ゴルフが上手い人は“よく見ている”。他人のプレーから学びを得る共感力こそ、上達の最強スキル
今野一哉の『ゴルフあるある』解決ディスカッション【31】
ラウンド中に他のプレーヤーのスイングやルーティンを観察する——実はこれこそ、最短で上達するための重要な技術だと今野一哉プロコーチは言う。上手い人ほど“他人のプレーを自分事として捉える力=共感力”が高く、その共感力が経験値を何倍にも膨らませるのだとか。他人の一打から自分の成長につなげることの大切さを解説してもらった。
ラウンド中、他の人のスイングや癖を見て「自分のヒントになる」と感じることがあります。これは上達に役立つものなんでしょうか?
もちろん役立ちます。それでしか上達できない、と言ってもいいくらいです。僕らのような立場になると、もう誰かにスイングを教わる機会がありません。だから、誰かがやっている動きを見て“自分に置き換える”しかないんです。
たとえばアプローチ。自分では読めない状況なのに、仲間が鮮やかに寄せたとき、「今のどう打った? どんなイメージ?」と想像しますよね。
それが上達のタネなんですよ。
僕が学生時代に衝撃を受けたのは、同級生のドライバー。聞いたことのない“怪物級の音” がして、「何をどうしたらこんな球が出る?」と真似したくなる。そんな直接的なインスピレーションもあります。
さらにアメリカで見たトラビスという選手。「打ち出し角4度・スピン7000回転・飛距離350ヤード」という、当時日本では”棒球”言われていた球を打つ男がいたんです。
低弾道なのに落ちてこない。吹いてるのに糸を引くように伸びる。「どうやったらこんな球になる?」と、ずっと考えていました。
真似できる・できないは関係ないんです。上手い人ほど“他人のショットを見た瞬間から分析が始まっている”。これが上達を加速させる能力なんです。