飛距離を求めるベテランアスリートのために「フォーティーン Gelong D IX-001/UX-001」登場
フォーティーンは「Gelong D(ゲロンディー)IX-001」と「UX-001」を2020年11月6日に発売した。黒いボディ、精悍なイメージのそのヘッドデザインは、今までありそうでなかったベテランアスリートに向けた飛び系モデルだという。常にプレーヤー目線でクラブ設計を行うフォーティーン。今回のモデルには、どんなストーリーがあり、どんな性能を搭載しているのか、同社商品企画担当の池田純さんに話を伺った。
ベテランアスリートのスイングに合わせ、打ち込んで飛ばせるアイアン
――このクラブが生まれたきっかけは?
池田氏 僕自身が、社会人競技プレーヤーとして、試合に参加することも多いのですが、そこで一緒に戦ってきた先輩たちが、年齢を重ねたことで飛距離不足に悩み、飛び系アイアンを使っているのを目にすることが増えてきていました。ただ、そういった飛び系といわれるアイアンのほとんどは、ロフトを立てて、ソールを幅広くしたユーティリティのような形状で低重心化を図っています。こういった形状のモデルは、払い打つタイプの人には扱いやすいのですが、打ち込むタイプのスイングの人だと、重心よりも上に当たることが多く、球がドロップして止まらないなどデメリットのほうが大きくなります。
――ベテランアスリートのスイングでは、従来の飛び系アイアンは合わない?
池田氏 そうですね。長年、競技に挑戦してきたベテランアスリートの先輩たちは、アイアンをダウンブローに打ち込んでいくスイングの人が多く、従来の飛び系アイアンを使ってみるも、結局打ちこなせずに手放す方がほとんどでした。そういった方たちが打ちこなせて、飛距離が出せるアイアンが市場にない。そう感じたときに、ないのなら作ってしまおうと思ったのが最初のスタートです。
――従来の飛び系アイアンとはどこが異なるのですか?
池田氏 まず、低重心ではなく、アイアンとしての機能を出せる重心高さを確保しています。ただ、そうするとどうしても球が上がりにくくなるので、中空構造にして深重心化を図りました。これにより球が上がりやすく、スピン量も安定します。とはいえ、アイアン形状の「IX-001」は重心が高い分、ある程度のヘッドスピードがないとどうしても球が上がりにくくなってしまいます。そこで、もう少し球の高さが欲しいと思うプレーヤーのためにUT形状の「UX-001」もラインアップしました。
――UT形状は別モノではなく、組み合わせて使うためのものだったんですね。
池田氏 そうです。5~8番は、アイアン形状とUT形状を両方ラインアップして、自身にとってベストなコンボセットが作れるようにしました。そのため、それぞれの番手とロフト設定は同じにしています。9番以降はアイアン形状のみで3本セットにしました。内容は「9番、P、P/A」。それ以外はすべて単品販売です。
飛距離も出せて、アイアンとしての機能も満たす
――アイアンとしての機能というのは、どういったことですか?
池田氏 まず、きちんとスピンが入って、狙ったところに止められることですね。飛び系アイアンは飛ぶけれども、グリーン上で止められないという声が多かったので、そこは意識しました。そのために、重心の高さをやや高めの設定にしています。
――UT形状は球の上がりやすさを意識してのことだそうですが、一般的なUTとはどんなところが違うのですか?
池田氏 UT形状のものは、ロングアイアンの代わりに使ったときに、少しやさしいと感じられるものだと思うんです。とはいえ、一般的なUTはつかまりの良さを強調しているものがほとんどだと思うんです。「UX-001」はアイアンに近く、バーンと打っても左に巻いていかないことをかなり意識しています。左に引っ掛けにくいUTなんです。
――打ち込むタイプのスイングに対応するために、他に何か工夫を取り入れましたか?
池田氏 ソール形状ですね。打ち込むことを前提にして、フォーティーンのウェッジ、DJ-33のリッジソールの機能を元にして作っています。ソールのリーディングエッジ側に幅が狭く、角度の強いバンスを採用して打ち込んでもすべって、助けてくれる形状です。
――シャフトはオリジナルですか?
