インテストLX-032|通称“タラコ”が大ヒット! 7年後には4人に一人が使用

商品開発はドラマ!!!|今だから言える驚きのストーリー[第4回]

2021/05/03 ゴルフサプリ編集部



ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はインテストLX-032が主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.587/68ページより

株式会社インツから1988年にゴルフ史上に残る大ヒット商品「インテストLX-032」が発売された。この商品名を聞いて、ピンと来るゴルファーは少ないと思う。通称「タラコ」である。株式会社インツは今までにない新しい発想のこのアイアンを売るために設立された会社で、母体はPRGRの横浜ゴムである。なぜ「タラコ」と呼ばれるようになったか。その当時の企画担当で、現在株式会社プロギアのプロ担当・中村好秀氏と広報宣伝グループの川越洋志氏にお話を伺った。

1988年9月に発売された「インテスト」シリーズのアイアンは、これまでのアイアンセットがショートからロングまで同じ素材、同じ考えで一律的に直線的に設計されていたのに対し、ロング、ミドル、ショートの各アイアン別に最適な素材、デザイン、構造をもったクラブとして開発された。ロングアイアンLX-032#1〜5は飛ばすために複合カーボンヘッド、ミドルアイアンMX-031#4〜7は狙うために中空ステンレスヘッド、ショートアイアンSX-031#8〜SWはピンに絡ませるためにステンレスヘッドで、シャフト長さや重量も工夫されていた。販売もこの14本の中で好きな番手だけを買えるシステムで、LXは1本42000円であった。

開発は、アマチュアにとっては苦手なロングアインをどのような設計にするかがポイントであった。当時はロングアイアンをやさしくするためには中空構造が主流であったが、開発陣がよりやさしくするため、ヘッドのラージ化、低重心化、低スピンのために複合カーボン構造を採用した。基本的なコンセプトは横浜ゴムの開発が考え、商品化するにあたりクラブ設計家の竹林隆光氏の力を借りながら形状やスペックを仕上げていった。特許を調べると、基本的コンセプトは、1986年に実用新案昭和63-102463「アイアンクラブセット」として出願されている。商品発売の2年前であり、かなり前から取り組んでいることが分かる。