米女子ツアーの新人・渋野日向子、今シーズンの行方は「シェブロン選手権」での成績がカギとなる
先週、開催された米女子ツアー「JTBCクラシック」では、通算3オーバーの72位となかなか厳しい順位で終えた渋野日向子。今週は全英女子オープン覇者の資格で「シェブロン選手権」に出場する。この試合で好成績を残せるかどうか。今シーズンの今後の行方を左右する大事な試合になると、レックス倉本氏は考察する。
先週行われた米女子ツアー「JTBCクラシック」は、渋野日向子がUS LPGAツアーメンバーになって、米本土で初出場を果たした試合でした。実はアジアシリーズは主催者の推薦で出場。そして、少数精鋭で予選落ちはありませんが、主催者推薦の選手が稼いだポイントはランキングに加算されません。
渋野さんにとっては、「JTBCクラシック」がUS LPGAのメンバーになって実質のデビュー戦だったのです。
そして、彼女は予選会の成績で出場権を獲得したので、メジャーチャンピオンとしてのデビュー戦でもありませんでした。それが何を意味するかといえば、まずはスタート時間です。
初日のスタート時間はラストから2番目に遅い時間。西海岸のコースではポアナ芝が主流のため、スタートが遅い組はひどい状態のグリーンでプレーすることになります。もちろんスター選手たちは、もっと早く良い時間にスタートします。
そして一緒に回る選手たち、今回は予選会順位22位と24位の無名選手。彼女たちもこの試合が実質今年初の試合になりますから、プレーが慎重になり、ペースが遅くなりがち。今まで渋野選手が同組でプレーしていたスター選手たちとは違って、かなり回り難くなります。これも予選会を勝ち上がった選手の宿命です。
ちなみに、全米オープンで優勝してUS LPGAメンバー入りした笹生優花選手の場合、同伴競技者はパク・インビーとレキシー・トンプソンといった選手になるはずです。同じツアールーキーでも待遇がまったく違います。
渋野選手と同じく予選会を突破した古江彩佳選手は、すでにトップ10を2回記録しています。先々週の初日は、エイミー・ヤングとチェ・ナヨンのベテランと同組。スタート時間もほぼ真ん中で、コースコンディションにおける不利はありません。成績を残した選手の扱いは違ってくるのです。
渋野選手は、どうしたらこのUS LPGAツアーの手痛い洗礼から抜けられるか? 単純に成績を残すしか手はありません。今週のメジャー「シェブロン選手権(Chevron Championship)」には、全英女子オープン過去チャンピオンの資格で出場できます。そのため、もちろん待遇が違ってきます。スタート時間、組み合わせは格段に良くなるはずです。なおかつ、この試合で稼いだポイントはポイントレースにも加算されます。すなわち、今後の試合のスタート時間、組み合わせにも大きく影響してくるというわけです。
思わぬ形で経験しているUS LPGAの壁と洗礼を破るきっかけにする、その意味でも渋野選手にとっての今週の初メジャー「シェブロン選手権」は大切な試合になると言えるでしょう。