「頭を残せ」は万能の正解ではない
先日ゴルフ友達とラウンドしている時にこんな話になりました。ゴルフ友達から「仲間からよく顔が上がっているとか頭を残せと言われる。でも、頭を残そうとすると体の回転が止まり、変なひっかけが出る。どうしたらいい?」と聞かれました。
私は「頭を残せというアドバイスが逆効果になっているパターンだよね。頭を残せはマジックワードに近いからね。ハマる人とハマらない人がいる」と答えました。ゴルフ友達は「ハマらない人はどうしたらいいの?」とさらに聞いてきました。私は「頭を残せを言い換えて試してみた方がいい」と答えました。
ゴルフでは昔から、頭を残す、ボールを最後まで見る、顔を上げるな、といったアドバイスをよく聞きます。ラウンド中に仲間から顔が上がっていると言われると、多くのアマチュアゴルファーは、頭をもっと残さないといけないのかもしれないと考えるはずです。
私自身も以前はそうでした。ミスが出るたびに、もっと下を向こう、もっと長くボールを見ようと意識していました。ですが、この意識は人によってはプラスになりますが、別の人には逆効果になります。
私の場合は、この意識がかえってスイングをぎこちなくし、ひっかけばかりになってしまいました。頭を残せというアドバイスは、全員に当てはまる万能の正解ではありません。
大切なのは、その人のミスの原因が何かを見極めることです。顔が上がっているという見た目だけを直そうとすると、本当に直すべき動きまで見失いやすくなります。
このテーマでまず押さえたいのは、頭を残すという言葉は使い方次第でプラスにもマイナスにもなる、ということです。
「頭を残せ」が効く人と危険な人の違い
頭を残すという意識が有効なのは、ダウンスイングで上体が目標方向へ突っ込みすぎるタイプです。たとえば、早く当てにいこうとして右肩が前に出る、ボールに届かせようとして胸ごと左へ流れる、そんな動きが強い方は、頭の位置を少し我慢するだけで当たりが安定することがあります。
このタイプは、ダフリやトップが出やすく、インパクトで最下点が安定しません。そういう方に対しては、頭を少し残すという表現が、突っ込みを抑えるブレーキとして機能します。ここでの意味は、頭を完全に止めることではなく、上半身からボールに向かっていく動きを抑えることです。
一方で危険なのは、頭を残そうとした結果、回転そのものが止まってしまうタイプです。顔が上がっていると言われたあと、ボールをずっと見ていようとしたり、頭を右に残すことだけを優先したりすると、胸が左を向かなくなります。
すると、体が止まったまま腕だけが振られ、クラブフェースが急に返って、変なひっかけやチーピンが出やすくなります。このタイプは、ヘッドアップを直しているつもりなのに、球筋はむしろ悪くなるのが特徴です。
しかも本人は、顔を上げないように頑張っている分だけ、余計に修正の方向がズレやすくなります。こういうタイプに対して、頭を残すという言葉は適切なアドバイスではありません。
なぜなら、この言葉をそのまま伝えると、顔を下に向け続ける、頭を右に置いておく、首から上を動かさない、といった意味に受け取られやすいからです。ですが、本来このタイプに必要なのは、頭を止めることではありません。
伝えたいのは、上体を突っ込ませず、前傾を保ったまま胸と骨盤を回すことです。ですから実際には、頭を残すではなく、前傾を残す、胸を左へ回す、打ったあとに止まらない、といった言葉に言い換えた方がうまく伝わります。
見分け方は意外とシンプルです。頭を残そうとした時に、ダフリやトップが減って打点が整うなら、その意識は一時的に役立っている可能性があります。逆に、左へのひっかけが増える、打ったあとに胸が止まる、フィニッシュが窮屈になるなら、その意識は合っていない可能性が高いです。
本当の原因はヘッドアップではない
仲間から顔が上がっていると言われると、どうしても顔の動きばかり気になります。ですが、スイングをよく見ると、実際には顔が上がっていることそのものが原因ではなく、別のエラーの結果としてそう見えているケースが少なくありません。
特に多いのが、前傾が早くほどける、インパクトで回転が止まる、お尻が前に出て上体が起きる、という動きです。こうした動きが起きると、結果として頭や顔も上に逃げるので、周りからはヘッドアップしているように見えます。
見た目は確かに顔の問題なのですが、原因はもっと手前にあるわけです。つまり、表面的には顔の問題に見えても、本質は体の使い方にあります。ここを間違えると、直し方もズレてしまいます。
顔を下に向け続けることに集中すると、一見するとヘッドアップは減ったように感じるかもしれません。しかしその代わりに、胸が回らない、左を向けない、クラブを手で返す、といった別の問題が出やすくなります。
今回のように、頭を残そうとすると変なひっかけが出るというのは、まさにその典型です。頭を残したことで良くなったのではなく、体が止まって悪くなっているわけです。
では何を意識すべきかというと、頭を止めることではなく、前傾を保ったまま胸を回すことです。さらに、インパクトで終わらず、打ったあとに自然に左を向いていくことも大切です。
顔は無理にボールの位置へ残さなくて大丈夫です。回転ができていれば、顔はあとから自然についてきます。ヘッドアップを直したい時ほど、顔ではなく体全体の流れを整えることが近道になります。
回転を止めないための3つのドリル
頭を残そうとして体の回転が止まるタイプの方は、いきなりボールを打ちながら直そうとしない方がうまくいきます。理由はシンプルで、ボールがあるとどうしても「当てること」が優先になり、これまで通り顔を下に残そう、頭を動かさないようにしよう、という古い意識に戻りやすいからです。
