ドライバー選びにも役立つ。飛距離アップに欠かせない要素「反発性能」のアレコレ

深読み! ギアカタログ|今回のテーマ【反発性能】

2021/01/04 ゴルフサプリ編集部



ゴルフはプレーヤーの技術だけでなく、使っている道具の良し悪し、そして選び方が結果を大きく左右するスポーツだ。この連載では、そのゴルフギアについて深く深〜く「深読み」した話を紹介していく。今回は「反発性能」について深読みする。

GOLF TODAY本誌 No.583/140〜141ページより

飛距離の3要素と言えば「ボール初速」「打ち出し角」「スピン量」だが、これらのパフォーマンスアップに関して、20世紀までは主にクラブの重量やレングス(長さ)、ヘッドの重心設計で開発が進められていた。だが、1995年にキャロウェイの『グレートビッグバーサ』が登場し、チタンヘッドが普及すると、各メーカーのヘッドによる飛距離性能の差が目立つようになってきた。

同じヘッドスピードでも、弾きが違う、ボール初速が変わる──。各メーカーの開発者は反発性能の違いに気づき始め、研究を進めていた。これを明確に市場に打ち出したのが2001年のキャロウェイ『ERC』だった。セイコーの『Sヤード』を研究し、フェースの薄さと反発性能に着目。この違いが飛距離性能を変えることをアピールしたのだ。結果、21世紀初頭は高反発ドライバーがブームに。「反発係数」の大小がユーザーの間でも語られるようになり、カタログにも掲載された。

実は「反発性能」については、パーシモンヘッドの時代から考えられてはいた。たとえば日本ダンロップは、フェースインサートとボールの固有振動数を合わせる「インピーダンス理論」を提唱したこともあったし、本間ゴルフは『プランサー』というメタルインサートの反発力を打ち出したこともあった。だが、それらは既存のモデルを大きく超える性能を発揮できず、廃れてしまった。ところがチタンヘッドは、その中空構造と大型化から打点エリアも広がり、反発性能の違いが明確になっていた。違いが出にくい芯の当たりでも10ヤード前後変わるとなれば、開発にも力が入る。

結果、その開発競争に危機感を感じたR&AとUSGAにより、ルール規制が行われ、2008年より施行。現在に至る。そのため、今どきのカタログからは「反発係数」の数値は消え、反発性能はルール適合内の上限を目指して仕上がっているものが大勢を占めている。ルール不適合の高反発を謳うモデルも根強く残ってはいるが。