「先調子より元調子のほうがカッコいい」その“謎のこだわり”、正さないと一生ゴルフが上手くなりませんよ!

今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【24】

2025/08/30 ゴルフサプリ編集部



SよりもX、シャフトのフレックスが難いほうが“良い”。なぜかそんな謎の価値観を持っているゴルファーというのは、たまにいる。なんとなくわからないでもないが、そのような考え方はゴルフの上達を妨げている元凶だと今野一哉コーチは言う。どういうことなのか、解説してもらおう。

 今回のゴルフあるあるですが、シャフトのフレックスは「SよりXがカッコ良い」とか「先調子より元調子のほうがプロっぽくてカッコいい」など、スペックに謎の価値観を持っているゴルファー。
 あるあるですね。昔はよくそういうこと言っている人を見かけましたね。
 今でもたまにいるのですが、そういう考え方という価値観って、正さないとスペック選びで損をしたりするみたいなことはありますか。そういう私も、「VENTUS」や「ツアーAD DI」なんかを使っている人を見たりすると、ちょっとかっこいいな、なんて思ってしまいます(汗)。
 そうですね。では、「先調子より元調子がカッコいい」という例を取り上げて話してみましょうか。
 はい。お願いします。
 そもそも、そういうことを言う人って、「先調子より元調子が良い」と言われている所以まで理解していないことが、多いのですよね。例えば、調子(キックポイント)は、どこで測るかによって変わるわけですから、同じ元調子と言ってもメーカーが変われば中調子かもしれません。フレックスもそうですよね。そのクラブではSとされているけど、他と比較したらRに相当する硬さかもしれません。そうした曖昧なものに固執するのは、いかがなものかなと思いますし、ゴルフクラブやスペックを、ちゃんと見てないのでしょうね。
自分で判別・判断ができないから、状況で判断してしまうのでしょうね。自分の味覚がしっかりしていないから、美味しいと言われたものは美味しいと答える。高いワインだから美味しいと言われれば、美味しいと答えるようなものです。
 そのような方程式に当てはめて、スペックなどを見ているということですか。でも、周囲の評判とか誰かの評価で判断というか、わかった気になってしまうのは誰にでもよくあることですよね。
 誰もが自分で判断できるほど知識や経験が豊富なわけではないですからね。そのような考え方にならないようにするには、何事も深掘りして突き詰めて調べるクセを付けることです。どうして元調子がカッコいいと思ってしまうのか、上級者やプロがよく使っているからか? じゃあ、どうして使われているのか、その理由は何なのだろ? といように深掘りしていくのです。
元調子に関して言えば、男子プロの多くは「ダイナミックゴールド」(以下DG)を使っていますよね。それで、「DG」は元調子なのですよ。だから、「プロは元調子を使っている=カッコいい」のような解釈をする人が現れたのかもしれませんね。でも、そこからどうして使われているのかを深掘りしていくべきですよね。
 そうやって順序立てて調べて知っていくのは、なかなか楽しそうですね。
  そうでしょう。元調子はシャフトの手元側がしなるので、先調子よりもしなりが大きくなります。先調子は先端がしなるので、しなりの大きさは小さくなります。しなりが大きいということは、元調子のほうがやわらかい、という言い方もできますよね。でも、やわらかいシャフトと言われて連想されるのは、初心者向けのシャフトですよね。もし、このような考えに至れたら、「元調子がカッコいい!」と言っている人は、「あれ? おかしいぞ」と自分の言っていること、価値観に疑問を抱けると思うのですよ。
 深掘りしていくと見えてくることの例としては、とてもわかりやすいですね。
 逆に先調子はトルクを抑えてあればハードヒッターが使っていてもおかしくないですし、調べればすぐにわかることなのですけどね。コックを使ってしなりで作れる人は、シャフトがしなる必要はないから意外と先調子でも良いのですよ。コックを入れて手をやわらかく使えない人は、シャフトに補ってもらわないといけないから、シャフトの手元がしなってくれたほうが良いというわけですね。コック量というのが、シャフトの相性と関わっていたりもします。
 これも深掘りしていくと辿り着けることですね。
 はい。合わせて、自分のスイングのことも突き詰めて理解していくことも大事です。自分がコックを使っているかどうかがわかっていれば、先調子と元調子の特性と照らし合わせて、自分にとって適したシャフトがどんなものか自分なりの基準を持つことができますよね。
 そうなれれば、安易に「先調子より元調子がカッコいい」なんて、考えなくなるということですね。