日本の聖地100選|千葉県大栄カントリー倶楽部|美しい日本庭園風の18ホール
一般のゴルファーにとっての良いコースとは、いつも気分良く楽しめるコースである。そんな「また回りたい」と感じさせる日本庭園風の18ホールが、成田空港近くにある。それが千葉県の大栄カントリー倶楽部だ。
「クライアントを集めたゴルフ・コンペを行ったが、美しい日本庭園の中の18ホールは適度な難しさで参加者全員が大満足、次の会もぜひここで」、「メンバーだが、友人を誘っていつも喜ばれる」、「しばらく好スコアが出なかったが、ここでパー・プレーが出た」ーーすべてここに紹介する「大栄CC」に関するコメントである。設計者は日本庭園風で有名な「鳳琳CC」と同じ海津康志、バブル時代の平成元年(1989)の開場である。
昨今は、見栄えの良い難ホールが続かないと名コースとしない風潮で、難コースが良いコース、そんなコースが名ゴルファーを育てるとされる。それも正しい。現に、世界のコース・ランキングで一位を占め続ける米国の「パインバレーGC」は難しい。コースの手本、セント・アンドリュースの「オールド・コース」も風が吹けば難しい。“コースがゴルファーを育てる”も事実である。
しかし、本来ゴルフはスコットランドの貴族やジェントルマンの暇つぶしのゲームだった。それゆえ、良いコースの条件に“何回プレーしても飽きないこと”という一項がある。セント・アンドリュースの「オールド・コース」はその模範とされる。それに、一般ゴルファーの腕はボギー・ペース程度で、それを“アベレージ・ゴルファー”と呼び、会員制コースの設計基準はそこに置かれてきた。会員制なら、まず、メンバーが楽しくプレーできることが第一である。その点から、この「大栄CC」は平均的な会員を楽しませる“良いコース”と言える。トーナメント指向の派手な難ホールはテレビ映りも印象的で、大きく宣伝されるが、クラブ制コースには一考の余地がある。
「大栄CC」は、建設前が落花生と薩摩芋の生産畑だった土壌で、水捌けは抜群、芝の状態は素晴らしく、適度に難しい。大きめのグリーンはすべて形状が異なり、各々に個性的な起伏がある。コースは地形から3部分に分かれる。1番パー4は左に美しい池がグリーンまで続く。石と松が基調の日本風で、外国のコースにない魅力がある。2番パー4と3番パー5は平坦なホールで、次が同じ池を越えるパー3。5番パー4は距離のある緩い上り、やや右ドッグレッグで最もタフなホール。ここでアウトの残り4ホールのブロックに移るが、カートの移動で問題はない。6番パー4は厳しい右ドッグレッグ、曲がり角の内側の高木と外側のバンカーへの対処が課題。7番パー5、8番パー3にも同じ趣向の池が絡む。9番は短いパー4、気分良く前半が終わる。
イン最初の課題は11番パー4、ティショットが池と高木の絡む“ケープ”スタイル、どの角度でフェアウェイを狙うか、頭脳プレーの出番。インではバンカーの縁に立体感が現れ、アウトとの違いを感じる。13番パー5の直線的フェアウェイは快適。距離のあるパー3の後、14番は上りのドライブ&ピッチ。続く15番パー5は“シグナチャー・ホール”、第2打地点から左へ旋回し右に池が現れ、グリーンは軽い上り。どのルートを選ぶか、戦略型の典型である。16番パー3は石で飾った池越え、18番パー4はグリーン前がビーチ・バンカー、これで変化に富んだ楽しいラウンドが終わるが、いずれのプレーヤーにも再来を誓わせる魅力をもっている。
文/大塚和徳
●大栄カントリー倶楽部
・コース所在地:千葉県成田市横山638
・URL:http://www.taiei.cc