッドが傾きロフトが寝ます。例えばキャリーとランのトータルで200ヤード飛ぶとしたら、FWはキャリー190ヤード+ラン10ヤード、UTはキャリー185ヤード+ラン15ヤードという感じで、UTの方が5~10ヤードランが出やすくなります。ですからグリーンに向かって打つケースでは、FWの方がボールが止まりやすく、UTでは手前からランを考慮した攻め方が求められます。

飛距離はほぼ同じですから、問題なく打てればFW、UTどちらを使ってもOKです。もし共存させている人がいたら、もったいないのでどちらかを抜き、他のところでセッティングを充実させるべきです。どちらを使うかは好みの問題ですが、これまで何度もお伝えしてきた通り、ロフトが20度前後のUTはかなり難しいクラブです。19度と22度、22度と25度では、ともに3度の違いですが、前者は後者の3倍くらい難しくなります。なので私はアマチュアの方にUTは22度からがいいとすすめています。

もう少し加えておくと、19度のUTを打つには、ドライバーのヘッドスピードで42m/sくらいが安定して必要です。アマチュアゴルファーは30m/s台後半から40m/sあたりがもっとも多いと思いますが、これだと足りない。使うとしてもティショット限定といった感じになるかと思います。

打ち方も変わりますが、ここで間違えてほしくないのは、意図して変えるのではなく結果的に変わるということです。前述したようにFWは重心深度が深いためインパクトロフトが若干寝てボールが上がります。ヘッドが上から入るとこの機能が生かせないのでレベルブローでヒットするのが理想です。

これに対しヘッドが小ぶりで重心深度が浅いUTはレベルブローに近いダウンブローで打つ必要があります。この違いをスイングに反映させるにはボールの位置を調整します。すなわちFWではボールをわずかに左に置く。こうしていつもと同じスイングをすればレベルブローになる=打ち方が変わるわけです。

19度のUTが難しいのは21度のFWと同じように、レベルブローに近づけないと飛ばないこと。FWと同様にボールをやや左に置いてヘッドファーストで構えて打たなければいけない。つまり、ヘッドが小さく重心深度が浅いクラブなのに、FWのアドレスで打たなければならない。ある意味、とても中途半端な存在なのです。UTは22度から、と私がおすすめするのは、22度ならヘッドファーストで構えなくてもいいからです。

アマチュアの方はヘッドファーストのアドレスから打つのが苦手です。ドライバーのようにティアップしていれば当たりますが、地面にあるボールもドライバーと同じイメージで打ってしまう。FWでトップやチョロが出るのはこのためです。19度はUTなのにFWと同じ打ち方が求められるわけで、そうなるとクラブの構造上、相当なヘッドスピードがないとボールが上がりません。もしあなたが7WかUTかで悩んでいる一般的なヘッドスピードの持ち主なら、迷わず7Wを選ぶべきです。

一般的なヘッドスピードなら7Wを選ぶのが正解

飛距離はほぼ同じでも、19度のUTはヘッドスピードと打ち方の両面で難易度が高くなります。21度のFWは高弾道でボールが上がりやすく、グリーンでも止めやすい。一方、19度UTはしっかり打てるパワーがなければ性能を引き出しにくいクラブです。7WかUTかで悩んでいる一般的なアマチュアなら、やさしさと安定性を優先して7Wを選ぶのが賢明な選択と言えるでしょう。

吉本巧(よしもと・たくみ)

ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。