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ボールが右に飛ぶのは硬いシャフトのせいなのか? 【ダグ三瓶・クラブ選びの超知識】

2025/08/17 ゴルフサプリ編集部

ゴルフには昔、上手い人が感覚で言ったことが定説となって残っていることがある。シャフトの動きでよく言われることをテーマに検証してみた。

シャフトは硬い方が良い、柔らかい方が良いなど、いろいろな考え方がありますが、自分に合ったものを探すためにも、しっかりとその現象はとらえておきたいと考えています。
それを理解することによって、シャフトを選ぶ方向性が見つかるでしょう。

よく言われる、「シャフトが柔らかすぎると左に行きやすく、硬すぎると右に行く」というのを現象で考えてみましょう。

スイング中のシャフトのしなり方に関しては、これまで何度か書かせていただきました。
順を追ってご説明しますと、始動で逆しなりしたものがバックスイングの途中からヘッドにかかる重力などの影響で順しなりになり、切り返しからハーフウエイダウンくらいまでにその負荷が最大になり、順しなり方向にぐーっとしなり、それを戻しながら、インパクトしていくと、ほぼ全員が、また、逆しなり状態になる、という流れです。

スイング中のフェースの向きは?

これをフェースの向きで考えてみましょう。
フェースをシャットに構えるなどではなく、スクエアに構えたと仮定しています。

その場合、フェースの向きは、逆しなり=クローズ方向、順しなり=オープン方向になっていると言えるでしょう。
とくにシャフトが縦方向にしならせる方(フェースに垂直方向)は、このオープン・クローズの度合いが大きいと考えてください。

また、トゥダウン方向も考えてみましょう。
トゥダウンするということは、ライ角が変わると考えていただければ嬉しいです。
つまりは、トゥダウンが大きければ、フラットに当たりやすい=オープンフェース、小さければ、アップライトに当たりやすい=クローズフェースになりやすいと考えていただけると嬉しいです。

これを先ほどの、スイング中のしなりと合わせてみましょう。

「スイングの始動」では、逆しなりする人がほとんどですので、基本的にはクローズ方向になっています。

スイング始動時、フェースはクローズ方向。

続いて、バックスイングの途中から順しなりになっていきますので、フェースは開いていく方向に動いて行きます。

バックスイングの途中からオープンに。

切り返しから、ハーフウエイダウンくらいまでは、順しなり方向に大きくしなっていますので、フェースはかなりオープンになっていると考えていただいても良いです。

切り返しからハーフウェイダウンでフェースはかなりオープンに。

それを戻しながら、インパクトし、インパクトでは逆しなりですから、また、再びクローズ方向となるわけです。

フェースはクローズに向かいながらインパクトへ。

あれ? これでは、誰もスライスはしなさそうですね?

シャフトのしなりを考えたフェース向きは?

次に、しなり量(シャフト硬さ)とフェース向きの話をしてきましょう。
柔らかいとどうなるのか?
まず考えられるのが、バックスイングで順しなりが大きくなるということなので、フェースはオープンになりやすいと考えても良いと思います。
逆しなりになる時も同様に、逆しなりをするときのしなり量も多めになる可能性が高いです。その場合は、フェースがクローズ方向になりやすいですね!

ただし、シャフトのしなり戻りを待っていられれば、シャフトのしなり戻りの復元力で戻ってくるのですが、柔らかいシャフトはこの復元力も弱いですから、柔らかいシャフトで逆しなりになるためには、タイミングを取る必要があると考えておきましょう。

逆に硬いシャフトではどうなるか?というと、そもそもしなり量が減りますので、フェースはオープンになりにくいとなりますが、逆しなりも減りますので、クローズ方向にも動きにくいと考えても良いでしょう。
ですが、復元力も強いので、戻りやすい=オープンの状態にはなりにくいとも言えるでしょう。

それから、トゥダウンも考えてみましょう。
トゥダウンもやはりシャフトの柔らかさと関連しますから、柔らかいほどトゥダウンが大きいとすれば、柔らかい方がフェースはオープンになりやすいと考えても良いでしょう。

ここまで書いてみると、シャフト単体だけで、フェースがオープンになりやすいとか、クローズになりやすいとは、到底判断することは難しいということに気づかれましたでしょうか?

