パットは「型なし」なのか?

ゴルフリサーチャーTASK【世界のゴルフスイング事情】vol.7

2020/10/02 ゴルフトゥデイ 編集部



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GOLF TODAY本誌 No.580/142〜143ページより

ゴルフのスコアに大きく影響するパッティング。

週末のゴルフ場のグリーンでは様々な形状のパットと、様々なポスチャー、個性豊かなストロークのプレーヤーを観察することができます。まさにパットは「型なし」といわれる所以です。

ただ、たとえばPGAツアーのグリーン上でストロークする一流のプレーヤー達は、我々が週末のゴルフ場のパッティンググリーンで眼にするアマチュアプレーヤー達ほど、そのストロークの姿は多彩には見えません。もしかしたら、パットにはある程度正しい「型」があるのかもしれません。

ドライバーやアイアンと違って、パットは基本的にボールが空中を飛球しません。すなわち、スピン軸の傾きによる気流の影響がないため、ラインをイメージして芝や傾斜を読み、タッチがイメージできれば、打ち出し方向へ打ち出すことに集中すれば良い。すなわち、パターのフェースがインパクトの際に打ち出したい方向にスクエアに向いてさえすれば、どんなストロークの姿であっても良いとも言えます。

一方で、ドライバーやアイアンと比べて、パターはその形状が様々です。ゴルフクラブはその偏重心特性によりボールを遠くへ飛ばすことができますが、パターの中にはその特性がほとんど働かないものも存在しています。

パットのフェースの芯は、他のクラブに比べてかなり小さくなります。しかも、その芯の位置には個体差があります。ちなみに、ヘッドの中心近くにラインが引いてあるパターがありますが、それはあくまでもストロークする際のガイドラインでしかなく、それが芯を示しているわけではありません。

ドライバーやアイアンの場合には、その物理的形状はそこそこ近似するので、グリップに与えるべきキネティクスエネルギーにはある一定の効率性パターンが認められます。

それでも、プレーヤーの身体側の自由度が多様なので、同じ効率性であってもスイングのフォルムは違ってきます。パターの形状自体が様々だということは、物理的な挙動も様々ですから、それをコントロールする身体側の自由度を加味すれば、パターのストロークの姿はまさに千差万別であるべきと言えるでしょう。

ただし、パターも物理的な道具である以上、パターを「主」としてそのパターをどうボールにインパクトさせるべきかを主体に身体側を合わせる必要があり、それがどうしても違和感があるのであれば、そのパターは使えないということになります。若干一般論ですが、アマチュアプレーヤーの中にはパターのトウ側を大きく跳ね上げて構える方、逆にヒール側を大きく持ち上げて構えている方を多く見受けます。このような方がミドルパットを壁ドンで入れていたとしても、それは道具を上手く使えている結果とは言い難い、むしろそれは偶然の結果でしかないと見えてしまいます。先述した構えでは、スイング中にあらゆる不必要なローテーションが必ず発生するので再現性を維持できないからです。