中野は初日の池ポチャをきっかけに“覚醒”

コース近くの桑名では昼過ぎには風速12.9メートルを記録するというコンディションで7バーディー(2ボギー)。フェアウェイを外したのは2回だけ。この日のベストスコアとなる65で回った中野が風対策で“覚醒”したのは、ティショットを池に入れた初日(9日)の2番ホールでした。打ち出しを低く抑えるためにダウンブローを強めにしていたのが、過剰ぎみなのが気がかりだった中でのミスショット。この池ポチャで「このままじゃダメだ。大胆にチェンジしないと」と意識したのは、なんと“すくい打ち”すること。これは初心者がレッスンを受けた際に真っ先に矯正される項目のひとつです。

初心者が矯正されるようなことを、あえて意識した理由は、さすがに実際にやるわけではなく、「すくい打ちするぐらいの意識をしたことでダウンブローの度合いが少なくなって、スピン量が適正に近づいたと思います。すごくボールストライクが良くなって、風が強い中でも安定したボールが打てました」と説明しました。その結果が23位から2位への浮上ですから説得力があります。

12日の最終日は1999年のJGTO(日本ゴルフツアー機構)発足後の日本勢としては松山英樹(2試合目)、金谷拓実(3試合目)に次いで片岡尚之と並ぶツアーメンバー登録後4試合目での優勝を目指します。

石坂は「180ヤード打って、165ヤードしか飛ばない」

石坂はこの日のプレーを「180ヤード打っても、165ヤードとかしか飛びませんでした」と振り返りました。その強風下で4バーディー、ノーボギーで回ることができた秘訣について「アゲインストの時にボールを右に置きすぎない。むしろ左に置いて打っていくという意識でやっています」と説明しました。

ボールの位置を通常より右めにして低い球を打つ、というのはアマチュアでもやるアゲインスト対策です。それが「通常のショットの時よりも左に置く」(石坂)とは、まるで逆説。いったいどういう意味なのか知りたいところです。

ボールを右に置いて生じた問題が、石坂は昨シーズン中盤まではセオリー通りにアゲインストではボールを右に置いていました。ただ、そのことで「詰まってボールコントロールができなくて、自分の感覚と合わない部分があった」そうです。この違和感を解消するために試したことが上記の「通常のショットの時よりもボールを左に置くこと」でした。その度合いはボール1個~1個半。「通常より左」はあくまでイメージで、実際にはそこまで左になることはないですが。それぐらいの意識をすることで「ボールを(横から)押したい」というイメージ通りのスイングができるようになりました。

さらにはティーアップを通常より高くすることも。これにはクラブの軌道をアッパーブローしてスピン量を減らす意図があります。

そして「アマチアの方はティーイングアリアの真ん中でなく、左右のどちらかにティーアップしよう、と試してみるだけでもコースの見え方が変わってきますよ」と風ゴルフのアドバイスもくれました。

今年1月1日には女子ツアーの出場経験もある星空(せいあ)さんと入籍。最終日は愛妻の前でプロ転向8年目の初優勝をめざします。

(取材・文/森伊知郎)