池田氏 オリジナルです。70g台のカーボンシャフトで1フレックス。アイアン、UTともに長尺ではなく、一般的な長さの設定になっています。推奨ヘッドスピードは39~43m/sくらいですね。これよりも、ヘッドスピードが遅めの方は、今後、60g台、50g台、40g台を出す予定でいますので、もう少し待っていて欲しいです。
常にプレーヤー目線に立ったクラブ作りがフォーティーンスタイル
――ターゲットユーザーのこだわりはどんなところだと感じていますか?
池田氏 見た目へのこだわりが強い方が多いので、構えたときの印象など、見た目のイメージは重視しました。「IX-001」はマッスルバックのような精悍さを持ったセミコンパクトヘッドで、ヘッドコントロールがしやすくなっています。「UX-001」のリーディングエッジはアイアン的なストレートラインを残しています。コンパクトなボックス型のヘッド形状にして、構えたときにトップラインとリーディングエッジの線が平行に重なるようしたことで、スクエアに構えやすくしています。どちらもカラーリングを黒にしたのは、スポーティで力強いイメージを出したかったからです。やはり長年、競技に挑戦し続けている人は、精悍な見た目が好きなんです。
――名前をGelong Dとしたのは、なぜですか?
池田氏 元々、「Gelong D(ゲロンディー)」のネーミングは、フォーティーンの創業者である故・竹林隆光が飛距離重視のドライバーにつけたネーミングで「Get Longest Drive」から生まれました。その「飛び」の部分を受け継ぎたいと思ったのです。今回のモデルを作ろうと考えたときに、一番最初にこの名前にしようと思いました。とにかく「飛び」を追求するブランドとして、今後はフェアウェイウッドやドライバーも作っていきたいと考えています。
――このクラブに込めた想いを教えてください
池田氏 本来、クラブの進化に合わせて、スイングも変えていくべきだと思います。ですが、長くゴルフを続けて、技術を積み重ねてきたベテランアスリートに急に打ち方を変えることを望むのは、難しいと思いました。プレーヤー目線に立ったクラブ作りがフォーティーンの信条ですから、彼らの立場に立って、クラブでできることはクラブで補うにはどうすれば良いのか。というところから、スタートしたのが今回の「Gelong D」シリーズです。今まで通りのスイングで、しっかりと距離を出していけるアイアン。ありそうでなかったモデルですので、飛距離不足に悩むアスリートのみなさんに、ぜひ試していただきたいです。
GelongD IX-001
素材:S35C 鍛造ボディ + ハイパーeメタルフェース
仕上げ:ニッケルクロムメッキ・ブラックIP仕上げ
シャフト:FT-70iカーボンシャフト(ワンフレックス/70g)
価格:3本セット(#9~P/A)/7万8000+税
単品(#5、6、7、8)1本¥2万6000+税
IX-001 | #5 | #6 | #7 | #8 | #9 | #P | #P/A | |
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ロフト(°) | 20 | 23 | 26 | 30 | 34 | 38 | 42 | |
ライ(°) | 59.5 | 60 | 60.5 | 61 | 61.5 | 62 | 62.5 | |
クラブ長さ(inch) | 38.75 | 38.25 | 37.75 | 37.25 | 36.75 | 36.25 | 35.75 | |
FT-70i カーボン | クラブ重さ(g) | 370 | 376 | 382 | 389 | 396 | 405 | 414 |
バランス | C9.0 | C9.0 | C9.0 | C9.0 | C9.0 | D0.0 | D0.0 |
GelongD UX-001
素材:C450鋳造ボディ・可偏肉厚FACE+タングステン合金ソール
仕上げ:マットブラック仕上げ
シャフト:FT-65uカーボンシャフト(ワンフレックス/63g)
価格:1本¥3万6000+税
UX-001 | #5h | #6h | #7h | #8h | |
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ロフト角(°) | 20 | 23 | 26 | 30 | |
ライ角(°) | 58 | 58.5 | 59 | 59.5 | |
クラブ長さ(inch) | 40.25 | 39.75 | 39.25 | 38.75 | |
FT-65U カーボンシャフト | クラブ重さ(g) | 345 | 350 | 355 | 360 |
バランス | C9 | C9 | C9 | C9 |
撮影/渡辺義孝
取材・文/下山江美