そこでおすすめなのが、まずは自宅でボールを使わずに、胸を回す感覚と前傾を保つ感覚を覚えることです。そのうえで練習場では、打ったあとに止まらず左を向ける動きを確認します。この順番なら、頭を残すのではなく、前傾を保ったまま胸を回すという本来の動きを無理なく身につけやすくなります。ここでは、実際にどう構えて、どこをチェックして、何回くらいやればいいのかまで具体的に説明します。
最初のドリルは「クラブ胸当てドリル」です。これは胸を回す感覚をつかむための基本練習で、自宅でもすぐにできます。やり方は、まずクラブを1本用意し、胸の前で横向きに抱えるように持ちます。両腕でクラブを胸に軽く押し当てるイメージです。そのままゴルフのアドレスと同じように、膝を軽く曲げ、背中を丸めすぎず、お尻を少し後ろに引いて前傾姿勢を作ります。
そこから腕ではなく、胸ごと右に回し、次に左に回します。ポイントは、クラブを振ることではなく、前傾した胴体ごと向きを変えることです。頭は完全に固定しようとしなくて大丈夫で、胸が回れば首や顔も少し一緒に動いて問題ありません。むしろ頭を無理に残そうとすると首だけが固まり、胸が回らなくなります。
チェックしたいのは、左を向いた時に胸だけでなく、みぞおちの向きも左を向いているか、前傾が起き上がっていないか、お尻の位置が大きく前に出ていないかの3点です。最初はゆっくり10往復で十分です。慣れてきたら、右を向いて1秒止まる、左を向いて1秒止まる、という形にすると、自分がどこで動きを止めてしまうのかが分かりやすくなります。感覚としては、顔を下に残すことよりも、胸が左右にしっかり向きを変えているかを最優先で確認してください。
次に行うのが「お尻壁付けドリル」です。これは前傾がほどけて体が起き上がる癖を修正するためのドリルで、今回のテーマには特に相性がいい練習です。ヘッドアップと言われる方の中には、実際には頭だけが上がっているのではなく、ダウンスイングからインパクトでお尻が前に出て、体全体が起きてしまう方が多くいます。その動きを自覚するために、壁を使います。
やり方は、壁にお尻が軽く触れる位置でアドレスを作ることから始めます。べったり押しつけるのではなく、ズボンのお尻の後ろ側がふわっと壁に触れる程度で十分です。クラブは普通に持ってもいいですし、最初は胸の前で持っても構いません。その状態から、バックスイングの形を小さく作り、次にフォロー側へゆっくり回っていきます。
この時、お尻が壁から離れないかを必ず確認してください。ダウンスイングで体が起きる人は、この場面でお尻が壁から離れやすくなります。特に、左を向く途中でお尻が前に出る、かかと側ではなくつま先側に体重が乗りすぎる、胸は回したつもりでも上体が立っている、といった形が出たら要注意です。
最初は腰から腰までの小さい動きで十分です。大きく振ると形が崩れやすいので、まずは小さな動きで前傾を保ったまま回れるかを確認してください。10回を1セットにして、1日2〜3セットでもかなり効果があります。うまくできると、胸は左を向いているのに上体は起き上がらず、お尻は後ろ側に残る感覚が出てきます。これが、頭を無理に残さなくても上体が暴れにくい形です。
最後に練習場で行いたいのが「フォロー止めドリル」です。これは自宅で作った動きを、実際のショットにつなげるための仕上げです。やり方は、ウェッジか7番アイアンを使い、最初はハーフスイングの大きさでボールを打ちます。フルスイングは必要ありません。テークバックで手が腰の高さまで上がるくらい、フォローでも腰から胸の高さくらいまでの小さな振り幅で十分です。
ボールを打ったら、そのままフォローで2秒止まってください。ここでのチェックポイントは3つです。1つ目は、胸が目標方向ではなく、しっかり左を向いているか。2つ目は、ベルトのバックルも一緒に左を向いているか。3つ目は、顔だけがボールのあった場所に残っていないかです。
頭を残そうとしすぎる方は、打ち終わったあとも顔だけ下に残り、胸が正面のままで止まりやすくなります。その形だと、たとえボールに当たっても、体が止まって腕で返しただけの可能性があります。反対に、良い形は、前傾がある程度残ったまま胸と骨盤が左を向き、顔もその回転に引っ張られるように自然に左を向いている形です。
最初は10球連続でやる必要はありません。1球ごとに止まって形を確認しながら5球、その後もう5球という形で十分です。大切なのはナイスショットを打つことではなく、止まらずに左を向いて終われたかを確認することです。もしこのドリルで左へのひっかけが減り、打球の出だしが落ち着いてくるなら、これまでのミスはヘッドアップそのものではなく、体の止まりが原因だった可能性が高いです。
ラウンド中に意識する言葉も、あれこれ増やさない方がうまくいきます。「頭を残す」ではなく、「前傾を残す」「胸を左へ向ける」「打ったあとに止まらない」。この3つだけで十分です。ヘッドアップを直そうとするほど、顔や頭に意識が向きやすくなりますが、本当に直したいのはそこではありません。体が止まらずに回れるようになれば、顔が上がるかどうかを気にしなくても、結果としてスイングはかなり安定してきます。
それでは、引き続きアマチュアゴルファー目線で役立つ記事を投稿できればと思っていますので、次回の投稿を楽しみにお待ちください。
もう少しでシングル(ペンネーム) 東京都内在住の40代のサラリーマンゴルファー。2011年にゴルフを始め、現在のJGAハンディキャップは4.5。2020年にはヘッドスピードアップにチャレンジし、42.4m/sからスタートし、61.0m/sまでアップ。2020年からシングルプレーヤーになる過程を記録するために、ブログ「シングルプレーヤーへの道は遠い?」を運営(https://low-handicapper.com/)。










