オリンピック翌週の優勝争いでみせた松山英樹選手のスーパーショット

レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第8回

2021/08/16 ゴルフサプリ編集部



東京オリンピックでの松山英樹選手

オリンピックで惜しくもメダルを逃した松山英樹。翌週は米国で開催された準メジャーとも言われるWGC(世界ゴルフ選手権)の大会で優勝争いを展開しました。惜しくも2位になりましたが、プレーオフでみせた松山選手のスーパーショットについて、レックス倉本氏が解説します。

オリンピックが終わったと思ったら、もうテネシー州のWGC FedEx St. Jude Invitationalでプレーオフを演じた松山英樹選手。PGAツアーのチャーター機で日本から19人の選手がメンフィスに移動して試合に臨んだとのこと。日本のあの暑さを経験した選手らはテネシーの灼熱の暑さも大したことがないと感じたようです。

今回はツアー初優勝をしたメキシコのエイブラハム・アンサー選手のことはもちろんですが、何よりも先週のプレーオフでの松山選手のことをお伝えしたくてアップしました。あのプレーオフの2ホール目の勝負を賭けたセカンドショットがいかに素晴らしかったか!! マジで凄かった! 言葉で伝えるのも容易ではありませんが、なんとか皆さんにどんなショットだったかをお伝えできればと思います。

熱い熱いプレーオフを制して優勝したのはこの試合が初優勝となったメキシコのエイブラハム・アンサー選手。フットボールが強くて有名なオクラホマ大学出身のメキシコ人。すごくステディなゴルフをする選手。飛距離はそれほどないけれどボールストライキングの良さには定評があります。彼は3年前にメキシコで開催されたWGCにメキシコ枠で出場してツアーのトッププレーヤーとラウンドしたり、プレジデンツカップでも活躍してシングルスでタイガーと対戦したり、他の同レベルの選手ができないようなハイレベルな舞台でプレーをするチャンスをつかみ、それをうまく自分のゴルフのレベルアップに生かして実力を積み上げてきた選手です。すごくストーリーのある選手ですね。これから上位争いの常連になってくるでしょう。去年から友人とテキーラの会社を所有してテキーラ販売もしているそうですよ。

そして、今回どうしてもお伝えしたかったあのプレーオフでの松山選手のセカンドショットについてです。特にプレーオフ2ホール目のセカンドショットがどれだけ凄いショットだったか。見ていて鳥肌になりました。グリーンの左が池で、ピンが左やや奥に切られた状況。1ホール目のセカンドショットも決してやさしいライではなかったのですが絶対に左には行かない打ち方でうまくバーディーチャンスにつけました。これもかなり凄いショットです。

でも、もっと凄いのは2ホール目のセカンドショット。ライはボールがバミューダ芝にズボッと沈んで左足が軽く上がって、1ホール目と同じく池のある左には絶対に行かせたくない状況。バーンズ選手とアンサー選手はフェアウェイからのセカンドショットが待っているだけに、松山選手としてはピンを攻めざるを得ないようなシチュエーションだったのです。少し左を向いて、クラブフェースをシャット気味にクラブを上から入れてフォローを左に抜いてボールが少し飛ばないような感じでボールが左から右に曲がってくるというショット放ちました。よくめちゃくちゃ深いラフからボールをフェアウェイに出すときに使うテクニックなんですが、シャットを鋭角的に入れてフォロースルーでフェースを開いてボールを出すんですが、そのショットを応用したようなショットでした。左の池も相当プレッシャーになったでしょうし、相当難しいショットです。バミューダ芝の中から打っているのでボールコントロールがちゃんとできるかどうか不確定要素もあったのですが、松山選手の打った後の表情を見るとイメージ通りのボールが打てたんじゃないでしょうか。プレーオフのあの状況であのボールを打ったのは本当に凄い。おそらく、松山選手は普段のプライベートのラウンドでもこんな難易度高いショットを打っているんでしょうね。言葉ではその凄さをうまくお伝えできなくてもどかしいのですが、ぜひ、もう一度あのプレーオフのシーンを見直してください!結果的に優勝はできませんでしたが、週末の追い上げといい、このプレーオフのショットといい、松山選手も手応えを感じているのは間違いないでしょう。いやー、今シーズンのベストショットのひとつではないか、と思わせるような凄いショットでしたが、皆さんにうまく伝わりましたでしょうか。

さらに詳しいプレーオフのお話は下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcast、Himalayaでも配信中。「レックス倉本」で検索してください。

写真/渡辺義孝