約16億円をゲットした年間王者パトリック・キャントレーの凄さ

レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第9回

2021/09/10 ゴルフサプリ編集部



2020-2021シーズンが終わったPGA ツアー。年間王者になったパトリック・キャントレーと、最終戦でそのキャントレーと名勝負を繰り広げたジョン・ラームの凄さについて、現地でラウンドレポーターをしていたレックス倉本氏が詳細レポート。さらに150位までの選手に与えられるトータル約70億円ボーナスなどについて解説します。

PGA ツアーの最終戦、Tour Championshipでパトリック・キャントレーが年間王者に決まりました!週末トップを走るキャントレーと、追いかけるラームとの一騎打ち。両者とも素晴らしいショットの競演を最後まで続けました。私はラウンドレポーターとして現場でふたりのプレーを目撃しましたが、特に最終日、最終ホールのセカンドショットは年間王者を決める戦いにふさわしい凄まじいプレーでした。

まず追いかけるラームは左足下がりのライから5番アイアンでピンに真っ直ぐに刺すことだけを考えて、あえてグリーンでボールを止めるためにエキストラにボールを高くあげようとすることはせず、直線的に低めのライナーで狙いました。ラームは彼のヘッドスピードがあればボールは十分にグリーン上で止まると思っていたんだと思います。ちなみに3年前にタイガーが復活優勝した時、タイガーも18番のセカンドで左足下がりのライから3番アイアンで強引に上げ気味にボールを上げてきました。結果的にグリーンをショートしましたが、18番のセカンドショットエリアの左足下がりの状況はそういうことをしたくなるシチュエーションなんですが、ラームはラインを出すことだけに集中していました。本人にとっては225ヤード左足下がり5番アイアンでグリーンにとめるのは当たり前のショットだったんですね。もうこれは規格外の凄いショットで見ていた私はびっくりしました。

そして、それを見ていたキャントレー、左足下がりの爪先上がりのライでフック風の中、ボールがすごくゆっくり柔らかく飛んでいきました。おそらくキャントレーはフック風の中スライス系のボールで距離をコントロールしてボールをピンハイにビタッと止めたんだと思います。試合後のインタビューでも彼は今週一番のショットがたまたまあの場面で打てたと言っていました。1打差に迫られてバーディを取らないとプレーオフの可能性もあるという場面であのショットが打てるのはさすが王者のプレーだと思います。最終日はキャントレーとラームふたりだけの戦いになり、ふたりとも行けるところはとことん攻め、その代わり守るところはしっかり守る、見事にメリハリをつけたマネージメントをしていました。どちらが王者になってもおかしくない見応え十分な素晴らしいプレーでした。

キャントレーは年間王者へのボーナスとして日本円で約16億円をゲット!なんじゃこりゃー、という金額ですが、フェデックスはボーナス金としてトータル約70億円をPGAツアーに提供しているんです。そのうち10億円はレギュラーシーズン(プレーオフ前まで)のランキングトップ10の選手で分け合い、46億円が最終戦に当てられました。ちなみに最終戦最下位30位の選手には約4000万円のボーナスが出ます。そして、このボーナスは残りの16億円で31位以下150位の選手まで出るんです。31位で約2000万円、100位で約1000万円、150位が約700万円。そして、その150位がナント小平選手なんです。小平選手はひょっとしてこのボーナスが出ることを知らなくて、いつのまにか自分の口座にこの金額が振り込まれてびっくりしているかもしれません。それにしてもなんとも夢のある世界ですよね。

試合中に金メダルをとったザンダー・シャウフェレ選手にインタビューする機会がありました。金メダルをとった実感が日に日に増してきたそうなのですが、同時にザンダーのご両親も金メダルを獲得したことをものすごく喜んでいるそうで、この数試合ザンダーの応援について歩いている時もホテルのセキュリティは信用できない、とリュックにあの金メダルを入れて持ち歩いてたそうなんです。日本に縁のあるザンダーはこれからも日本人のゴルフファンを楽しませてくれると思います。

さらに詳しいザンダーへのインタビューの続きの話、そして松山選手、小平選手のお話も下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcast、Himalayaでも配信中。「レックス倉本」で検索してください。