そうなんです。物理的に考えて、シャフトだけを考えて、柔らかいから、つかまる、左に行きやすい、硬いからつかまらない、右に行きにくい、とは言い切れないということをまずはご理解いただけると嬉しいです。

シャフトが硬いと右に行くは本当か?

では、なぜ、硬いと右にいきやすいと言われるようになったのでしょうか?
それを別の角度から考えて見ましょう。

右にボールが行くためには、フェースがオープンであることと同じように、ヘッドの軌道が右に向いていることも要因になりますよね!つまり、インサイドアウトにクラブが動き、かつそのフェース面がクローズにならなければ、ボールは右に行きます

その度合いが強ければ、右に出て、さらにそこから右に曲がるスライスボールになることはご理解いただけると思います。

硬すぎるシャフトで打つと、これが出やすいのでは?と仮定してみます。

硬いシャフトは前述しましたように、スイング中にフェースがオープンにもクローズにもなりにくいですから、軌道の通りにフェースが降りてくると考えて見ましょう。
そうなると、軌道よりも左にも行きにくくなりますが、まだまだ、これでもスライスボールにはなりませんね……。

やはり、シャフトだけで、球筋が大きく変わるということ自体に無理があるのではないでしょうか?

シャフトではなくて振り遅れ?

では、今度は逆に、よくある、右プッシュやこすり球がなぜ出ているのか?それをまずはインパクトの現象から考えてみましょう。

それは、簡単ですね。
軌道がインサイドアウトになっていて、かつ、フェースが開いている状態となります

これは一言でいうと、「振り遅れ」ということになります。野球で例えればわかりやすいですよね!右バッターが振り遅れたら、1塁方向へのファールになることでしょう。

では、この「振り遅れ」の要因をいろいろと考えてみましょう。
・長すぎる
・重すぎる
・シャフトが戻ってこない
などでしょうか?

お、ここでやっとシャフトが出てきましたね!
ということは、シャフトで考えると戻ってこないシャフト=スライスの要因と考えても良いでしょう。
そして、シャフトが長いことや、重すぎることも併せて考えても良いですね!

つまりは、右に行きやすいクラブというのは、
クラブ長が長い(シャフトが長い)、クラブが重い(シャフトが重い、ヘッドが重い)だから、シャフトが戻ってきにくい、と考えてみてはいかがでしょう?

そしてその上で、これをよーく考察してみると、シャフトはしなりすぎている、と考えた方がつじつまが合うのではないでしょうか?

ということは!……本当は、シャフトが柔らかすぎる方が、スライスしやすい、と考えた方が合理的です。

なのに、なんで、硬いとスライスする、と言われ続けてきたのでしょうか?

それはおそらく、昔は、硬いシャフト=重いというのがあったので、その重さに負けて振り遅れていたというのが一因だと考えています。
また、一般的に、硬いと言われるシャフトは、シャフトの先端が硬いシャフトが多いです。
この先端が硬いシャフトというのは、実は手元が柔らかいシャフトでもありますので、その柔らかい手元のせいで、振り遅れている、ということが起っていたのではないでしょうか?



クラブと言うのは、全体の重さもしかり、一番利くのはヘッドの重さ、そして、シャフトもどこが硬いか?によって振りやすさは大きく変わってきます。
振りやすいものを選ぶことで、想定外のミスを減らすことを目指してみましょう。
そのためには、単にシャフトが硬いからダメ、柔らかいからダメ、ということではなく、総合的にクラブを判断できるようになるとよいかもしれません。

振りやすいから曲がりにくい、振りにくいから曲がる、そのためのシャフト選びが必要、とご考察いただけると嬉しいです。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。

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