今季7戦4勝の西郷真央の強さの秘密は「バーディ待ちができるプレースタイルに成長できた」こと
パナソニックオープンレディースで優勝!
写真は2022年ダイキンオーキッドレディスのもの(写真/相田克己)
ガマンしてガマンして、チャンスが来たら一気に攻める。
パナソニックオープンレディースで西郷真央が見せたのは“お手本“のような優勝劇だった。
首位のテレサ・ルーに2打差2位で迎えた最終日。フロントナインで2つ、スコアを伸ばしたテレサに対して、西郷はスコアカード通りのプレー。秒速8.2メートルと強めの風が吹く予報を頭に入れて「ピンフラッグの揺れ方、奥の期の揺れ方に気をつけながらセカンドショットを狙っていったので、ボギーになりそうなホールもしっかりパーセーブできた」と口にするように、忍耐強くパーを重ねた。
同じ最終組でプレーするテレサがとの差は4打に広がったが、西郷は動じない。10番で「守るんじゃだめだから」と攻めたテレサがボギーを叩き、流れが変わった。12番のパー5でバーディを奪い、直後の13番でテレサがボギーを叩く。試合は混戦模様となった。
圧巻は15番のイーグルだ。フェアウェイ左側から、残り169ヤードを6番アイアンで打ったボールは、グリーンの左側にキャリーすると傾斜を転がって右に切られたピンに向かった。「つま先下がりの若干左足下がり」(西郷)というライから、フォローの風の中、傾斜なりに抑え気味に打ったボールは、イメージ通りの弾道を描き、カップに吸い込まれた。
「打った瞬間、この難しいライからすごく良いショットが打てたな、と。100点に近いショットが打ててヨシ!と思って」と振り返るスーパーショット。大歓声の中でボールが入るのが見えたという。「心臓がドキッとしました」というが、これで一気に試合の流れを引き寄せた。
西郷はその後も冷静だった。16番は、17番としっかりマネジメントしてパーで切り抜け、パー5の18番に勝負をかけた。1打差単独首位。追いつく可能性があるのは、同じ組のテレサだけだ。
だが、テレサは2オンできない。それを尻目に、西郷は190ヤードを4番アイアンで奥18メートルに2オン。これをきっちり寄せてバーディー奪取。2打差で優勝をした。
出場した7戦で4勝の圧倒的な勝率にも浮ついたところはない。「今日のようなバーディが来ない展開だと、昨年までの自分だったらパーセーブしたいところでできずにだらだらとスコアを落としていたと思うけど、ショートゲームをオフの課題としてやってきたので、そこがバーディ待ちができるプレースタイルに成長できた点かと思います」と、”攻守“を上手に使っていることをうかがわせた。
次週はシーズン初の公式戦、ワールドレディースサロンパスカップ。力み過ぎて空回りした昨年の反省から「1打1打に集中したい」と言っているだけに、期待は膨らむ。
2週間、戦線離脱を余儀なくした首の故障だけが気になるところだが、医者にはいかず、トレーナーのケアで元の状態を取り戻したと不安を吹き飛ばす話をしている。寝違えたような傷め方で、ほぼ1週間クラブが握れなかったところからの復帰戦優勝で自信も取り戻した今、怖いものはないように見える。もししたら結果的にいい休養になったのかもしれないとすら感じられるだけに、どこまで突っ走るのか、目が離せない。