指痛で棄権も覚悟した上田桃子選手の“無欲が生んだ”逆転優勝
プロキャディが語る! 2019シーズン熱戦エピソード /新岡隆三郎編
新型コロナウイルスによる“ゴルフ自粛生活”に辟易しているゴルフファンに、少しでも楽しんでいただきたい! そして、相次ぐ大会中止によって活躍の場が減少しているプロキャディの皆さんに少しでも露出できる場を創造したいという考えからスタートしたこの企画。
男女ゴルフツアー・2019年シーズンにおいて、プロキャディたちが厳選した“熱戦エピソード”や裏話などを臨場感たっぷりにお届けします!
今回、登場してくれるのは新岡隆三郎キャディ。2006年から本格的なプロキャディとなり、担当した片山晋呉選手はその年の賞金王に。2019年シーズン、女子は上田桃子選手、男子は岩田寛選手のキャディを担当した。そんな新岡キャディのお話は、上田選手優勝のあのエピソード。
新岡キャディにとって、昨年一番印象深かった試合は、自身がキャディを務めた上田桃子選手が逆転優勝を果たした「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」。多くのメディアで、すでに報じられているので、ご存知の方も多いかもしれないが、このとき、上田選手は右手の中指を故障し、痛みに耐えながら18ホールを回りきり、勝利を手にしたというドラマティックなゲームだった。
「最終日の朝、上田選手から連絡があり、『右手中指に激痛走り、曲げることもできないので、プレーは無理かもしれません』と伝えられました。とにかく、コースには行くけれど、棄権する可能性が高いとのことだったんです。それで、コース到着後に、ダメかもしれないけど、一応、練習場に行ってみました。何球か打ってみると、ドライバーはティアップしているので打てる。数球しか打てませんでしたが、一応、スタートしてみる? 18ホール回れたらいいね…くらいのノリで1番ティに向かいました」
最終日、上田選手は首位と1打差の4アンダーで、最終組の一つ前。好位置につけていたものの、指の痛みのせいで、優勝を狙うどころか、途中棄権を覚悟しながらのスタートとなった。